アレルギー対応OEM|特定原材料不使用で安心・安全な商品開発を実現

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目次

アレルギー配慮が必要な消費者が増加する中、食品メーカーや外食チェーン、小売業者にとって「アレルゲン除去」への対応は、社会的責任であり企業競争力にも直結するテーマとなっています。そうした背景から、専門的な技術と衛生管理が求められるアレルギー対応食品を、OEMで安全かつ効率的に開発するニーズが高まっています。

アレルギー対応OEMとは?

アレルギー対応OEMとは、小麦・乳・卵などのアレルゲンを排除した商品を、自社ブランドで製造するために、外部のOEMメーカーに製造を委託する方式です。とくに学校給食、医療・介護食、通販市場では、「特定原材料7品目不使用」「専用ライン製造済み」といった明確な基準をクリアした商品のニーズが年々高まっています。

たとえば、「小麦アレルギー対応のグルテンフリーパン」「卵・乳を使用しないケーキ」「7大アレルゲン不使用のレトルト食品」などは、製造設備と管理体制の両面で高度な対応が求められるため、アレルギー対応に特化したOEMメーカーとの連携が重要になります。

アレルギー対応OEMのメリット・デメリット

アレルギー対応商品をOEMで展開することには多くのメリットがありますが、同時に事前に把握すべき注意点も存在します。

ここでは、OEM導入を検討する企業向けに、全体の特徴と実務上のポイントを明確に整理します。

メリット

アレルギー対応OEMの大きな利点は、食品の安全性を担保しつつ、効率よく商品開発が進められる点です。

  • アレルゲン管理体制が整った製造ラインを利用できる
  • 自社で工場や専門スタッフを用意せずに、高度な商品開発が可能
  • 成分検査・表示監修などの専門サポートを受けられる
  • ブランドイメージとして“安心・安全”を訴求できる
  • 医療・介護・教育現場向けなど、新たな販路開拓に繋がる

デメリット

一方で、一般的なOEMと比べると制約が多く、慎重な検討が必要です。

  • 製造ラインが限られており、ロット・納期に制約がある
  • コンタミネーションを避けるため、原材料やレシピに制限がかかる
  • 商品開発の自由度が下がる場合がある
  • 検査・監修・衛生管理が厳格な分、コストが割高になる

アレルギー対応OEMの依頼の流れ

アレルギー対応OEMでは、初回ヒアリングから製造まで、通常以上に詳細な確認が求められます。以下に、基本的な依頼ステップを示します。

ステップ内容
1. 問い合わせ・相談除去対象アレルゲンや製品仕様の希望を伝える
2. ヒアリング・提案OEMメーカーが、処方案・原料選定・製造条件を提示
3. 試作・検査実際のレシピで試作品を作り、必要に応じてアレルゲン検査
4. 見積・契約成分表・表示方法・製造条件などを含めて契約
5. 製造専用ラインで製造(混入リスクのない環境で対応)
6. 納品・販売開始商品納品後、販売や広報施策を展開

費用の目安

アレルギー対応OEMでは、衛生管理・検査体制のコストが加わるため、通常のOEMよりも高めの価格帯になる傾向があります。以下は一般的な目安です。

  • 初期費用(試作・設計・検査)…10万〜30万円
  • 製造単価…通常品の1.2〜1.5倍(商品ジャンルにより異なる)
  • アレルゲン検査費用…5,000円〜20,000円/項目(外部機関依頼)
  • 表示・監修サポート費…5万円前後(場合によっては無料対応もあり)
  • 小ロット製造(100〜300個)も対応可能なメーカーあり

アレルギー対応OEMメーカーの選び方

アレルギー対応OEMで最も重要なのは、「製造設備」「検査体制」「実績」の3点です。以下の基準を参考に、自社の目的に合ったパートナー選びを行いましょう。

  • 特定アレルゲンの完全排除が可能な製造ラインか
  • 衛生管理・表示法の知識を持つスタッフがいるか
  • 食品表示法・アレルギー表示基準に対応した支援が可能か
  • 原材料の管理・保管体制まで明確になっているか

検討時には、製造実績・導入事例・対応可能ロットなどを事前にヒアリングすることが大切です。

おすすめのアレルギー対応OEMメーカー3選

アレルゲン除去に特化した製造ノウハウや、豊富な商品開発実績を持つ企業を紹介します。実際に問い合わせしやすいよう、リンクも掲載しています。

株式会社アレルギーヘルスケア(奈良県)

アレルギー対応食品専用工場を持ち、特定原材料7品目(卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かに)を一切持ち込まない徹底した製造環境を整えています。これまでに430万食以上の商品を供給し、製品由来の発症事故は一度もなし(2022年5月末現在) 。

対応ジャンル・特長:

  • アレルギー対応食品のOEM生産
  • 小ロットでの製造対応
  • アレルギー対応に精通したスタッフによる工場運営
  • 豊富な食品開発バリエーション

AKEBONO株式会社(長野県)

グルテンフリー専門のノウハウを持ち、小麦ゼロでも風味・食感に妥協しない配合設計と工程管理を行っています。自社および提携パートナー工場のネットワークにより、需要拡大時の増産にも対応可能です。

対応ジャンル・特長:

  • 米粉パン、クッキー、麺、スイーツなどのグルテンフリー製品
  • 小ロット試作(5万円~)対応
  • 多彩な製品ラインアップ(ドーナツ、ケーキ、バームクーヘン、ピザ生地など)
  • オンライン商談の迅速な対応(最短当日)

株式会社ビーンズ(東京都)

 アレルギー対応食品にありがちな「美味しくない」「おしゃれではない」というイメージから脱却した魅力的な商品を作ることを目指しています。レシピ開発だけでなく、コンセプトワークからデザイン開発を経て商品化するプロデュースを行っています 。

対応ジャンル・特長:

  • アレルギー対応食品のOEM製造
  • 小ロットでの製造対応
  • カフェや飲食店向けのメニュー開発支援
  • 商品のブランディングやデザイン開発

失敗しないポイント

  • アレルゲンの除去対象を明確に伝える(例:7品目/28品目)
  • 試作前に「共通ライン」か「専用ライン」かを確認する
  • 表示責任(成分表示・栄養成分など)をOEM先と明確に分担
  • 小ロット・検査費用など、事前に追加コストも含めて見積取得

とくに学校や病院向け商品では、公的な認証や成分証明の提出が求められるケースも多いため、対応実績のある企業に依頼するのが賢明です。

アレルギー対応OEMで安心と差別化を両立させる

アレルギー対応OEMは、社会的信頼と企業価値を高める重要な選択肢です。対応可能なメーカーは限られるものの、ニーズの高まりとともに専門OEMの技術力・柔軟性は向上しています。

自社のコンセプトと安全基準に合致するパートナーを見極め、検査・表示・製造の全工程を一体で設計することが、成功のカギとなります。まずは小ロット・試作からスタートし、安全性と味の両立を実現する製品開発を始めてみてはいかがでしょうか。

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