中国越境ECで食品OEMを売る!天猫・京東の実践ガイド

目次

この記事でわかること

  • 天猫国際・京東国際、食品OEMに向いているのはどちらか
  • 中国当局の食品輸入許可が不要の越境EC制度を使うメリット
  • 中国消費者に刺さる商品ページの作り方
  • KOLとライブコマースで売上を伸ばす方法
  • 関税・物流・決済の実務ポイント

「中国に食品を輸出したいけど、現地法人の設立コストがネックで踏み切れない」——先日、食品メーカーの新規事業担当者からそんな相談をいただきました。

この悩み、本当によく耳にします。中国市場の魅力は誰もが知っているのに、参入の壁が高すぎて動けない——そのジレンマです。ただ、越境ECという選択肢を使えば、現地法人なしで中国の14億人市場にアクセスできます。この記事では、天猫国際(Tmall Global)と京東国際(JD Worldwide)を活用した食品OEMの販売戦略を、実務レベルで解説します。

中国越境EC市場の現状:なぜ今が参入タイミングなのか

食品カテゴリは年率15%超えで成長中

中国の越境EC市場は2023年時点で約2.4兆元(約50兆円)規模に達しており、なかでも食品・健康食品カテゴリは年率15%以上の成長を続けています。

背景にあるのは、中国の中間所得層の拡大です。可処分所得が上がるにつれて「安心・安全な外国産食品」へのニーズが高まっており、日本食品への信頼度は依然トップクラスを維持しています。食品OEMにとって、これは見逃せないチャンスです。

越境ECが一般輸入より有利な理由

越境ECが注目される最大の理由は、中国の食品規制当局による国内販売許可が不要な点にあります。一般輸入では取得に1〜3年かかることもある許可申請を省略できるため、スピード感を持って参入できます。

比較項目 一般輸入 越境EC
食品輸入許可 必要(取得に1〜3年) 不要
現地法人 原則必要 不要
関税 通常税率 跨境電商総合税(軽減)
参入スピード 遅い 速い
在庫リスク 高い 低い

天猫国際と京東国際、どちらを選ぶべきか

プラットフォームの特性を理解する

2大越境ECプラットフォームには、それぞれ異なる強みがあります。どちらが「正解」という話ではなく、商品特性や販売戦略によって使い分けるのがポイントです。

項目 天猫国際(Tmall Global) 京東国際(JD Worldwide)
月間アクティブユーザー 約8億人 約5億人
強いカテゴリ 美容・食品・ファッション 電子機器・食品・日用品
主要ユーザー層 20〜35歳の女性 25〜40歳の男性
物流 保税区倉庫が中心 自社物流(京東ロジスティクス)
出店費用目安 年間数十万円〜 天猫より若干低め

食品OEMにはどちらがおすすめ?

結論から言うと、最初は天猫国際から始める食品メーカーが多いです。ブランド認知度を高めやすく、ライブコマースやKOL施策との親和性が高いためです。

一方、京東は自社物流の品質が高く、鮮度管理を重視する食品カテゴリで強みを発揮します。予算に余裕があれば両方に出店し、数字を見ながら注力プラットフォームを絞るのが現実的な進め方です。

出店審査を突破するための実務ポイント

必要書類と審査の基本

天猫国際への出店審査では、以下の書類が基本的に求められます。

書類 内容
法人登記証明書 日本での法人登記書類
商標証明書 出品ブランドの商標登録証(日本または中国)
商品証明書 各国の製品安全証明・製造許可証
銀行口座証明 法人名義の銀行口座証明書
会社概要資料 ブランドストーリー、製品ラインナップ

見落としがちですが、商標登録は出店審査の最重要条件です。日本でのみ登録していて中国未登録のブランドは、出品後に模倣品問題が起きるリスクがあります。中国での商標登録は、出店準備と並行して先行して進めておくことを強く勧めます。

審査通過率を上げる3つのコツ

天猫国際の出店審査は、書類の確認だけではありません。「このブランドが中国消費者に受け入れられるか」という視点でも評価されます。

審査担当者が注目するのは、①日本国内での販売実績、②SNSフォロワー数やメディア掲載歴、③他の海外市場での販売実績——この3点です。これらを証明できる資料を丁寧に準備することが、審査通過への近道になります。

中国消費者に響く商品ページの作り方

ページ構成の基本フレーム

中国の消費者は商品ページを縦スクロールで読む習慣があり、日本より画像比率が高いページを好みます。テキスト主体のページは離脱率が上がりやすいため、構成段階から意識しておく必要があります。

商品ページはこの順番で組み立てると整理しやすいです。

  1. ファーストビュー:高品質な商品画像 + キャッチコピー
  2. 商品特徴:日本産の安全性・製法へのこだわりを伝える
  3. 使用シーン:中国の家庭・ライフスタイルに合わせた提案
  4. 原材料・成分表:中国語での詳細表記
  5. レビュー・口コミ:KOLによる認証レビュー

中国語コピーで差がつくポイント

翻訳を業者に丸投げするのは、もったいないです。「日本語を中国語に直訳した」感が残ると、消費者の心には刺さりません。

中国の消費者が食品に求めるキーワードは「天然」「无添加(添加物なし)」「日本原装进口(日本直輸入)」「匠人工艺(職人の技)」などです。商品がこれらの要素を持っているなら、コピーに積極的に盛り込みましょう。

KOL・ライブコマース活用のプロモーション戦略

KOLとはどんな存在か

KOL(Key Opinion Leader)は日本のインフルエンサーに相当しますが、その影響力の規模が圧倒的に違います。フォロワー1,000万人超えのメガKOLが珍しくなく、一度の投稿で数億円の売上が動くこともあります。

