だしOEM製造の完全マニュアル|天然出汁の作り方

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だしOEM製造の可能性|天然素材志向の高まり

「だし」は日本料理の根幹を支える調味料です。近年、化学調味料を避けて天然素材の出汁を求める消費者が増えており、だしパックやだし調味料の市場が拡大しています。

特に子育て世代の「子どもに安全なものを食べさせたい」というニーズや、料理好きの「本格的な味を手軽に再現したい」というニーズが、天然だし商品の成長を支えています。テレビや雑誌で取り上げられる機会も増え、だしへの注目度はかつてないほど高まっています。

この市場の追い風を受けて、地域の水産加工会社、食品メーカー、飲食店などが、自社ブランドのだし商品を開発するケースが増えています。だし素材の目利きや配合ノウハウを持ちながら、製造設備を持たない事業者にとって、OEM製造は最適な商品化手段です。

だしの主要素材と特徴を押さえる

だしOEM製造を始めるにあたり、主要なだし素材の特徴を理解しておきましょう。

鰹節(かつおぶし)

日本のだしの代表格です。荒節と枯節(本枯節)があり、枯節の方がカビ付け工程を経ることで、より上品で深い旨味が出ます。だしパック商品では、削り節の粒度や配合量が味の決め手になります。

昆布

利尻昆布、羅臼昆布、日高昆布、真昆布など、産地によって風味が大きく異なります。グルタミン酸を豊富に含み、鰹節のイノシン酸との相乗効果で旨味が何倍にも増幅されます。

煮干し(いりこ)

片口鰯を煮て干したものが一般的です。力強い風味があり、味噌汁との相性が抜群です。頭と内臓を取り除いた「背ごし」タイプを使うと、えぐみの少ないクリアなだしが取れます。

椎茸

干し椎茸にはグアニル酸が豊富に含まれ、鰹節や昆布と合わせることで三大旨味成分が揃います。精進だしの主役であり、ベジタリアン・ヴィーガン対応のだし商品にも活用できます。

その他の素材

あご(飛び魚)、鯖節、宗田鰹、帆立貝柱、海老など、地域性のある素材を使うことで独自のだし商品を作れます。九州で人気のあごだしは、全国的にも認知度が上がっています。

だしOEM商品の形態を選ぶ

だし商品にはいくつかの形態があり、ターゲット顧客や使用シーンに合わせて選択します。

だしパック

ティーバッグ状のパックに削り節や昆布の粉末を詰めた商品です。水から煮出すだけで本格的なだしが取れるため、家庭用として最も人気があります。使い勝手の良さと天然素材感を両立できる形態です。

粉末だし

素材を細かく粉砕した粉末タイプです。お湯に溶くだけで使えるほか、料理に直接ふりかけて使うこともできます。溶けやすさや粒度の均一性が品質のポイントになります。

液体だし(濃縮タイプ)

だしを煮出して濃縮した液体タイプです。希釈して使用するため、味の安定性が高く、飲食店の業務用としても需要があります。ペットボトルや紙パックでの販売が一般的です。

顆粒だし

粉末を顆粒状に加工したタイプです。溶けやすく計量しやすいのが特徴で、業務用と家庭用の両方に対応できます。

だしOEM工場の選び方

素材の粉砕・ブレンド技術

だしパックや粉末だしの品質は、素材の粉砕精度とブレンドの均一性に左右されます。粉砕が粗すぎるとだしの出が悪く、細かすぎると粉っぽくなります。用途に合わせた最適な粒度に仕上げる技術が必要です。

充填・包装設備

だしパックの場合、ティーバッグ状への充填設備が必要です。不織布やナイロンメッシュなどの素材を選べるか、三角パックや四角パックなど形状の選択肢があるかも確認しましょう。

鮮度管理・酸化防止

だし素材は空気に触れると酸化が進み、風味が落ちます。窒素ガス充填や脱酸素剤の封入に対応している工場であれば、保存料不使用でも賞味期限を長く設定できます。

食品安全認証

HACCPやISO22000、FSSC22000などの食品安全認証を取得している工場を選びましょう。だし素材は水産物や乾物を扱うため、衛生管理が特に重要です。

だしOEM製造の流れ

Phase 1:コンセプト設計と素材選定(2〜4週間)
どんなだし商品を作りたいのか、使用する素材、商品形態、ターゲット顧客を決めます。鰹と昆布の合わせだしにするのか、あごだしにするのか、野菜だしにするのか。素材の産地指定がある場合は、調達可能性もこの段階で確認します。

