高たんぱく食品市場は今、かつてないほどの注目を集めています。背景にあるのは、筋トレやダイエットブームだけではありません。「手軽に、でも健康的に食べたい」という日常的なニーズが拡大し、プロテインバーに次ぐ第2、第3の選択肢として、クッキーやチップスといった“スナック形態のたんぱく質補給食品”が一気に広がりを見せています。
中でも「高たんぱくスナック」は、プロテインスナックとは異なる立ち位置で、より広範な層へのアプローチが可能なカテゴリとして存在感を強めています。
高たんぱくスナックとは?
高たんぱくスナックとは、1袋あたり5g以上のたんぱく質を含む、スナック菓子型の食品を指します。焼き菓子やナッツ、クラッカー、パフ系など形態はさまざまですが、共通しているのは「おやつのように気軽に食べられること」と「美容・健康に配慮した栄養設計」です。
一般的なスナックと異なり、血糖値が上がりにくい/間食としても罪悪感が少ない/栄養が摂れるといった価値が評価され、特に以下のような消費者層に支持されています。
- 忙しくて朝食を抜きがちなビジネスパーソン
- 美容・ダイエットを意識する20〜40代女性
- たんぱく質を意識し始めた高齢者層
この「おやつ感覚 × 栄養価」のバランスが、日常の中で無理なく継続できる食習慣をつくり出し、今後も市場の伸びが期待されています。
プロテインスナックとの違い
よく混同される「プロテインスナック」と「高たんぱくスナック」ですが、実際には狙う層・設計思想・たんぱく質量・風味の方向性が異なります。
比較項目 | 高たんぱくスナック | プロテインスナック |
たんぱく質量 | 約5g〜15g/1袋 | 約2g〜10g(商品差あり) |
設計の目的 | 美味しさ・栄養・自然な継続 | 吸収効率・筋肉補給の即効性 |
想定ユーザー | 健康志向の一般層、美容層 | トレーニー・アスリート層 |
訴求軸 | 「置き換え」や「美容」 | 「筋肉」「ハイプロテイン」 |
商品例 | ・豆クラッカー・豆乳おからクッキー | ・プロテインバー・ナッツ入りプロテインバー |
高たんぱくスナックは、“食品”としての完成度が求められる分、素材の選定・味づくり・食感のコントロールに高い設計力が求められます。
よく使用される高たんぱく素材とその特徴(原料タイプ別)
高たんぱくスナックの設計において、使用する原料は味や価格、食感に直結する極めて重要な要素です。ここでは「抽出系プロテイン」と「食品原料素材」の両方から、現場でよく選ばれる素材とその適性を紹介します。
抽出型プロテイン素材(粉末タイプ)
たんぱく質の「量と機能性」を最も効率よく補えるのが、抽出型の粉末プロテインです。
スナックの設計では、食感や風味、コスト、溶解性とのバランスが重要となるため、目的に応じて適切なタイプを選ぶことが開発の成否を左右します。スポーツ栄養や美容、ヴィーガン訴求など、使用する粉末原料の選定は、ターゲットの心を掴む第一歩です。
原料 | 特徴 | 向いている製品例 |
ソイプロテイン | 腹持ちが良く、女性向け訴求や焼き系製品に適す | クッキー、大豆パフ菓子 |
ホエイプロテイン | 軽くクセが少ない。筋肉訴求製品に◎ | ナッツバー、チョコ系菓子 |
ピープロテイン | アレルゲンフリーで環境負荷も低い | ヴィーガンスナック、SDGs訴求系 |
カゼインプロテイン | ゆっくり吸収。満腹感が続き夜用や置き換えに適す | 焼きチップス、クラッカー |
ライスプロテイン | 米由来で風味が軽く、消化にもやさしい | アジア圏向け、ナチュラル系 |
高たんぱく食品素材(素材由来型)
近年注目されているのが、“プロテインそのもの”ではなく、自然な形でたんぱく質を含む食品素材の活用です。
