食品OEMアレルギー表示28品目の完全ガイド【実務版】

「アレルギー表示のミスで製品をリコールしてしまったら——」と考えたことはありませんか?

食品OEMを活用したPB開発では、製造委託先との情報共有が複雑になりがちです。そのぶん、表示ミスのリスクも高くなります。実際、食品業界でのリコール理由の上位に「アレルギー表示の誤り」が常にランクインしています。

この記事では、特定原材料8品目(義務表示)と推奨表示20品目の計28品目への対応方法から、コンタミネーション注意喚起の正しい書き方、製造委託先との情報共有フロー、ダブルチェック体制の構築まで、実務で使える内容をお伝えします。

この記事でわかること

  • 義務表示8品目と推奨表示20品目の全リスト
  • 個別表示と一括表示の使い分け基準
  • コンタミネーション注意喚起の正しい書き方
  • OEM委託先との情報共有チェックフロー
  • リコール事例から学ぶダブルチェック体制
目次

アレルギー表示の基本ルール|28品目とは何か

食品表示法と食品表示基準によって、食品に含まれるアレルゲンの表示は法的に義務付けられています。2023年3月の改正で「くるみ」が義務表示に追加され、2025年3月までに完全移行となりました。まず、現時点での28品目を正確に把握することが出発点です。

義務表示(特定原材料)8品目

表示を省略することは一切できない、最重要の8品目です。

# 品目 主な食品例
1 卵焼き、マヨネーズ、ケーキ
2 牛乳、バター、チーズ
3 小麦 パン、パスタ、醤油
4 そば そば粉、そばつゆ
5 落花生(ピーナッツ) ピーナッツバター、菓子類
6 えび えびせんべい、エビフライ
7 かに かにかま、カニ缶
8 くるみ 菓子類、パン

OEM製造では、原材料の原料(原々材料)にこれらが含まれているケースがあります。サプライチェーン全体で確認する習慣をつけましょう。

推奨表示(特定原材料に準ずるもの)20品目

義務ではありませんが、消費者への情報提供として表示が推奨されています。

カテゴリ 品目
魚介類 あわび、いか、いくら、さけ、さば
肉類 牛肉、豚肉、鶏肉
果物 オレンジ、キウイフルーツ、もも、りんご、バナナ
野菜・豆類 やまいも、大豆
きのこ類 まつたけ
その他 カシューナッツ、ごま、アーモンド、ゼラチン

「推奨だから後回しでいい」と判断するメーカーは少なくありません。ただ、消費者保護の観点から見れば、できる限り表示するほうが信頼構築につながります。

個別表示と一括表示、どちらを選ぶべきか

アレルギー表示には「個別表示」と「一括表示」の2方式があります。どちらが義務という決まりはありませんが、選択によって消費者への伝わり方が大きく変わります。

個別表示のメリットとデメリット

個別表示とは、各原材料の後に括弧書きでアレルゲンを記載する方式です。

例:「マヨネーズ(卵・大豆を含む)」「しょうゆ(小麦・大豆を含む)」

どの原材料にアレルゲンが含まれているかが一目でわかるため、消費者が代替品を判断しやすくなります。一方で、複数の原材料に同じアレルゲンが入ると重複が増え、原材料名が長くなる点はデメリットです。

一括表示を選ぶべきケース

一括表示は、原材料欄の最後に「(一部に卵・乳成分・小麦を含む)」とまとめて記載する方式です。

原材料の種類が多い複合製品や加工食品では、一括表示のほうがすっきり見えます。ただし、一括表示を選んだ場合でも、すべてのアレルゲンを漏れなく記載する義務は変わりません

比較項目 個別表示 一括表示
視認性 高い(どの成分かわかる) 低い(まとめて表示)
記載のシンプルさ 複雑になりがち シンプル
向いている製品 原材料が少ない製品 多原料の加工品
漏れへの気づきやすさ 気づきやすい 漏れが起きやすい

製品の特性に合わせて方式を選び、その選択理由を記録に残しておくことをおすすめします。

コンタミネーション注意喚起表示の正しい書き方

コンタミネーション(交差汚染)とは、製造ラインや設備の共有によって、意図せずアレルゲンが混入するリスクのことです。この注意喚起表示は任意表示ですが、見落とすと重大な事故につながる可能性があります。

コンタミ注意喚起表示の書き方

正しい書き方には明確なルールがあります。実務でよく迷うポイントなので、具体例で確認しておきましょう。

正しい例
– 「本製品は小麦を使用した設備で製造しています」
– 「本製品製造工場では落花生(ピーナッツ)を含む製品を製造しています」

やってはいけない例
– 「○○が入っている可能性があります」→ 根拠のない表現は不可
– 「微量含まれる場合があります」→ あいまいな表現はNG

注意喚起表示を書く場合は、実際の製造ラインや設備の使用状況を委託先に確認し、事実に基づいた表現にする必要があります。

コンタミ注意喚起表示の落とし穴

注意してほしいのが、「書けば書くほど良い」というわけではない点です。

消費者庁の見解では、実際にリスクが存在しない製品にコンタミ注意喚起を記載することは、かえって消費者を混乱させるとされています。義務表示の代わりに注意喚起表示を使うことも認められていません。

