商品をOEMで作ってみたいけど、何から始めていいか全くわからない」
「専門用語も多くて、誰に相談すればいいかすら迷っている」 そう感じている方に向けて、OEM初心者が最初に知っておくべき進め方を、5つのステップで丁寧に解説します。
OEM(受託製造)は、企画さえあれば製造設備がなくてもオリジナル商品を作れる仕組みです。しかし、準備が不十分なまま動き出すと「想定外の費用」「品質トラブル」「納期遅れ」といったリスクに直面します。
このガイドでは、“OEMに初めて取り組む人がつまずきやすいポイント”を回避するための思考と行動フローをお届けします。迷いながら進むよりも、この5STEPを一度しっかり踏みましょう。
STEP1|“誰に何を届けたいか”を徹底的に言語化する
なぜこのステップが重要か?
OEM失敗の典型例が、「とりあえず人気が出そうなものを作ってみた」というケースです。しかし、企画が曖昧だとOEM先との打ち合わせもぼやけ、見積・試作・販売計画のすべてにズレが生じます。
このステップで明確にすべき4つの要素:
- 誰のための商品か(ターゲット顧客像)
- 何を満たすための商品か(ニーズ/課題)
- どこで売るか(EC/店舗/卸)
- どのくらい売りたいか(初期ロットと販売目標)
例:「30代子育て層向けに、“罪悪感のないスナック菓子”を、国産原料を使い添加物を使わない商品をECで初回500個販売したい」
商品にしたいものをある程度言語化しておくことで、OEM先も具体的な提案がしやすく、試作や見積までの流れがスピーディになります。
STEP2|「必要な加工・保存・包装」をあらかじめリストアップ
OEM探しの前に、“製造に必要な条件”を整理しよう
多くのOEM初心者は、いきなり「冷凍スープ作れますか?」と聞いてしまいがちですが、その前に**「その商品にはどんな工程や設備が必要か」**をリストアップする必要があります。
整理すべきポイント:
- 加工方法(乾燥/冷凍/レトルト/粉末など)
- 保存方法と温度帯(常温/冷蔵/冷凍)
- 包装形態(瓶/パウチ/個包装)
- 原料の入手性(自社調達 or OEM側で調達)
例:「スープ→要加熱殺菌、冷凍流通が前提、パウチ包装、原料は自社から支給」
これらを整理してからOEMに相談すると、断られる確率が格段に減り、前提条件の“ズレ”を防ぐことができます。
STEP3|OEMメーカーは“比較ありき”で見積もりを依頼する
なぜ複数社比較が必須なのか?
OEMでは価格だけでなく、対応範囲・柔軟性・信頼性も比較すべき重要なポイントです。
しかし、見積もりは依頼の仕方次第で内容が変わります。以下の条件を揃えたうえで依頼しましょう。
見積もり時の統一チェックリスト:
- 最小ロット(例:100個〜など)
- 製品単価(試作費・包装費含むか)
- 資材の手配範囲(OEMが手配/自社持ち込み)
- 試作費と回数のルール(無料 or 有料、回数制限)
- 納品方法と送料の負担者
このタイミングで支払い条件・納期の目安・トラブル時の責任範囲にも軽く触れておくと、契約前の不安も払拭できます。
STEP4|試作は“味”よりも“量産性”と“安定性”で評価する
初心者がやりがちなミス:試作品の味だけでOKを出す
試作段階で「美味しい!」と思っても、それが1000個作っても同じ品質になるとは限りません。OEMでは再現性・包装適正・コストバランスが重要です。
チェックすべきポイント:
- 再現性:加熱や包装によって味や形が変わらないか?
- 包装適性:液漏れ・破袋・酸化など起こらないか?
- ロス率:大量製造時に廃棄が多くならないか?
- 単価試算:量産時に希望価格帯に収まるか?
例:アイスや焼き菓子などは、製造環境が違うだけで味が変わることも。冷静な評価が必要です。
STEP5|販売計画を立ててから“初回ロット”を決める
「作ったけど売る場所がない」は最悪の失敗
OEMで最も怖いのは、「製品は完成しているのに、販路が整っていない」という事態です。製造が終わった時点で、販売導線が立ち上がっている状態が理想です。
このステップで考えるべきこと:
- 初回は“売れる数”ではなく“売れる仕組み”を意識
- SNS運用、広告、卸開拓などを同時に進める
- 在庫リスクを最小化するロット設定(売上より回収重視)
OEMでは、販売の設計と製造のタイミングを同期させることが成否を分けます。
「OEMは簡単」は嘘。本当に成功する人は、段取りが上手い。
OEMは、発注さえすれば簡単に商品ができると思われがちですが、実際には「進め方」こそが成功と失敗を分ける最大のポイントです。初めてOEMに取り組むなら、まずは本記事の5STEPをしっかり踏み、焦らず順を追って進めてください。
「製品を作ること」ではなく、「製品が売れる形で完成すること」が、OEMのゴールです。