Phase 2:配合設計と試作(3〜6週間)
各素材の配合比率を決め、試作を行います。だしは素材の比率を少し変えるだけで味のバランスが大きく変わるため、複数パターンの試作が必要です。実際に料理に使ってみて、味噌汁、煮物、うどんつゆなど、想定される用途での味を確認しましょう。

Phase 3:パッケージ・表示作成(3〜5週間)
パッケージデザインと食品表示の作成を進めます。だし商品は使い方の説明をパッケージに記載することが多いため、デザインスペースの配分を考慮して設計します。

Phase 4:量産・出荷(2〜4週間)
量産体制に入り、品質検査(風味検査、異物混入検査、水分活性測定など)を経て出荷します。

だしOEMの費用相場

だしOEMの費用は、商品形態と使用する素材によって大きく変わります。

だしパック(8g×10袋入り):1セットあたり200円〜500円程度。本枯節や利尻昆布などの高級素材を使うと上限側に寄ります。

粉末だし(100g入り):1袋あたり150円〜400円程度。顆粒加工を施す場合は追加費用がかかります。

液体だし(500ml):1本あたり200円〜600円程度。濃縮度や容器によって変動します。

最小ロットは、だしパックで500〜1,000セット、粉末だしで300〜500袋程度から対応可能な工場があります。

天然だし商品で差別化するためのポイント

素材の産地と生産者を見せる

「枕崎産本枯節」「利尻昆布」「長崎県産あご」など、素材の産地を明示することで、品質へのこだわりを伝えられます。さらに踏み込んで、生産者の顔や想いをパッケージやWebサイトで紹介すれば、商品への信頼感と愛着が生まれます。

用途別の提案

「味噌汁専用だし」「鍋つゆ用だし」「離乳食だし」など、用途を特化させた商品設計は、消費者にとって選びやすく、使いやすい商品になります。汎用的なだしよりも、特定のシーンにフォーカスしたほうが棚で目立ちます。

無添加・化学調味料不使用の訴求

食塩や化学調味料を添加せず、素材だけの旨味で勝負する商品は、健康志向の消費者に支持されます。ただし「無添加」の表記は景品表示法の観点から正確さが求められるため、表示内容は専門家に確認してもらいましょう。

だしOEMの法規制

だし商品の食品表示では、使用するすべての原材料を正確に記載する必要があります。特に、食塩やアミノ酸調味料を配合する場合は、「調味料(アミノ酸等)」などの表示が必要です。

アレルギー表示についても、えび・かになどの甲殻類を使用する場合や、小麦を含む醤油で味付けする場合は、明確な表示が義務付けられています。だし素材は多品目を使うことが多いため、アレルゲンの確認は特に入念に行ってください。

よくある質問

Q1: だしパックOEMの最小ロットはどのくらいですか?

A1: 500〜1,000セット程度から対応可能な工場が多いです。素材の粉砕・ブレンドからパック充填までを一貫して行える工場であれば、比較的小ロットから始められます。

Q2: 自社で仕入れた鰹節を持ち込んで使えますか?

A2: 持ち込み素材に対応している工場であれば可能です。ただし、品質基準や衛生検査の条件がある場合がありますので、事前に工場と条件を確認してください。

Q3: 化学調味料不使用のだしパックは作れますか?

A3: はい、天然素材のみで作るだしパックの製造実績を持つ工場は多くあります。食塩や砂糖も不使用にしたい場合は、素材の配合で十分な旨味が出るようにレシピを工夫する必要があります。

Q4: だし商品の賞味期限はどのくらいですか?

A4: だしパックの場合、窒素ガス充填や脱酸素剤の使用で、常温保存で6ヶ月〜1年程度の設定が一般的です。液体だしの場合は殺菌条件によりますが、常温で6ヶ月〜1年程度が目安です。

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この記事を書いた人

株式会社Agriture 代表取締役/食品OEMコンシェルジュ 乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業を手がける株式会社AgritureのCEO。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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