カゼインプロテインのOEM製造ガイド|持続吸収型の特性を活かした設計・市場活用のポイントとは

筆者紹介

目次

プロテイン=ホエイだけではありません。もうひとつの主要な乳由来プロテインとして知られる「カゼインプロテイン」は、ゆっくり吸収される持続型プロテインとして、アスリート・就寝前の栄養補給・ダイエットユーザーなどから支持されています。

欧米では「ナイトプロテイン」として定番化しており、日本国内でもトレーニング愛好家や健康志向層向けに差別化商材として注目度が上昇中です。本記事では、カゼインプロテインの特徴、ホエイとの違い、目的別の使い分け方、OEM開発時の活用法までを実務レベルで深掘りします。

カゼインプロテインとは?──“長時間型たんぱく質”の代表格

カゼインプロテインは、牛乳に含まれるたんぱく質の約80%を占める成分で、胃の中でゆっくりとゲル状に固まる性質を持っています。これにより消化吸収が非常にゆっくりで、7〜8時間かけてアミノ酸が血中に供給されるのが最大の特徴です。

一方、ホエイ(乳清たんぱく)はわずか20%程度。吸収は早いものの、血中アミノ酸濃度のピークは短時間で終わります。カゼインはこの“持続性”を活かし、夜間の筋分解抑制や、間食・食事置き換えプロテインとして最適です。

ホエイとカゼインの違い──「速攻型」か「持続型」か

特性ホエイプロテインカゼインプロテイン
由来乳清(ホエイ)牛乳の主要たんぱく質
吸収速度非常に速い(30分~1時間)非常に遅い(7~8時間)
血中アミノ酸濃度急上昇・急下降ゆるやかに上昇・長時間持続
向いている時間帯運動直後・朝就寝前・間食・置き換え
特徴的成分BCAA・ロイシングルタミン・カルシウム
味・溶けやすさ飲みやすくサッパリやや重めでトロミあり

「筋肉を作る」ホエイに対して、「筋肉を守る」カゼイン。用途を明確に分けて使い分けることが、商品開発やOEMにおいても重要な設計思想となります。

カゼインプロテインの効果──“夜の筋肉分解”を防ぐ守りのたんぱく質

カゼインの効果は、ホエイやソイとは異なる**「緩やかで安定した栄養供給」**にあります。特に次のような効果が期待されます:

  • 就寝中の筋分解抑制:8時間かけてじわじわとアミノ酸を供給し、空腹時間でも筋肉を守る。
  • ダイエットサポート:腹持ちが良く、無駄な間食を防ぎやすい。
  • カルシウム補給:1食あたり200mg程度のカルシウムを自然摂取できる製品も。
  • グルタミン供給:腸粘膜や免疫系の維持に関与するグルタミンが豊富。

とくに「夕食が軽い方」「寝ている間の筋肉ケアを重視するトレーニー」「脂質・糖質を控えている人」にフィットする設計が可能です。

カゼインプロテインの種類──ミセルカゼイン vs カゼイネート

カゼインプロテインには大きく2タイプあり、製造方法と品質・用途が異なります。

種類特徴タンパク質含有量適した用途
ミセルカゼイン牛乳から余分な成分を除去して自然なミセル構造を保持。吸収が非常にゆっくりで品質が高い。約85〜90%ナイトプロテイン、リカバリー製品
カゼイネート(カルシウム/ナトリウム)カゼインに塩を加えて中和・可溶化したもの。溶けやすく安価だが、吸収はやや早め。約90%安価なプロテイン飲料・スナック

ミセルカゼインは“プレミアム素材”として高単価商品向けに、カゼイネートは価格重視の量産品向けに向いています。

OEM開発での活用ポイント

カゼインプロテインは、「夜飲む」「継続する」という習慣性をベースにした商品設計が重要。OEMで開発する際は、以下のポイントを抑えると成功率が上がります。

OEM設計のチェックポイント

  • ミセルカゼイン or カゼイネートの選定
  • “ナイトプロテイン”を打ち出すパッケージ・ネーミング
  • 吸収速度の違いを伝えるストーリー設計
  • バナナ・ミルクティー・黒糖など、重めのフレーバー設計が相性◎
  • ホエイとのブレンド設計で“即効+持続”の両立も可能

さらに、「ソイ+カゼイン」「ホエイ+カゼイン+BCAA」などの複合設計で、唯一無二のプロテイン商品が作れる余地もあります。

カゼインの市場での位置づけ

カゼインは、ホエイの陰に隠れがちですが、高単価でも購入されるファンが一定層存在しています。特に以下のシーンで採用が進んでいます:

  • 海外アスリート系D2Cブランド(例:ナイトリカバリー製品)
  • 高齢者向け栄養補助食品(咀嚼・嚥下性に優れる)
  • プロテインバー・アイス・プリンなどの固形機能食

OEM市場でも、“ホエイだけでは差別化できない”と感じているブランドが、カゼインを使って第2商品ラインを立ち上げるケースが増えています。

カゼインプロテインは“習慣を支える”静かな主役

筋肉をつくるホエイ、整えるソイに対して、カゼインは「守る」「持続する」ことに特化したプロテインです。その特性は、忙しい現代人の食生活や、トレーニングと睡眠の質にこだわる層に深く刺さります。

今後のプロテイン市場で勝ち残るには、「時間帯」「ライフスタイル」「続けやすさ」に着目した商品設計が不可欠。OEMでの新商品開発をお考えなら、“カゼイン”という選択肢を加えることで、独自性あるブランドを創ることができるはずです。

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