ラスクOEM製造委託|パン屋が知るべき5つのポイント

「うちのラスクをOEMで商品化したいけど、何から始めればいいかわからない」

パン屋さんやケーキ屋さんから、こんな相談が届きます。ラスクは常温で3〜6ヶ月保存できるため、店頭販売だけでなくギフトや通販にも展開しやすい商品です。それなのに、いざOEMを検討すると「最低ロットはいくつ?」「どんな味が作れる?」「コストはどれくらい?」という疑問が次々と出てきます。

この記事では、その答えをすべて出します。ベースパンの選び方からフレーバー設計、原価率の考え方、SDGs訴求による差別化まで、実務目線で解説します。

この記事でわかること

  • ラスクOEMを始める前に知っておくべき基礎知識
  • ベースパン・フレーバーの組み合わせ方と技法
  • 原価率30%以下を実現するための数字の考え方
  • 食品ロス削減をビジネスに活かすSDGs戦略
  • ギフト向けパッケージの選定ポイント

目次

ラスクOEMとは?なぜ今、注目されているのか

ラスクのOEM(Original Equipment Manufacturer)とは、自社ブランドのラスクを他社工場に製造委託することです。パン屋やケーキ屋が「うちのオリジナルラスク」として販売するために、専門の製造工場へ依頼する形態を指します。

自社製造とOEMの違い

自社製造は設備投資が必要で、オーブンの温度管理や二度焼き工程を安定させるには熟練の技術が要ります。OEMなら製造の品質管理を専門工場に任せながら、ブランドづくりやマーケティングに集中できます。やるべきことが絞られる分、スタートのハードルも下がります。

ラスクが選ばれる3つの理由

  1. 常温で3〜6ヶ月の長期保存が可能で、廃棄ロスが少ない
  2. 小ロット(500個〜)から対応可能なOEM工場が増えている
  3. ギフト市場での需要が高く、単価を引き上げやすい

特に「日持ちの長さ」は、ケーキや生菓子を扱うお店にとって大きな強みになります。生菓子と組み合わせてギフトセットにすることで、客単価の底上げも狙えます。

ベースパンとフレーバーの選び方

ラスクの完成品の風味は、ベースとなるパンの種類に大きく左右されます。ここがOEM設計の肝です。

ベースパンの種類と特徴

ベースパン 食感の特徴 向いているフレーバー
フランスパン(バゲット) 軽くてサクサク、歯切れよい シュガー、ガーリック
食パン やわらかな口溶け メープル、シナモン
クロワッサン バター風味が豊か、リッチ感 チョコ、キャラメル
ブリオッシュ 卵・バター感が強く高級感 ストロベリー、抹茶

フランスパンが最もポピュラーで、価格帯も抑えやすいです。ブリオッシュは原材料コストが上がる分、高単価ラインでの展開に向いています。

フレーバーコーティングの技法

フレーバーの塗布方法は大きく2種類あります。

方法 特徴 向いているフレーバー
バター塗布後にオーブン焼き 風味がパンに染み込む シュガー、ガーリック、明太子
二度焼き後にチョココーティング 均一な仕上がり、見た目がきれい チョコ、ホワイトチョコ、抹茶

明太子やガーリックなどしょっぱい系は、バター塗布後に焼き込む方法が一般的です。チョコ系は二度焼き後にテンパリングしたチョコをコーティングします。OEM工場によって対応フレーバーに差があるため、依頼前に必ず確認してください。

二度焼き工程がサクサク食感を決める

ラスクのあの独特のサクサク感は、「二度焼き(ダブルベイク)」によって生まれます。一度焼いたパンを薄くスライスし、低温(120〜140℃)でじっくりと再加熱することで、水分を徹底的に飛ばします。

製造工程の流れ

ステップ 内容
1. ベースパン焼成 通常の製パン工程でパンを焼く
2. スライス 均一な厚さ(約8〜12mm)にカット
3. フレーバー塗布 バター・砂糖・スパイス等を均一に塗る
4. 二度焼き 低温オーブンで30〜60分、水分を飛ばす
5. 仕上げ チョココーティング等の追加工程
6. 包装 個包装・袋詰め・箱詰め

温度と時間の管理が品質を左右します。家庭用オーブンでは再現が難しく、専門工場のほうが品質の均一性は格段に上がります。これがOEMを選ぶ実質的なメリットのひとつです。

原価率30%以下を実現するためのコスト設計

「ラスクは利益率がいい」とよく言われますが、設計を誤ると原価率が40%を超えることもあります。具体的な数字で考えてみましょう。

初期費用の内訳

費用項目 目安金額
試作・開発費 3〜10万円
パッケージデザイン費 5〜20万円
パッケージ初回製造費(版代) 3〜15万円
合計目安 15〜50万円

2回目以降の発注からは版代が不要になるため、ランニングコストは下がります。

ロット数と単価の関係

1個あたりの製造コストは、ロット数によって大きく変わります。

発注ロット 1個あたり製造コスト目安 小売想定価格 原価率目安
500個 150〜200円 500〜600円 30〜40%
2,000個 100〜130円 450〜550円 20〜29%
5,000個〜 80〜100円 400〜500円 18〜25%

