乾燥野菜OEM完全ガイド|加工方法・費用相場・活用事例を紹介

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目次

健康志向や食品ロス削減の流れを背景に、「乾燥野菜」を活用した製品づくりが注目を集めています。保存性・栄養価・使い勝手の高さに加え、常温流通が可能であることから、OEM(受託製造)での需要も急拡大中です。飲食店のオリジナルメニューや、食品メーカーによるPB開発、ギフト商材、ペットフード分野など、幅広い用途で活用が進んでいます。

本記事では、乾燥野菜OEMの基本から、メリット・デメリット、加工方法、費用相場、メーカー選定のポイントまで、初めての方にも分かりやすく解説します。

乾燥野菜OEMとは?

乾燥野菜OEMとは、自社で加工設備を持たない企業が、乾燥技術を有する専門メーカーに製造を委託し、自社ブランド商品を展開するビジネスモデルです。

レシピや仕様を提供し、スライス・カット・乾燥・包装までを委託。常温流通が可能で賞味期限も長いため、販路の制約が少なく、商品化のハードルも比較的低いのが特徴です。

たとえば、農産物直売所が自社の規格外野菜を使って乾燥野菜商品を企画したり、飲食店が人気の味噌汁の具材セットを販売したりする事例もあります。

乾燥野菜OEMのメリット・デメリット

乾燥野菜OEMは、省スペース・長期保存・調理時の利便性など、多くの利点がありますが、一方で素材選びや加工条件による仕上がりの差もあるため、注意も必要です。

メリット

  • 常温保存・長期流通が可能:冷蔵・冷凍不要で物流コストが削減できる
  • 食品ロス対策に貢献:規格外野菜の活用や廃棄削減につながる
  • 小ロット・多品種展開がしやすい:少量生産にも対応しやすく、試験販売にも最適
  • 栄養価や風味を損ないにくい:低温乾燥や真空乾燥など、風味を保つ技術も進化

デメリット

  • 素材によって仕上がりや歩留まりに差が出る:水分量や繊維質の多さで乾燥効率が異なる
  • 再水戻し後の食感が読みにくい場合がある:事前の試作・検証が重要
  • 粉砕・パウダー化には別工程が必要なことも:粉末対応は事前に確認すべき

依頼の流れと費用の目安

乾燥野菜OEMの依頼は、原料の持ち込み・レシピ提供型・パッケージ提案型など様々なスタイルがあり、目的に応じた進め方が可能です。

ステップ内容
1. 商品企画・用途整理使用目的(汁物/炒め物/ミックスなど)と対象野菜の選定
2. 加工仕様の相談カット形状、乾燥方法(熱風/減圧/凍結など)、仕上がりの指定
3. 試作・サンプル確認食味・色・再水戻しの状態をチェック。必要に応じて修正
4. パッケージ提案・表示対応業務用/個包装、ラベル、食品表示法対応の相談もここで実施
5. 製造契約・量産スタート最小ロットや納期、出荷条件などを決定し製造開始

費用の目安

  • 乾燥加工費用:1kgあたり1,000円〜3,000円(原料・乾燥方法により変動)
  • パッケージ込みOEM単価:50g製品で1袋あたり150〜400円程度
  • 最小ロット:原料持ち込み型で10kg〜、OEM商品で100袋〜対応するメーカーも多数

乾燥野菜OEMメーカーの選び方

乾燥野菜OEMは加工方法や対象野菜によって得意分野が大きく分かれます。以下の観点から、自社に合ったパートナーを選ぶことが成功のカギです。

  • 対応している乾燥方法(熱風乾燥/真空乾燥/凍結乾燥など)
  • 野菜別の加工実績や得意品目の有無
  • カット・スライスなどの前処理工程も一貫対応か
  • 原料調達 or 原料支給どちらに対応しているか
  • 小ロット対応・試作費の明確さ
  • 食品表示・検査・パウダー加工の可否