ただし食品OEMの場合、最初からメガKOLを起用する必要はありません。フォロワー1〜10万人規模の「ミドルKOL」のほうが特定ジャンルの熱量高いファンを抱えており、費用対効果が出やすい傾向があります。

ライブコマースを活用した販売戦略

中国のライブコマース市場は2023年に約5兆元(約100兆円)規模に成長しており、もはやトレンドではなく主要販売チャネルの一つです。

食品OEMでライブコマースを活用する場合のポイントを整理します。

施策 内容
調理・実食シーン 商品の味や食感をリアルに伝える
工場・製造現場 日本の製造品質を視覚的にアピール
限定割引 ライブ限定クーポンで購買を促進
Q&Aタイム 消費者の不安をリアルタイムで解消
ストーリーテリング 商品開発へのこだわりを語る

ライブ中に「今だけ10%オフ」「先着100名様限定」といった緊迫感を演出することで、購買率は大幅に上がります。中国EC特有の商習慣として、早めに体感しておく価値があります。

関税・物流・決済の実務を理解する

越境ECの関税(跨境電商総合税)の仕組み

越境ECでは「跨境電商総合税(越境EC税)」という軽減税率が適用されます。食品の場合は一般的に13%程度の税率で、1回の購入が5,000元(約10万円)以下であればこの税率が維持されます。

見落とせないのが、年間購入限度額の2.6万元(約52万円)という上限です。これを超えると一般輸入と同じ税率が課されるため、高額商品の価格設計には注意が必要です。

物流の選択肢を比較する

物流タイプ メリット デメリット
保税区倉庫 配送スピードが速い(1〜3日) 倉庫費用がかかる
直送(国際郵便) 在庫リスクが低い 配送に1〜2週間かかる
海外倉庫 初期コストが低い リードタイムが長い

食品は鮮度と品質管理が商品の評価に直結します。可能であれば保税区倉庫の利用を検討してください。配送スピードはそのままレビュー評価に影響するため、長期的なブランド形成にも関わってきます。

決済と売上回収の流れ

天猫国際・京東国際ともに、売上は基本的に月次で日本円に換金されて入金されます。プラットフォーム手数料は一般的に売上の3〜8%程度です。為替リスクについては、ヘッジ手段をあらかじめ検討しておくことを勧めます。

まとめ:中国越境ECで食品OEMを成功させる3つのポイント

中国越境ECは、現地法人なしで巨大市場にアクセスできる現実的な選択肢です。ここまでの内容を整理すると、成功のカギは3点に集約されます。

  1. 商標登録を先行させる:出店審査と模倣品対策の両方に効く
  2. KOL・ライブコマースを早期に活用する:認知獲得のスピードが他チャネルと段違い
  3. 中国消費者の言語・文化に合わせたページ設計:直訳ではなくローカライズが肝

越境ECは参入ハードルが下がったとはいえ、現地の商習慣や規制の理解が成否を分けます。食品OEMの製造から越境EC展開まで一貫してサポートできるパートナーを選ぶことも、スピード感を持って進めるための重要な判断です。

よくある質問

Q1: 天猫国際の出店に必要な初期費用はどのくらいですか?

A1: 天猫国際の場合、出店保証金と年間技術サービス費を合わせて年間数十万円が必要です。加えて商品ページの中国語ローカライズ費用や初期プロモーション費用を含めると、最低限の予算として300〜500万円程度を見込んでおくと安心です。

Q2: CFDA(中国食品薬品監督管理局)の許可は本当に不要ですか?

A2: 越境EC経由での販売に限り、個人輸入扱いとなるためCFDA許可は不要です。ただし将来的に中国国内の実店舗や一般ECでの販売を展開したい場合は別途許可取得が必要になります。越境ECをテスト販売の場として活用している企業も多いです。

Q3: KOLへの依頼費用はどのくらいが相場ですか?

A3: フォロワー規模によって大きく異なります。ミドルKOL(フォロワー1〜10万人)であれば1投稿数万円〜数十万円程度が目安です。メガKOL(100万人以上)になると数百万円〜数千万円になることもあります。最初はミドルKOLで実績を積むのが現実的ですよ。

Q4: 食品の賞味期限管理はどう対応すればよいですか?

A4: 中国の規制では、越境ECで販売する食品は中国到着時点で賞味期限の3分の1以上が残っていることが求められます。製造から消費者の手元に届くまでのリードタイムを考慮した在庫管理が不可欠です。保税区倉庫を活用した物流短縮が有効な対策になります。

Q5: 中国語対応のリソースがない場合でも参入できますか?

A5: 天猫国際・京東国際ともに、日本語対応の代行サービス会社(TP:Tmall Partner)が存在します。出店手続きから運営管理、カスタマーサポートまで代行してくれるため、言語面のリソースがない段階でも参入できます。ただし代行費用は別途かかるため、予算に含めて検討してください。

Q6: 中国で売れやすい食品カテゴリはどれですか?

A6: 機能性食品・プロテイン・ダイエット食品などの健康志向商品、日本独自の味のお菓子・スイーツ、お茶・飲料、レトルト食品など幅広く人気があります。なかでも「日本産」のブランド力が特に効くのは、品質にシビアな育児食品・離乳食・健康補助食品のカテゴリです。

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この記事を書いた人

株式会社Agriture 代表取締役/食品OEMコンシェルジュ 乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業を手がける株式会社AgritureのCEO。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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