近年、自社ブランドの飲料を展開したいと考える企業が増えています。健康志向やオリジナリティ重視の流れのなかで、PB(プライベートブランド)やノベルティ飲料のニーズが高まる一方、初期ロットの大きさや製造ハードルが課題になることも少なくありません。
そんな中、1000本前後の小ロットから対応可能な飲料OEMメーカーを活用すれば、低リスクで商品開発が可能です。本記事では、飲料OEMの基本知識から、小ロット対応時の注意点、費用感、依頼の進め方までを徹底解説。さらに、実績豊富な小ロット対応OEMメーカーを3社厳選してご紹介します。
飲料OEMとは?
飲料OEMとは、自社で製造設備を持たずに、他社の製造ラインを使って自社ブランドの飲料を製造することです。OEMメーカーは、原材料の調達、調合、製造、容器充填、包装、ラベル貼付などを一括で請け負い、クライアントは企画や販売に集中できます。
小ロット対応のOEMでは、1000本未満の製造からスタートできるケースもあり、初期投資を抑えて市場テストやEC販売を始めたい事業者にとって非常に有効です。
飲料OEMのメリット・デメリット
飲料OEMを活用する前に、メリットと注意点を整理しておきましょう。
メリット
- 初期コストを抑えられる:製造設備を持たずに商品化でき、在庫リスクも最小限にできます。
- 専門技術を活かせる:炭酸調整・抽出・充填など、高度な製造技術をOEMメーカーに任せられます。
- スピーディーな商品化:既存ラインを活用することで、開発から販売までのリードタイムが短縮できます。
- 法規制・表示対応も支援:食品表示法や内容物の成分表記など、専門知識が必要な部分をサポートしてもらえます。
デメリット
- ロットによっては単価が高くなる:小ロット対応の場合、1本あたりの単価が大ロットに比べて高くなりがちです。
- 製造仕様に制約がある:容器の種類・加熱処理の有無・ラベル貼付方式など、設備上の制約を受ける場合があります。
- 開発期間が読みにくい場合も:人気メーカーでは試作・製造枠が混み合っており、予定通りに進まないケースもあるため、スケジュールに余裕を持つことが大切です。
依頼の流れ
飲料OEMをスムーズに進めるためには、以下のようなステップで進行します。
- 企画段階でOEMメーカーに相談し、製品のコンセプト・容量・ターゲット層・想定販売価格を共有する
- 使用原料、容器仕様、充填方式(常温/冷蔵/炭酸対応など)をすり合わせ、試作へと進む
- 試作を繰り返しながら味・色・使用感・保存性・表示内容などを確認・調整する
- 見積もりを取得し、最小ロット・納期・条件を確認した上で契約を締結する
- 本製造・納品後、販路に応じた拡販やリピートオーダーへ移行
小ロットの場合でも、商品設計とスケジュールの共有が極めて重要です。
費用の目安
飲料OEM(小ロット)の費用感は以下の通りです。製品仕様によって変動幅が大きいため、あくまで参考価格となります。
- 試作費用:3万円〜10万円程度(内容・回数による)
- 製造単価:120円〜600円/本(容量・容器・内容成分による)
- 容器・ラベル費用:10〜80円/本(既製品かオリジナル印刷かで変動)
- 最小ロット:1000本前後が主流(例外的に500本以下も応相談)
試作や資材調達にかかる初期費用も想定し、20万〜50万円程度の初期投資は見ておくと安心です。
飲料OEMメーカーの選び方
小ロットでの飲料OEMを成功させるためには、以下のポイントを押さえたメーカー選定が重要です。
- 小ロット製造に対応しているか(1000本以下)
- 希望する内容成分・容器・容量・保存方法に対応しているか
- 炭酸・加熱処理・無菌充填など、技術的な対応力があるか
- 試作・表示対応・パッケージ手配など、開発支援が受けられるか
- 問い合わせへのレスポンスや提案力は信頼できるか
特に初めて飲料を商品化する場合は、技術力だけでなく「相談しやすさ」や「進行管理の手厚さ」も選定基準に含めるべきです。
おすすめのOEMメーカー3選(小ロット対応)
タートルベイ醸造株式会社(鹿児島県)
全国の農家や土産店と共同開発し、地域性のある商品づくりに強みを持つメーカー。ご当地サイダー、ノベルティ飲料、炭酸や果汁系ドリンクの製造が得意で、1000本からの小ロットにも対応。農産加工品との連携によるストーリー性ある開発も可能です。
- 対応ジャンル:炭酸飲料、エナジードリンク、果汁飲料、酒類、ノベルティドリンクなど
- 特長:
- 1000本からの小ロット対応
- 地域産品を活かしたOEM商品に強み
- 土産品や観光地向けの企画も多数実績あり
株式会社テクノパック(静岡県)
緑茶・健康茶・粉末茶など、茶系飲料に特化したOEMメーカー。ティーバッグやスティックタイプの粉末飲料にも対応しており、PB商品や健康訴求型の製品開発に強い。小ロットからの受託も可能で、お茶関連商品の立ち上げには特におすすめです。
- 対応ジャンル:緑茶、健康茶、粉末茶、ティーバッグ、スティック茶など
- 特長:
- 茶系飲料の専門OEMメーカー
- 粉末やティーバッグなど多形態に対応
- 小ロットでのOEM・PB実績多数
ニック食品株式会社(千葉県)
清涼飲料から美容・健康・ゼリー飲料まで、幅広いジャンルに対応する老舗OEMメーカー。多彩な充填・容器に対応し、スポーツドリンクや乳酸菌系、機能性表示を意識した製品開発も可能。形状・味・目的別に製品を作り分けたい企業に最適です。
- 対応ジャンル:清涼飲料、果汁飲料、乳酸菌飲料、機能性飲料、美容飲料、ゼリー飲料など
- 特長:
- 実績豊富な総合飲料OEMメーカー
- ゼリーやスポーツ系など特殊形状も対応可
- 健康・美容分野への訴求に強み
失敗しないためのポイント
- 最小ロットや納期、資材手配にかかるリードタイムを事前確認する
- 初期費用が思ったよりかかることもあるため、資金計画を余裕を持って立てる
- ラベル表記・薬機法・食品表示法への対応はOEMメーカーとすり合わせ必須
- 「とりあえずドリンクを作る」ではなく、明確なターゲット設定と販路設計を持って依頼する
飲料OEM 小ロットで実現するオリジナルブランド戦略
飲料OEMの小ロット対応を活用すれば、初期リスクを抑えながらスピーディーに自社ブランドを立ち上げることができます。本記事で紹介したメーカーは、それぞれ得意分野が異なるため、自社の企画内容に応じて最適なパートナーを選ぶことが鍵です。
「まずは小さく試して、徐々に育てる」──その第一歩として、信頼できるOEMメーカーとの連携をスタートさせましょう。