おすすめのOEMメーカー3選

ここでは、乾燥野菜OEMにおいて実績と柔軟性のある国内メーカーを3社紹介します。いずれも、食品メーカー・飲食店・農業法人など幅広い企業から信頼されています。

株式会社Agriture(京都府)

京野菜や国産野菜に特化した乾燥野菜OEMを提供。低温乾燥・パウダー対応・小ロット試作に強みがあり、ペットフード原料や健康食品素材の実績も豊富。

吉良食品株式会社(熊本県)

業務用乾燥野菜の原料供給・OEM製造に対応。カット・乾燥・袋詰めまでの一貫加工が可能で、ISO22000:2018認証取得。

大五通商株式会社(静岡県)

ベトナムの契約農家の高原野菜を自社の現地工場で乾燥させる事により、原料の調達から研究開発、試作、品質管理、そして乾燥・検査・梱包・通関・トレーサビリティといったプロセスを1ストップで提供。

乾燥野菜の商品事例

(株)Agritureが運営する乾燥野菜ブランド「OYAOYA」は、京都産の規格外野菜を活用し、乾燥野菜として販売することで、toC・toB両面で事業を展開しています。市場には九州産の乾燥野菜が多く出回っていますが、OYAOYAは以下の点で明確な差別化を図っています。

1. 京都産×規格外野菜のアップサイクル

OYAOYAの乾燥野菜は、京都の契約農家から仕入れた規格外野菜を使用しています。見た目の問題で市場に出回らない野菜を、乾燥という手法で長期保存可能な食品に再生することで、フードロス削減と地域農業の支援を同時に実現しています。

2. ブドウ糖・添加物不使用の無添加品質

市場に流通している乾燥野菜の多くは、風味調整や見た目向上のためにブドウ糖や保存料が加えられていますが、OYAOYAでは一切の添加物を使用していません。素材本来の甘み・旨味・食感を引き出す製法にこだわっており、自然派志向の消費者から高い評価を得ています。

3. 見た目・味・食感のバリエーションによる商品価値の向上

OYAOYAでは、乾燥方法やカットサイズを品目ごとに細かく調整し、「ザクザク」「やわやわ」「シャクシャク」といった食感の違いや、素材の香り・色味を最大限に引き出しています。これにより、消費者は単なる保存食品ではなく、“再発見できる野菜”としての価値を感じることができます。

よくある質問と失敗しないポイント

OEM導入時によくある疑問や、トラブルを避けるための注意点を以下にまとめました。

よくある質問

Q. 自社の規格外野菜を持ち込んでOEMできますか?
A. 可能です。ただし品種や水分量によって乾燥効率が異なるため、試作と歩留まり確認が推奨されます。

Q. 一度に何種類の野菜をミックスできますか?
A. 加工ロットやカットの違いにもよりますが、3〜5種のブレンドが一般的。粉砕・粒度の統一も考慮が必要です。

失敗しないためのポイント

  • 乾燥方法と目的(出汁・戻して炒める等)を一致させる
  • 見た目や香りの変化を試作段階で確認する
  • 賞味期限設定・表示内容は必ずOEMメーカーに相談する
  • 自社が希望する粒度・カット形状が可能かを事前に確認
  • 実績のある用途(味噌汁の具・スナック素材など)をベースに展開を考える

まずは無料相談してみよう

乾燥野菜OEMは、保存性・栄養価・加工自由度・販路の柔軟性に優れた手法であり、食品業界・飲食業界・農業サイドからも注目されています。乾燥方法や原料特性によって仕上がりが大きく異なるため、まずは目的と用途を明確にし、実績あるOEMメーカーへ相談することが第一歩です。

小ロットや試作から対応しているメーカーも多いため、「試しに作ってみたい」「PB商品を作りたい」といった企業にも適しています。まずは気軽にOEM相談を行い、自社の強みを活かした乾燥野菜商品の開発を進めてみましょう。

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