焼き大豆やチーズ、鶏肉、卵白など、素材本来の味わいや食感を活かせることから、「プロテイン臭が苦手」「自然な食事として摂りたい」といった声にも応えられます。ナチュラル志向のユーザーや、嗜好性を重視するスナック開発では欠かせない選択肢です。
素材 | 特徴 | 向いている製品例 |
焼き大豆・焙煎豆 | 噛みごたえと香ばしさ。添加物不要の高タンパク素材 | ソイナッツ、豆菓子 |
鶏ささみ・鶏むね | 動物性で低脂肪・高たんぱく。ジャーキー系に◎ | チキンチップス、スライス肉スナック |
魚粉・煮干しパウダー | 和風で栄養価が高く、カルシウムも豊富 | 魚せんべい、小魚系スナック |
卵白パウダー | 食感軽く、焼成製品で活躍 | メレンゲ、パフ |
チーズパウダー | 塩味スナックとの相性抜群 | チーズクラッカー、ナッツスナック |
開発時の注意点とOEM展開のヒント
高たんぱくスナックのOEM開発は、単に「たんぱく質を加える」だけでは成功しません。商品コンセプトから素材選定、栄養設計、パッケージ表示まで、複数の視点から設計することで、他社と差別化された商品づくりが可能になります。ここでは、特に重要な3つの観点をご紹介します。
1. ターゲットに応じたコンセプト設計
誰に食べてほしいのか?を最初に明確にすることで、必要な素材・味・表示も変わります。
ターゲット | 設計ポイント | 素材例 |
美容・美肌を意識する女性 | 「内側から整える」イメージ訴求 | ソイプロテイン+コラーゲン+ヒアルロン酸 |
ダイエット中の人 | 満腹感と血糖値上昇の抑制を重視 | カゼイン+食物繊維(難消化性デキストリン)+低GI甘味料 |
子ども・高齢者 | アレルゲンや固さに配慮した安心設計 | ライスプロテイン+ナッツ不使用+小分け包装 |
最初の「誰に届けたいか?」を定めることで、商品の方向性がブレません。
2. 食感と味にこだわることで「美味しく続けられる」
プロテイン量だけでなく、味・食感・軽さはリピートの鍵を握ります。たとえば…
- パフ加工:サクサク感を出すことで、油を控えつつ満足感アップ
- スーパーフードとの掛け合わせ:キヌア・アマランサス・チアシードなどを使って“ヘルシー感+トレンド”の両立
- 甘さのコントロール:過剰な人工甘味料は敬遠されがち。ラカントやイヌリンなどで自然な甘みを
機能だけでは選ばれません。「味」が良いから買い続けられる、という点を大切に。
3. 表示や規格に整合性をもたせる
せっかくの機能設計も、「表示」で誤解されると販売機会を失うことがあります。
- 高たんぱく表示の条件:たとえば「高たんぱくスナック」と名乗るなら、1袋あたり5g以上のたんぱく質が目安
- アレルゲンの明記:乳・小麦・大豆などの有無は特に重要
- 対応表示の整備:以下はユーザーが注目するキーワードです
- ヴィーガン対応
- グルテンフリー
- 無添加(香料・甘味料など)
ユーザーの信頼を得るには、パッケージの情報設計も非常に重要です。
間食の再定義としての“高たんぱくスナック”
高たんぱくスナックは、健康志向・美容志向・持続可能性といった現代の食トレンドと合致する注目カテゴリーです。単なる栄養補助ではなく、「美味しさ」「食べやすさ」「毎日続けられること」を重視するユーザーに向けて、しっかりとした設計・価値訴求が求められます。
とくにOEM開発においては、「誰のためのスナックか」を出発点とし、たんぱく質の素材選びから味・パッケージ表示・マーケティング設計に至るまで、総合的に商品づくりを行うことが成功のカギとなります。
今後ますます市場が広がる中で、“単に作る”ではなく、“差別化されたコンセプトを持つ高たんぱくスナック”を提案できるかどうかが、ブランドや販売チャネルにおける競争優位を左右します。
もし貴社でも「オリジナル高たんぱくスナックを開発したい」「素材の選び方がわからない」「OEMの進め方を相談したい」といったご要望があれば、ぜひ本サイトをご活用ください。