OEM製造を依頼するときは、製造委託先から設備の共用状況について書面で確認書をもらうことを必ず実施してください。

OEM製造委託先との情報共有フロー

食品OEMにおけるアレルギー表示の最大のリスクは、「情報の伝達ミス」です。委託先と発注者の間で原材料情報がうまく共有されないと、表示内容に誤りが生じます。

原材料確認シートの活用

OEMでは一般的に、委託先から「原材料仕様書」や「アレルゲン確認シート」を入手します。受け取るだけでなく、以下のポイントを必ずチェックしましょう。

チェック項目 確認内容
原材料の原料(原々材料) サプライチェーンの上流まで確認しているか
設備の共用状況 他製品のアレルゲンが混入するリスクはあるか
原材料の切り替え 配合変更時に通知する仕組みがあるか
確認書の更新日 最新の情報に基づいているか

特に「原材料の切り替え」は見落としがちです。委託先がコスト削減などで原材料を変更したとき、発注者への通知が漏れるケースが実際に起きています。契約書に「配合変更時の事前通知義務」を明記しておくことを強くおすすめします。

ダブルチェック体制の構築

社内でのダブルチェック体制を整えることも、リコールを防ぐうえで重要です。

ステップ 担当 内容
1 購買・調達 委託先から原材料仕様書を受領
2 品質担当 28品目を照合・アレルゲン一覧を作成
3 表示担当 原材料欄の表示文字を作成
4 品質×表示 互いにクロスチェック
5 外部専門家 食品表示診断士等による最終確認(推奨)

このフローを文書化し、チェック済みの記録を残しておくと、万が一の際に「適切な体制で確認した」という根拠になります。

リコール事例から学ぶ|表示ミスで起きたこと

実際のリコール事例から学ぶことには、知識習得とは違う重みがあります。国内で発生する食品リコールの原因として、アレルギー表示の誤りは上位に挙げられるものの一つです。

表示ミスによるリコールの主な原因

原因 具体例
成分変更の未反映 副原料メーカーが変わり新たなアレルゲンが追加されたのに表示を更新しなかった
原々材料の見落とし しょうゆに小麦が含まれていることを把握していなかった
記載漏れ 多原料製品の一括表示で1品目を記載し忘れた
校正ミス 最終デザインデータでアレルゲン名が削除されていた

これらの事例に共通しているのは、「誰か一人が確認すればよかった」という体制の甘さです。個人の注意力に頼るのではなく、仕組みで防ぐことが重要です。

チェックリストの効果的な使い方

チェックリストはただ作るだけでは意味がありません。「書いたら終わり」ではなく、「確認した証拠を記録に残す」ことが本質です。

電子ファイルで管理する場合は、チェックした担当者名と日付を残す欄を設けましょう。紙管理でも、印鑑や署名で確認の痕跡を残します。少なくとも2名以上が独立してチェックを行う仕組みにすることが、業界のベストプラクティスです。

まとめ|アレルギー表示は「仕組み」で守る

食品OEMにおけるアレルギー表示の管理は、個人の注意力ではなく仕組みで対応することが本質です。

  • 義務表示8品目(くるみ含む)は絶対に漏らしてはならない
  • 推奨表示20品目も積極的に対応することで消費者の信頼が高まる
  • 個別表示・一括表示はメリット・デメリットを理解して選択する
  • コンタミ注意喚起表示は事実に基づいた表現にする
  • OEM委託先との情報共有は「書面」「定期確認」「変更通知義務」が三原則
  • リコールを防ぐには仕組みとダブルチェック体制が必要

食品OEMは、一社だけで製品を作るわけではありません。だからこそ、アレルギー表示の管理は「サプライチェーン全体」で考える必要があります。

「表示が正しいかどうか、一度プロに確認してもらいたい」という方は、ぜひ食品OEM窓口にご相談ください。

よくある質問

Q1: 義務表示の8品目はどれですか?

A1: 卵・乳・小麦・そば・落花生(ピーナッツ)・えび・かに・くるみの8品目です。2025年3月以降はくるみが完全義務化されています。これらを1品目でも漏らすと食品表示法違反となるため、製品ごとに必ず確認してください。

Q2: コンタミネーション注意喚起表示は必ず書かなければなりませんか?

A2: 任意表示です。ただし、実際に製造ラインや設備を共用している場合は、書かないことで消費者に不利益が生じます。重要なのは「事実に基づいた表現」で書くこと。根拠のない表現や、義務表示の代わりとして使うことは認められていません。

Q3: OEM委託先に原材料確認書を求めるとき、何を確認すればよいですか?

A3: 原材料の原々材料(サプライチェーン上流)まで確認しているか、設備の共用状況、配合変更時の通知体制、確認書の更新日の4点が最低限のチェック項目です。特に配合変更の通知は契約書に明記しておくことをおすすめします。

Q4: 個別表示と一括表示は、どちらが法律上正しいですか?

A4: 両方とも認められています。法律上の優劣はありません。ただし、どちらを選んでもすべてのアレルゲンを漏れなく記載する義務は同じです。原材料が少ない製品は個別表示、多原料の加工品は一括表示が実務的にはすっきりします。

Q5: 推奨表示の20品目は表示しなくても問題ありませんか?

A5: 法律上の義務ではないため、表示しなくても違法にはなりません。ただし、アレルギー患者や保護者の方が購入を判断する重要な情報です。消費者への安全配慮と信頼構築の観点から、できる限り表示することを強くおすすめします。

Q6: 表示ミスが発覚した場合、どう対処すればよいですか?

A6: まず社内でリスクの重大性を判断し、該当アレルゲンに反応する可能性がある消費者に危害が及ぶ場合は速やかに消費者庁・保健所へ連絡のうえ自主回収を検討します。「気づかなかった」では済まないため、日頃の体制構築と定期的な表示の見直しが何より重要です。

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この記事を書いた人

株式会社Agriture 代表取締役/食品OEMコンシェルジュ 乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業を手がける株式会社AgritureのCEO。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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