食品OEM広告の景表法NG事例【優良誤認を防ぐ表現術】

目次

この記事でわかること

  • 景品表示法(景表法)における優良誤認・有利誤認の違い
  • 食品OEM業界で実際に問題となったNG表現の具体例
  • 「No.1」「手作り」「無添加」の適正使用基準と言い換えサンプル
  • SNS・インフルエンサー広告での最新規制(2023年〜)の対応策
  • 公開前にすぐ使えるセルフチェックリスト

「この広告コピー、本当に問題ないか?」——そう自問しながら公開ボタンを押した経験はありませんか。

食品OEMで商品を立ち上げ、いよいよプロモーションに入る段階で、広告表現の適法性に頭を抱える担当者は少なくありません。消費者庁が2022年度に発令した景品表示法違反の措置件数は82件。食品・飲料カテゴリは常に上位を占めており、「他社もやっているから大丈夫」という感覚はもう通用しません。

この記事では、食品OEMの広告・パッケージで実際に問題となったNG事例を分類して整理し、明日の実務にすぐ使えるコンプライアンスのポイントをお伝えします。

景品表示法とは?食品OEMで絶対に知っておくべき2つの規制

景表法には大きく「優良誤認」と「有利誤認」の2種類の違反があります。どちらも措置命令・課徴金の対象になりますが、現場での混同が多いため、まず定義から確認しておきましょう。

優良誤認表示とは

「優良誤認表示」とは、商品・サービスの品質・規格・内容について、実際よりも著しく優良であると示す表示のことです。

典型的なのが「国産原料100%使用」と表示していたのに実際は80%だったケース。消費者は「100%」という数字を信じて購入するため、これは景表法違反となります。食品OEMでは、製造委託先の原材料構成と発注側のパッケージ表示がズレやすい構造上、特に発生しやすいトラブルです。

有利誤認表示とは

「有利誤認表示」は、価格・数量・取引条件などについて、実際よりも有利であると誤認させる表示です。

「通常価格5,000円のところ今だけ2,500円!」という表示でも、通常価格での販売実績がほとんどなければ違反となります。EC展開が多い食品OEM製品では特に注意が必要な類型です。

違反した場合のペナルティ

景表法違反が認定されると措置命令の対象となり、ブランドイメージへのダメージは計り知れません。売上高の3%を課す課徴金制度は2016年に導入済み。2023年の法改正では適用範囲の拡大や返金制度の整備が加わり、規制はさらに厳格化されています。

違反の種類 内容 主なペナルティ
優良誤認 品質・内容の誇大表示 措置命令・課徴金(売上3%)
有利誤認 価格・条件の誇大表示 措置命令・課徴金(売上3%)
ステマ 広告であることを隠す 措置命令(2023年10月〜)

実際にあった!食品OEMの優良誤認NG事例5選

事例を見ると「うちでもやっていた」と気づくケースが少なくありません。5つの類型を具体的に解説します。

「No.1」「顧客満足度1位」表示のNG事例

「売上No.1」「顧客満足度96%」といった表示は、根拠が曖昧なまま使うと景表法違反になります。No.1表示には以下の3要件が必要です。

  1. 調査の対象が明確であること(どの市場で?いつのデータ?)
  2. 調査方法が客観的であること(第三者機関による調査など)
  3. 根拠資料を保有していること

実際に措置命令を受けた事例では「調査対象の範囲が恣意的に絞られていた」ケースが複数あります。「なんとなく売れているから」でNo.1表示をつけるのは、リスクが高すぎます。

「手作り」「職人の味」のNG事例

工場で機械製造しているにもかかわらず「手作り」「職人が丹精込めた」と表示するのは優良誤認の典型例です。OEM製造では、製造委託先が全自動ラインを使っていても、発注側がパッケージに「手作り」と入れてしまうケースが後を絶ちません。

NG表現 OK表現
手作り 職人レシピを再現
職人が作った 職人監修
小さな工場で丁寧に 専門工場で品質管理
昔ながらの製法 伝統製法をもとに開発

「無添加」「自然素材100%」のNG事例

「無添加」表示については、消費者庁が2022年に公表したガイドラインにより、何が「無添加」なのかを具体的に明示しないと不適切とされるケースがあります。

「合成着色料無添加」「保存料不使用」のように対象を明記するのが正解です。「完全無添加」「全添加物フリー」のような表現は根拠の証明が難しく、基本的に避けるのが無難です。

「こだわり」「厳選素材」の誤用事例

「こだわり」という言葉自体は禁止されていませんが、具体性がないと「優良誤認のおそれあり」と判断されることがあります。

「北海道産農家から直接仕入れた小麦を使用」と書けばこだわりを具体的に証明できますが、「厳選素材を使用」だけでは根拠になりません。あいまいな修飾語こそが景表法リスクの温床です。見落としがちな落とし穴として、ぜひ意識しておいてください。

効能・健康効果の誇大表示

「飲むだけで体重が落ちる」「血糖値を下げる効果」のような医薬品的な効能効果の標ぼうは、景表法だけでなく薬機法にも抵触します。食品として販売するなら、機能性表示食品や特定保健用食品(トクホ)の届出なしに健康効果を謳うことはできません。

有利誤認表示のNG事例と対策

価格表示の誤りは、消費者から直接クレームが来やすい領域です。自社ECの価格設定を今一度見直してみましょう。

「通常価格」「定価」を使った偽装値引き

「通常4,980円→今だけ1,980円」という表示をするには、実際に4,980円で一定期間販売した実績が必要です。消費者庁の「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」では、直近8週間のうち過半数の期間において当該価格で販売していたことが求められています。

