カフェ業態の拡大、ECブランドの台頭、ふるさと納税や海外販路の需要増。こうした背景を受け、今、コーヒーは「自社らしさ」を表現する商材として大きな注目を集めています。豆の選定、焙煎の度合い、パッケージの手触りまで。“語れるコーヒー”を開発するためには、信頼できるOEMパートナーの存在が欠かせません。
本記事では、コーヒーOEMの基本から、依頼の流れ、費用相場、そして実績あるメーカー3選までを、余すところなくお伝えします。
コーヒーOEMとは?
コーヒーOEMとは、自社ブランドの商品を他社の製造設備を使って作る仕組みです。飲食店やECブランドが自社で焙煎機や充填ラインを持つのは、現実的ではありません。そこでOEMを活用することで、ドリップバッグ、瓶詰リキッド、スティックインスタントなど、思い描いた商品を実現できます。
実際によくある依頼例は以下の通りです:
- 店舗限定のオリジナルブレンドを作りたい
- ギフト向けに高級感のあるドリップバッグを開発したい
- カフェオレベースをオリジナルブランドで展開したい
- ふるさと納税や観光地向けに「地元らしい一杯」を作りたい
ポイントは、味の方向性だけでなく、「どこで売るか」「誰が飲むか」によって、最適な形状や価格帯を選べること。OEMは、コーヒーを“ブランドの武器”に変えるための、最も確実な手段です。
コーヒーOEMのメリット・デメリット
OEMには魅力と注意点の両方があります。導入前に“向き不向き”を理解しておきましょう。
メリット|開発スピードも、品質も、思いのままに。
- 自社に設備がなくても高品質な商品が作れる
- 味や香りに対するこだわりをプロがカタチにしてくれる
- 小ロットでも始められるため、D2Cやクラファンにも対応可能
- 豆の種類や焙煎度、粉の粒度、抽出時間まで細かく設計できる
- フェアトレードやオーガニック豆への対応も可能
デメリット|準備不足はトラブルの元
- 試作回数が多いほどコストや時間は増える
- 小ロットだと製造単価が割高になりやすい
- 味のニュアンスを言語化しないと、再現が難しい場合がある
- 豆の仕入れ相場によって、価格が年単位で上下することもある
依頼の流れ
OEMと聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、実際のフローはシンプルです。
- お問い合わせ・コンセプト相談
- 豆の種類・味・パッケージの要望ヒアリング
- 試作品(焙煎・味・香り)の提出
- 条件確定・見積もり
- 製造開始
- 納品・販売開始
費用の目安
- 初期試作費用:5,000〜50,000円程度
- ドリップバッグ単価:35〜90円前後/個
- リキッドボトル:350〜750円/本
- 最小ロット:1,000包前後〜(応相談)
- 納期目安:初回相談から最短で1〜2ヶ月
コーヒーOEMメーカーの選び方
OEMメーカー選びは、“この人に託せるか”という信頼が鍵になります。以下の観点で見極めましょう。
- 焙煎設備の種類と技術レベル(直火・熱風・半熱風など)
- 豆の調達力(ブレンドの自由度や希少豆の取り扱い)
- パッケージ形状の柔軟性(ギフト・業務用・リキッドなど)
- 小ロット対応の可否と条件
- 試作段階の対応姿勢・提案力
おすすめのOEMメーカー3選
ニック食品株式会社(千葉県)
清涼飲料、果汁飲料、乳酸菌飲料など多彩なOEMに対応する老舗。コーヒーに関しては、インスタントやボトルコーヒーのリパックや製造を手がけています。
- 清涼飲料分野の技術を活かした安定した品質
- ボトルやスティック、パウチ製品も製造可能
- 原料支給やPB展開にも対応しやすい柔軟さが魅力
株式会社コーヒー乃川島(静岡県)
1953年創業の老舗焙煎企業。ドリップバッグ・アイスコーヒー・ギフト商品まで多様なコーヒーOEMを手がけています。
- 小ロット対応(数百個から相談可能)
- 豆の焙煎から粉砕、袋詰、セットまで一貫対応
- 地元農産物と掛け合わせた商品開発にも強み
株式会社Agriture(京都府)
乾燥野菜を使ったドリップパックの野菜コーヒーを製造。そのほか、農作物全般のオリジナルコーヒーの製造が可能です。またロット数も、10パックから製造可能で小ロットでのテストをしたい事業者におすすめです。
- 野菜×コーヒーというユニークな切り口
- ドリップパック形式で、10個から製品化可能
- 取り扱いの野菜50種類以外にも、持ち込み原料で対応可能
- パッケージのデザインも可能で、ノベルティに最適
失敗しないポイント
- 「誰が、いつ、どんな気分で飲むか」を先に決めておく
- 試作の際は“甘さ”や“酸味”などの表現を言語化して伝える
- 単価ばかりでなく、“賞味期限管理”や“再現性”も重要
- コンセプトとパッケージを一貫させることで訴求力が倍増する
一杯のコーヒーに、あなたのブランドを込めよう
コーヒーは、売れるだけの商材ではありません。“体験”を届けられる飲み物です。
OEMを使えば、味・香り・背景・ストーリー、そのすべてを商品として届けることができます。
メーカーとのパートナーシップがしっかりしていれば、商品化は驚くほどスムーズです。本気で“自社だけの一杯”をつくりたいなら、OEMという選択がその第一歩になります。