ロット2,000個以上になると、原価率30%以下を実現しやすくなります。まず500個で市場の反応を確認し、手応えがあれば増産する。その流れが現実的です。

食品ロス削減・SDGs訴求で他社と差別化する

ラスクは「食品ロス削減」との相性が非常にいい商品です。この切り口を使っているブランドはまだ少なく、差別化の余地が残っています。

パンの端材をラスクに活用する

フランスパンやバゲットを製造・販売していると、端材(バゲットの両端など)や売れ残りが出ます。これらは通常廃棄になりますが、ラスクの原料として活用することで食品ロスを削減できます。

実際に、端材活用で製造コストをさらに10〜20%削減したケースも出ています。OEM工場によっては「端材持ち込みOEM」に対応しているところもあるため、依頼前に相談してみてください。

SDGsラベルが購買決定を後押しする

「食品ロス削減に貢献したラスク」というストーリーは、消費者やバイヤーへの訴求力があります。特にギフト市場では、「贈り物がサステナブルな取り組みを支援している」というメッセージが響きます。

パッケージに「食品ロス削減への取り組み」を明記したり、SDGs関連の訴求を加えたりすることで、同価格帯の競合商品との差別化になります。バイヤーへのプレゼンでも、この切り口は評価されやすいです。

パッケージ設計とギフト展開のポイント

パッケージ次第で、ラスクは単なるお菓子からプレミアムギフトに変わります。販売チャネルに合わせた形態選びが、売上に直結します。

ギフト缶・セロファン・ボックスの比較

パッケージ形態 特徴 向いている販売チャネル
ギフト缶 高級感・保存性高い・再利用可能 ギフト・通販・百貨店
セロファン個包装(袋詰め) コスト低・汎用性高い 店頭・カフェ・量販店
窓付きボックス 中身が見えて訴求しやすい 店頭・EC・ブライダル

ギフト缶は1個あたりのパッケージコストが50〜150円程度かかりますが、単価を1,500〜3,000円に設定できるため、利益額は大きくなります。セロファン個包装は低コストで量販に向いており、ロット消化もしやすい形態です。

パッケージを確定する前のチェックリスト

  • 食品表示法に基づく必要事項の記載(製造者、原材料、アレルゲン、保存方法、賞味期限欄)
  • 表・裏のデザインと法令表示のレイアウト確認
  • 防湿・防臭対応(ガーリックや明太子フレーバーは特に注意)

OEM工場がパッケージデザインの確認を一緒に行ってくれる場合もありますが、最終確認は発注者側の責任です。食品表示は専門家への確認を強くおすすめします。

まとめ:ラスクOEMで新たな収益柱を作る

ラスクOEMで成功するためのポイントは5つです。

  1. ベースパン×フレーバーの組み合わせを戦略的に設計する
  2. ロット2,000個以上を目標に、原価率30%以下を目指す
  3. 二度焼き工程の品質を安定させるために信頼できる工場を選ぶ
  4. 食品ロス削減・SDGs訴求を差別化ポイントとして積極的に活用する
  5. ギフト缶やセロファン包装でチャネルごとに商品を展開する

ラスクは、自社のパンブランドを活かしながら新しい収益源を作れる商品です。まずは試作から動いてみてください。

食品OEM窓口では、ラスクをはじめとする焼き菓子のOEM製造をサポートしています。ご相談はお気軽にどうぞ。

よくある質問

Q1: ラスクOEMの最低発注ロットはどのくらいですか?

A1: 工場によって異なりますが、一般的に500個〜1,000個から対応しているところが多いです。まずは小ロットで試して、販売状況に応じて増産するのが現実的な進め方です。

Q2: 試作からどのくらいの期間で商品化できますか?

A2: 試作・調整・パッケージ制作・初回製造を含めると、一般的に3〜6ヶ月程度かかります。パッケージデザインのリテイク回数や食品表示の確認期間によって前後します。

Q3: 自店のパンの端材を使ってラスクを作ることはできますか?

A3: 対応しているOEM工場もあります。「端材持ち込みOEM」として受け付けているかどうかは工場ごとに異なるため、事前に相談してみてください。食品ロス削減の観点でSDGsアピールにもつながります。

Q4: フレーバーは何種類まで同時に依頼できますか?

A4: 工場によりますが、2〜4種類を同時に依頼するケースが多いです。種類が増えるほど試作費や切り替えコストがかかるため、まずは主力フレーバー2種類から始めるのが無難です。

Q5: チョコレートコーティングのラスクは夏場の品質管理が難しいと聞きましたが?

A5: チョココーティングは高温・多湿に弱く、28℃以上でブルーム(白く曇る現象)が起きやすいです。夏場は常温保管を避け、輸送時の温度管理を徹底するか、シュガーやガーリックなど熱に強いフレーバーに切り替えることを検討してください。

Q6: OEMと自社製造を比べたとき、品質面でどちらが優れていますか?

A6: 一概には言えませんが、二度焼き工程の温度・時間管理という点では、専門工場のほうが品質が安定しやすいです。自社製造は職人の手仕事感を打ち出せる一方、スケールアップには設備投資が必要になります。

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

株式会社Agriture 代表取締役/食品OEMコンシェルジュ 乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業を手がける株式会社AgritureのCEO。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

目次