食品の水分率5%を実現する新技術「摩擦乾燥」とは? OEMインタビューVol3 サハシ特殊鋼株式会社

インタビュアー:株式会社Agriture 木村

食品の乾燥工程では、温風乾燥や加熱水蒸気乾燥といった従来方式が広く用いられてきました。一方で、処理時間の長さやエネルギーコストの高さ、さらに水分値の調整の難しさが課題となっています。

こうした課題を、「摩擦乾燥」という新技術で解決しようとしているのが、創業120年を超えるサハシ特殊鋼株式会社です。

同社の摩擦乾燥機「DRY-E」は、食品の水分率を約90%から約5%まで低減することに成功。摩擦熱で乾燥させた原材料は健康食品や長期保存食品、化粧品原料への応用も期待でき、高付加価値商品の開発につながります。

本記事では、サハシ特殊鋼株式会社の取締役、佐橋 拓弥様に摩擦乾燥技術の仕組みと導入メリット、食品分野での活用実績、そして今後の展望を伺いました。

目次

創業120年 特殊鋼材卸から環境事業までビジネスを拡大

サハシ特殊鋼株式会社 取締役 佐橋 拓弥様 

―まず、御社の事業内容について教えてください。

弊社は1903年創業の歴史のある企業です。当初は特殊鋼材の卸から始まりその後、機械加工、自動車産業向けのライン設備や水処理のプラント事業に着手してきた歴史があります。

既存の分野にとらわれず、常に挑戦し続けることを理念としております。

―そうした事業展開の中で、環境事業を始められたきっかけを教えてください。

環境事業は弊社にとって新しい事業で、約6〜7年前に開始しました。

参入のきっかけは、環境問題がトレンドになる少し前、仕入業者との縁から始まりました。その業者が開発した、使用済み紙おむつ処理のための摩擦乾燥機の技術に共鳴し、事業をスタートさせています。

水分値が5%に!食品乾燥の新常識 摩擦乾燥とは?

摩擦乾燥機「DRY-E」

―摩擦乾燥機の技術的な特徴を教えてください。

摩擦乾燥機「DRY-E」の最大の特徴は、外部から熱を加えず、羽のついたシャフトが高速回転することで食品を粉砕し、その際に発生した熱で乾燥をさせる技術です。

この仕組みにより、水分率約90%の原料でも短時間で約5%まで乾燥でき、従来は複数工程が必要だった乾燥・粉砕処理を1台に集約することが可能です。

水分値をここまで下げられるなら、さまざまな用途に活用できますね。

―他の乾燥技術と比べた場合の違いはなんでしょうか。

乾燥方法別の比較表

温風乾燥加熱水蒸気乾燥摩擦乾燥(DRY-E)
乾燥の仕組み表面から蒸発高温蒸気で加熱乾燥粉砕しながら広い表面積で均一に乾燥
熱の伝わり方空気経由蒸気による加熱金属シャフトから直接伝熱
粉砕機能なし(別工程)なし(別工程)乾燥と同時に微粉砕可能

従来の温風乾燥や加熱水蒸気乾燥では、乾燥と粉砕を別工程で行う必要があり、処理時間やエネルギーコストが課題となっていました。

一方、摩擦乾燥は金属シャフトから原料へ直接熱を伝えながら乾燥と粉砕を同時に行えるため、熱効率は対象の種類に応じて最大70%と高く、乾燥時間の短縮とエネルギーコストの削減が期待できます。

さらに、数十〜数百ミクロンレベルの微粉砕が可能なため、化粧品などの分野にも応用が可能と考えています。

ただし、摩擦乾燥にも不得意な分野はあります。摩擦乾燥機は、タンパク質系、例えばゆで卵などは得意ですが、糖度の高いもの、例えばジャガイモなどは不向きな場合があります。

―「DRY-E」導入によるメリットをどのようにお考えですか。

最大の利点は、乾燥と粉砕を1工程化できる点です。

これにより、乾燥時間の短縮・設備費・エネルギーコストの削減を同時に実現できます。

また、乾燥後の水分率を非常に低くできる点も大きな強みです。特に日持ちさせたい食品に向いており、災害時用食品など新たな商品展開を可能にします。

摩擦乾燥で食品の輸出・長期保存を実現 新たなビジネスチャンスへ

―食品分野での導入実績や活用例を教えてください。

現在、米粉の製造会社様に導入実績があります。弊社の機械をきっかけに新たに食品事業を立ち上げた企業です。

米を粉にすることで輸出可能となり、新たな販路拡大が期待できます。さらに摩擦乾燥によって水分率をおさえるため、軽量化でき、輸送コストの削減にもつながります。

「DRY-E」は、4件の特許を取得しており、これまで大手メーカーが長年実現できなかったゆで卵単体での粉末化を可能にするなど、予想外の成果を生み出しています。

吹き出しコメント:高たんぱくパウダーや長期保存食品など新しい商品開発に応用できそうです!

よもぎ、コーヒー、お茶、大豆、キクラゲなどの試作事例もあり、乾燥や粉砕工程に課題をお持ちの企業にはぜひ一度ご相談いただきたいと考えています。

―今後、注力していきたい分野はどこでしょうか。

今後は、食品業界や化粧品業界への進出を強化していきたいと思います。特に健康食品や化粧品原料となる高付加価値パウダーの製造に注力していきたいと考えています。

「DRY-E」をきっかけにして、新商品開発や市場開拓など、お客様の新たなビジネス創出に貢献したいと考えています。

「DRY-Eは、夢がある機械」まずは気軽に試してほしい

―最後に、OEM企業の方々へメッセージをお願いします。

摩擦乾燥機は「夢がある機械」だと考えています。新しい技術だからこそ、予期しない成果につながる可能性もあります。

また、弊社は機械販売だけでなく、内容によっては受託加工(OEM)にも対応できる体制を整えています。

実際に処理できるか試したい場合は、試作相談からご検討いただけます。ぜひご連絡ください。

試してみるだけでも意外な発見がありそうです。自社の乾燥工程の課題をぜひご相談ください。

会社概要

社名サハシ特殊鋼株式会社
URLhttps://www.sahashi-steel.co.jp/
本社所在地〒455-0815 愛知県名古屋市港区油屋町1-33

摩擦乾燥機「DRY-E」詳細

摩擦乾燥機「DRY-E」
機械本体サイズW:1720xD:3300xH:1734
1kgの処理にかかる平均電気使用量0.5~1.5kWh/kg-input (電気代25円/kWhの場合、約12.5円~37.5円/kg)
機械処理量0.5kg~2kg/分
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この記事を書いた人

食品OEM専門メディア「食品OEMの窓口」で、記事の企画・執筆を担当。
食品OEMの始め方やOEMメーカーの比較記事、メーカーへのインタビュー記事などを数多く手がけています。

専門性の高いテーマでも、はじめてOEMを検討する方が迷わず理解できるよう、具体的でわかりやすい表現を心がけています。

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