オリジナルのお茶を作りたい──そのニーズが今、飲食・観光・ヘルスケア・海外展開など、あらゆる業界で高まっています。特に「店舗の世界観に合わせたオリジナルブレンド」「ギフトや土産用の小包装ティー「カフェメニュー向けの抹茶・ラテ」「健康・美容訴求型のハーブティー」など、用途に応じた多様な商品づくりが求められる中で、OEMは非常に有効な選択肢です。
本記事では、お茶OEMの基本から、メリット・デメリット、開発の流れ、費用の目安、そして信頼できるOEMメーカー3選まで、実務に直結する視点で網羅的に解説します。
これからお茶OEMを始める企業・飲食店・ブランド担当者の皆様にとって、確かなスタートガイドとなる内容です。
お茶OEMとは?
お茶OEMとは、他社(受託メーカー)の製造設備と技術を活用し、自社ブランドのお茶商品を作る仕組みです。ブレンド、粉末化、ティーバッグ加工、フレーバー添加、パッケージ設計まで、アイデアをそのまま“商品”に変えることができます。
たとえば以下のような事例があります:
- 飲食店で提供するオリジナルブレンド茶
- ホテルの客室用ティーバッグ
- 地域農産物を活用したご当地茶
- 海外輸出向けの抹茶ラテやハーブティー
- 美容・健康系D2Cブランドの“美容茶”シリーズ
近年では、原料持ち込み・パッケージ持ち込みなどの自由度も高く、小ロットから対応してくれるメーカーも増加。これにより、企画力さえあれば誰でも“自社のお茶ブランド”を持つことが可能になりました。
お茶OEMのメリット・デメリット
導入の前に、“本当にOEMが適しているのか”を判断するため、メリットとデメリットを整理しておきましょう。
メリット:手軽かつ高品質に商品開発できる
- 自社で製造設備・工場を持たなくてもブランド商品が作れる
- 日本茶インストラクターなど専門家のブレンド設計が受けられる
- スティック粉末・ティーバッグ・ラテ用など多様な形状に対応
- ノベルティ、観光土産、PB商品など幅広い販路に応用できる
デメリット:差別化には明確なコンセプトが不可欠
- 他社との商品被りを防ぐには、明確な目的設計とパッケージ戦略が必要
- 小ロット対応でも最低注文数や初期費用は発生する
- 味や香りの調整には試作回数が必要で、時間とやり取りが発生する
依頼の流れ
OEM依頼の流れは、どのメーカーも以下のようなステップで進行します。
- お問い合わせ・ヒアリング
- コンセプト設計・処方提案
- 試作(香り・味・形状の調整)
- 見積書提出・契約
- 製造
- パッケージ・納品
費用の目安
- 初期試作費用:5,000円〜50,000円程度(内容により変動)
- 最小ロット:1,000包前後(応相談)
- パッケージデザイン費:無料~数万円(支給素材による)
- 製造単価:10円~100円/包(原料と形状で大きく異なる)
お茶OEMメーカーの選び方
OEMメーカーを選ぶ際は、以下の観点を基準にすると失敗がありません。
- 日本茶・紅茶・ハーブティーなど、対応品目の幅があるか
- 小ロット対応かつ試作提案力があるか
- 自社のブランディングに合った提案が可能か
- FSSCなど食品安全管理体制が整っているか
- EC展開や海外輸出にも対応できる柔軟性があるか
おすすめのお茶OEMメーカー3選
株式会社つぼ市製茶本舗(大阪府高石市)
老舗茶商が運営するOEMサービス。FSSC22000取得、ティーバッグからペットボトル用原料まで対応。観光土産、ホテル、カフェ向けなど小ロット開発にも柔軟。
- 茶審査技術有段者が在籍し味覚設計に定評
- 原料・パッケージ持ち込み可能
- 海外輸出対応、カフェメニュー向け開発も実績多数
株式会社八木音(静岡県静岡市)
1915年創業の老舗。製茶・焙煎・加工まで一貫対応。ティーバッグや粉末茶、健康茶のOEMに強み。原料支給にも柔軟。
- 独自焙煎による香ばしい風味設計
- 小ロット試作対応、OEM対応範囲が広い
- 店舗用、ギフト向けのOEMが得意
株式会社Agriture(京都府京丹後市)
野菜茶・ハーブブレンド茶のOEMに特化。京野菜や規格外野菜を活用したサステナブル提案が魅力。素材加工からブレンド・OEMまで一貫対応し、茶葉の選定から可能。
- 規格外農産物を活用したSDGs対応型OEM
- 野菜茶・薬膳茶など新ジャンル提案が可能
- パウダー対応・個包装対応も柔軟
- 過去に素材提供し制作したお茶が、日本茶Awardを受賞
失敗しないポイント
- まずは試作に時間と予算を惜しまないこと
- 差別化の鍵は“素材×パッケージ×ストーリー性”の設計
- メーカー選定時は「試作スピード」「味の修正回数」「提案の柔軟性」も比較検討すべき
お茶OEMで“語れる商品”をつくる
お茶は、単なる飲み物ではなく、ストーリーを語れるコンテンツです。素材・味・香り・見た目・パッケージ…そのすべてに意味を込められるからこそ、OEMを使ったブランディングは大きな武器になります。
本記事で紹介したメーカーは、いずれも提案力・開発力・対応力に優れたパートナーです。まずは一歩、気軽な相談からはじめてみてください。