「○%オフ」の根拠なし表示

「50%オフ」と書くなら、何に対して50%なのかを明示する義務があります。「市場価格比」「メーカー希望小売価格比」など、比較基準を広告内に明記することがポイントです。

比較表示の種類 必要な根拠
○円引き 元の価格での実際の販売実績
○%オフ 比較基準の明示と根拠資料
他社比較 比較対象の特定と公正な比較

SNS・インフルエンサー広告での景表法の注意点

SNSでの販売促進が当たり前になった今、このセクションを読み飛ばすのは危険です。2023年以降、規制環境が大きく変わっています。

ステルスマーケティング規制(2023年10月施行)

2023年10月から、事業者が関与する投稿はすべて景表法の適用対象となりました。インフルエンサーに商品提供や報酬を渡して投稿させる場合、「#PR」「#広告」の明示が必須です。

表示がなければ「ステルスマーケティング」として措置命令の対象になります。対応が遅れている食品ブランドがまだ多い領域なので、今すぐ社内フローを見直すことをおすすめします。

インフルエンサー依頼時のチェックポイント

  • 「#PR」または「広告」「提供」の明記を契約書に盛り込む
  • 効能・健康効果に関する表現は事前レビューを必須にする
  • 投稿内容の確認プロセスをフロー化する
  • インフルエンサー側にも景表法・ステマ規制の基礎知識を共有する

即使える!景表法コンプライアンス セルフチェックリスト

広告・パッケージを公開する前に、以下の項目を担当者全員で確認してください。「これは大丈夫だろう」という感覚的な判断が最も危険です。

表示内容の確認チェックリスト

チェック項目 確認ポイント
No.1・1位表示 調査対象・調査方法・実施時期を根拠資料で証明できるか
数値・パーセンテージ 出典元・調査期間が広告内に明記されているか
手作り・職人 実際の製造工程と表示内容が一致しているか
無添加 何の添加物が不使用かを具体的に表示しているか
健康効果 薬機法・健康増進法に抵触する表現がないか
価格表示 比較基準価格での販売実績が8週間以上あるか
SNS投稿 PR・広告表示が目立つ形で入っているか

公開前に準備しておくべき書類

  1. 表示根拠資料(市場調査報告書、第三者機関の試験証明書など)
  2. 比較対象の根拠(市場データ、自社販売履歴など)
  3. 製造工程を示す資料(委託先との確認書類含む)

迷ったときは消費者庁のガイドラインを確認するか、弁護士・行政書士に相談してください。グレーゾーンを「たぶん大丈夫」で通過させるコストは、措置命令を受けてからのコストとは比べものになりません。

まとめ:景表法対策は「根拠を持つこと」がすべて

食品OEMの広告・パッケージにおける景表法対応は、以下の5点に集約されます。

  • 優良誤認・有利誤認の両方を常に意識する
  • No.1表示には第三者機関による客観的な根拠資料が必須
  • 「手作り」「無添加」「こだわり」は具体的な事実で裏付ける
  • SNS広告ではステマ規制(2023年〜)への対応が急務
  • 公開前チェックリストを組織内プロセスとして定着させる

景表法は「知らなかった」では済みません。OEM製品のブランド価値を守るためにも、今回ご紹介したNG事例とチェックリストをぜひ実務に活用してください。

食品OEM窓口では、法規制に対応した商品開発・パッケージ表現のご相談も承っています。

よくある質問

Q1: 「No.1」表示を使うには何を準備すればよいですか?

A1: 第三者機関による市場調査など、客観的な根拠資料が必要です。調査対象・調査方法・実施時期を明記した報告書を保有し、広告内または注釈で概要を示すことが求められます。「社内アンケートで1位だった」「なんとなく売れているから」という理由では不十分です。

Q2: 「無添加」という表現は使えませんか?

A2: 「無添加」という言葉自体が禁止されているわけではありませんが、何が無添加なのかを具体的に示す必要があります。「合成着色料無添加」「保存料不使用」のように明記してください。「完全無添加」「すべての添加物を使用していない」という表現は証明が難しく、基本的に避けるのが安全です。

Q3: インフルエンサーに商品を無料提供した場合もPR表示が必要ですか?

A3: はい、必要です。2023年10月施行のステルスマーケティング規制では、商品提供・報酬の有無にかかわらず、事業者が投稿内容に関与している場合はPR表示が義務づけられています。「#提供」「#PR」「広告」のいずれかを目立つ形で表示してください。

Q4: 景表法違反の課徴金はどのくらいになりますか?

A4: 課徴金は対象取引の売上高の3%です。たとえば対象商品の売上が1億円であれば300万円が課される計算になります。ただし課徴金は違反継続期間などの条件によって発令されます。措置命令は単独でも発令されるため、早期の自主的な是正が重要です。

Q5: OEM製造を委託している場合、景表法の責任は発注側と製造側のどちらですか?

A5: 広告・パッケージの表示内容を決定した側に責任が生じます。OEMの場合は発注企業(ブランドオーナー)がコンテンツを決定しているケースがほとんどですので、発注側が景表法の責任主体となります。委託先との契約書に表示内容の確認プロセスを明記しておくことが重要です。

Q6: SNSの自社公式アカウントの投稿も景表法の対象になりますか?

A6: はい、対象になります。自社公式アカウントからの投稿は「事業者の表示」として景表法が適用されます。優良誤認・有利誤認にあたる表現はSNSでも違法となりますので、広告と同じ基準でチェックすることが必要です。

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この記事を書いた人

株式会社Agriture 代表取締役/食品OEMコンシェルジュ 乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業を手がける株式会社AgritureのCEO。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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