ドライフルーツOEMの始め方|無添加・小ロット・販路別の成功ポイント

筆者紹介

目次

健康志向や添加物を避ける動きが加速するなか、「ドライフルーツ」はナチュラルスナックとして再評価されています。素材そのものの甘みや香りを活かした無添加ドライフルーツは、ギフトやEC、自社ブランド展開に適しており、OEM(受託製造)での商品開発ニーズが高まっています。

本記事では、これからドライフルーツOEMに取り組みたい事業者向けに、基本的な流れや費用、メーカー選定のポイント、無添加・小ロット対応の注意点、販路別の活用事例までを徹底解説します。

ドライフルーツOEMとは?

ドライフルーツOEMとは、自社で製造設備を持たない企業が、果物の乾燥加工を得意とするOEMメーカーに製造を委託し、自社ブランドとして販売する仕組みです。

レシピや品目、パッケージデザインは依頼企業が企画し、原料のカット・乾燥・包装・表示対応などをメーカーが担当。とくに無添加・国産フルーツを売りにした商品や、小ロットでのギフト展開が可能な点から、飲食店・青果店・食品ベンチャー・ふるさと納税事業者などに広がりを見せています。

たとえば、長野産りんごを使ったチップスや、愛媛のみかんを丸ごと乾燥させたスナックなど、素材の個性を活かした商品展開が注目されています。

ドライフルーツOEMのメリット・デメリット

ドライフルーツOEMには多くの利点がある一方、素材と加工方法による注意点も存在します。無添加志向や国産素材にこだわる場合は特に、事前の設計が重要です。

メリット

  • 無添加・ナチュラルな商品を自社ブランドで展開可能
  • 常温保存・長期流通ができ、ギフトやECに向いている
  • 果物の産地や品種の訴求で差別化がしやすい
  • OEMメーカーの乾燥技術で品質の安定化が図れる

デメリット

  • 果物によって乾燥歩留まりや味にばらつきが出やすい
  • 乾燥工程によっては食感や色味に影響が出る場合も
  • 甘味料・香料などを使わない場合は素材の選定がシビア

依頼の流れと費用の目安

ドライフルーツOEMの進行はシンプルに見えて、素材の選定・乾燥方法・パッケージ設計まで細かな設計が必要です。

ステップ内容
1. 商品企画使用したいフルーツ(品種・産地)とターゲット層を明確化
2. 加工仕様の相談スライス・ダイスカット・輪切りなどの形状、乾燥方法を設計
3. 試作とサンプル確認食味・見た目・食感・保存性を評価。無添加や糖度調整の要否確認
4. 包装・表示提案個包装・チャック袋・ギフトパッケージなどの選定と表示対応
5. 製造契約と量産最小ロット・納期・出荷条件などを確定して本製造へ進行

費用の目安

  • 乾燥加工単価:1kgあたり1,500〜5,000円(果物の種類・カット・乾燥法により変動)
  • OEM製品単価:30g〜60gで1袋あたり150〜500円程度
  • 最小ロット:原料持ち込み型で10kg〜、OEM完成品で100袋〜対応するメーカー多数

ドライフルーツOEMメーカーの選び方

ドライフルーツは見た目や香りも重要なため、**「見栄えの良さ」「味の再現」「原料ロス率」**といった観点からOEM先を選ぶ必要があります。

  • 国産果物・無添加素材の実績があるか
  • 対応できる果物の品目数と、品種ごとの仕上がり傾向を理解しているか
  • 低温乾燥・真空乾燥・セミドライなどの技術選択肢があるか
  • 小ロット対応の柔軟性と、表示ラベルなどへの対応力があるか
  • パッケージ(ギフト/業務用)の提案やOEM経験が豊富か

おすすめのOEMメーカー3選

無添加・国産・小ロットに対応したドライフルーツOEMメーカーの一例をご紹介します。いずれも自社商品の立ち上げ支援に定評があります。

株式会社Agriture(京都府)

京丹後産果物を中心に、砂糖不使用・低温乾燥のOEMに対応。りんご、みかん、パイン、梨などの国産ドライフルーツを取り扱い、ギフト・EC向けの実績も豊富。

株式会社小島屋(東京都)

ナッツ・ドライフルーツをカスタマイズして、御社だけのプライベート商品を小ロット(100個〜)から作ることができます

有限会社 アール物産(愛知県)

ドライフルーツ・ナッツの商品開発と販売に携わって28年。世界中のドライフルーツ・ナッツを食べ比べ、本当においしいと思ったものしか取り扱わないということに徹底してこだわっています。

ドライフルーツの商品事例

(株)Agritureが手がけるドライフルーツブランド「梨からの手紙」は、京都産の青梨であるニ十世紀を皮ごとスライスし、砂糖やブドウ糖を一切加えずに仕上げた無添加ドライフルーツです。toC向けギフト商品としての展開を中心に、見た目・味わい・ストーリー性の面で他社との差別化を図っています。

1. 京都産の希少な青梨を使用した無添加ドライ

「梨からの手紙」では、京都府内で育てられた青梨「ゴールド二十世紀」を使用。糖度や水分量の調整が難しい青梨は一般的なドライフルーツとしてはあまり使われませんが、独自の乾燥技術で、甘味と酸味のバランスを保ちながら、素材の風味を凝縮しています。着色料・砂糖・保存料などの添加物は一切不使用です。

2. 手紙のように“気持ちを贈る”デザインコンセプト

ブランド名の通り、「梨からの手紙」はただの食品ではなく、“思いを届ける果物”という世界観を大切にしています。クラフト調のパッケージや、手紙風のメッセージカードを添えたギフト仕様など、視覚・感情の両面から購買体験を設計。贈答シーンにおける唯一無二の存在感を放ちます。

3. 食感と香りの繊細な変化が楽しめる製法

スライスされた梨は、口に入れた瞬間はサクサクと軽く、噛み進めるごとにじわりとしっとり感が広がる独特の食感設計。皮付きのまま乾燥されているため、梨の香りやほのかな渋みもそのまま残っており、紅茶やワインとのペアリングでも高い評価を得ています。

よくある質問と失敗しないポイント

よくある質問

Q. 無添加で甘みを出すにはどうすればいいですか?
A. 甘味料不使用の場合は完熟度が高い果物を使用するのが基本。品種選びが仕上がりを左右します。

Q. 海外向けに販売することはできますか?
A. HACCP対応や英語表示が必要ですが、OEMメーカーにより輸出対応も可能です。早めの相談が推奨されます。

失敗しないためのポイント

  • 甘味料・保存料を使わないなら、素材の完熟度と乾燥温度が重要
  • 品種ごとに乾燥後の味・色・収縮率が異なるため、試作確認を必ず実施
  • ギフト販売の場合は、包装の質感・表示内容も含めた設計が重要
  • 果物によってはシーズンにより安定供給が難しいため、年間計画も要確認

まずは無料相談してみよう

ドライフルーツOEMは、無添加・常温流通・ギフト・海外展開といったトレンドと相性の良い商品ジャンルです。OEMを活用すれば、設備投資なしでブランド展開が可能になり、少量からでも市場テストが行えます。

とくに小ロット対応・無添加・国産素材を重視したい場合は、複数のOEMメーカーに試作・条件を比較しながら進めるのが成功への近道です。
まずは資料請求や試作相談から、自社の強みを活かした商品づくりを始めてみましょう。

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