発酵食品OEM|酵素・糀・乳酸菌からドリンク・パウダーまで、商品化を叶える専門メーカー3選

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目次

発酵食品は、「素材の価値を最大化する」食品技術です。味噌や糀甘酒といった伝統食品にとどまらず、酵素ドリンク、発酵スープ、粉末機能性食品など現代の健康ニーズを反映した多彩な商品群として広がっています。しかしその一方で、発酵工程は高度な菌管理、長時間の熟成、保存設計が求められ、外注(OEM)なしでは実現が難しい分野でもあります。

本記事では、発酵食品OEMの全体像から、費用感、依頼フロー、失敗しないための選び方までを網羅的に解説。さらに、少量試作・専門技術・多様な形態に対応するおすすめ3社をご紹介します。

発酵食品OEMとは?|“菌が働く”商品を、最適な環境で仕上げる外注手法

発酵食品OEMとは、原材料を発酵させる工程を専門メーカーに委託し、自社ブランドとして販売可能な製品を製造してもらう仕組みです。

主な対象:

  • 酵素ドリンク、植物発酵エキス
  • 糀甘酒、発酵スープ、発酵ピューレ
  • 発酵ソース、ドレッシング、機能性調味料
  • 発酵パウダー(麹菌・乳酸菌など含有)
  • 発酵素材入りサプリメントや健康食品原料

OEMメーカーに依頼することで、菌種の選定から発酵設計、殺菌、包装、品質管理まで一貫して任せることができ、商品開発の負担を大幅に軽減できます。

発酵食品OEMのメリット・デメリット

メリット

  • 菌管理・衛生管理をプロに任せられる:雑菌混入の防止、最適な発酵温度・湿度の制御、pH管理などの難易度が高い工程も安全にアウトソースできます。
  • 素材の新しい価値を創出できる:規格外野菜、果皮、絞りかすなど、通常は使えない素材も、発酵によって商品化が可能になります。
  • “健康訴求”に適した商品設計ができる:酵素、乳酸菌、アミノ酸、ポリフェノールなどの自然成分を活かした商品作りが可能です。
  • 瓶・パウチ・粉末など多様な形態に対応:飲料・液体・濃縮エキス・粉末など、販路やブランドに応じて設計変更が柔軟です。

デメリット

  • 発酵時間の分だけリードタイムが長くなる:多くの製品で、仕込みから完成まで最低2週間~2ヶ月が必要になります。
  • 菌種や素材によって歩留まり・品質が不安定なこともある:生素材や無添加設計では、菌の働きや発酵進行にバラつきが出る可能性があります。
  • 商品ごとに製造条件・保存条件が異なる:加熱殺菌の有無、冷蔵/常温保存の違いなど、仕様決定が複雑になりがちです。

発酵食品OEMの依頼フロー(実務向け)

  1. コンセプト共有:目的・素材・保存形態・パッケージの希望・販売チャネルをOEM先に伝える。
  2. 素材・菌種の選定と試作設計:OEM先の菌株(乳酸菌・酵母・麹菌など)または持ち込み素材で試験設計。
  3. 試作・発酵テスト(目安2~4週間):pH・風味・菌数・成分・安定性などを確認し、商品仕様を決定。
  4. 製造・充填・パッケージ化:瓶・パウチ・粉末充填など指定形式で本製造。ラベル作成・印刷手配。
  5. 納品・販売開始:冷蔵/冷凍/常温での出荷体制を整え、賞味期限・ロット管理に留意。

費用目安(目安範囲・発酵条件による)

  • 試作費用:3〜8万円(菌種・素材・製品形態による)
  • 発酵期間:最短2週間〜2ヶ月(製品特性により異なる)
  • 製造単価:200〜800円/本(飲料系)、100〜500円/袋(粉末)
  • パッケージ費:15〜60円(瓶・パウチ・アルミ等)
  • 最小ロット:液体は1000〜3000本、粉末は30kg〜50kgが目安

OEMメーカーの選び方|“菌を扱う”からこそ確認すべき5項目

  1. 対象菌種と製品形態(液体・粉末・ピューレ)への対応力
  2. 試作環境の柔軟性とスピード(最低ロット・日数)
  3. 安全性(HACCP、品質検査、殺菌工程の有無など)
  4. パッケージ・保存設計まで一括対応できる体制
  5. 「商品化経験の多さ」=成功確率の高さ

発酵食品OEMのおすすめメーカー

ferment洋(ファーメント・ヨウ)|香川県【運営:アットハンド株式会社 発酵事業部】

「捨てる時代からモノづくりへ」をコンセプトに、規格外野菜や果物を活かした発酵食品OEMを展開する香川県の専門事業者。ピューレ状やエキス化した素材を、自社培養の乳酸菌(フェカリス菌等)で安定発酵させる技術が強みです。

  • 対応ジャンル:発酵ピューレ、野菜・果物エキス、ソース、乳酸菌発酵食品など
  • 特長:
    • 自社菌による雑菌に強い短期安定発酵
    • 規格外農産物・果実のアップサイクル提案に強み
    • 少量試作(500g〜)、約2週間で商品完成
    • 特産品コラボや地域ブランド開発にも対応可能
    • 会社名:アットハンド株式会社 発酵事業部(香川県高松市)

大和酵素株式会社(大阪府)

酵素発酵植物エキスを活用したOEM製造に長年取り組む老舗メーカー。酵素飲料、ペースト、粉末食品に加えて、化粧品や入浴剤といった非食品ジャンルの発酵製品にも対応しており、独自性の高い商品開発が可能です。

発酵処方の提案から試作、理化学・微生物検査を含む品質管理、包装・出荷まで一貫したOEM体制が整っており、ヘルスケア・美容・自然食品など幅広い分野で活用されています。

  • 対応品目:酵素ドリンク、ペースト、粉末、スキンケア、入浴剤など
  • 特長:
    • 酵素発酵を軸とした健康・美容製品に強み
    • 食品以外のOEMにも対応できる珍しい企業
    • GMPに準拠した厳格な品質管理体制
    • 原材料・ユーザー・価格帯に応じた柔軟な処方提案が可能
    • 本社所在地:大阪府泉大津市

失敗しない発酵食品OEMのコツ

  1. 素材・菌種の“相性”をメーカーと検証する
  2. 保存条件(常温/冷蔵)とパッケージの相関を理解する
  3. 酵素・菌数・pHの“変化”を許容する設計にする
  4. 賞味期限のテストや菌検査の予算も初期に想定
  5. 「菌の活動が終わったあと」の風味設計がカギ

発酵食品OEMは“素材を進化させる”最短ルート

発酵食品は、素材に深みと付加価値を与え、ブランドの思想を乗せやすいカテゴリです。OEMを活用すれば、発酵の難易度を乗り越え、自然派・健康志向・地域連携・美容食品といった幅広い市場で通用する製品を効率よく実現できます。

今回紹介した3社は、いずれも技術・実績・対応力に優れた発酵OEMのエキスパートです。
まずは素材の相談や試作依頼から、一歩を踏み出してみてください。

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