レトルトOEM|常温保存・費用・製品開発の流れ

レトルト食品OEMは、自社ブランドのレトルト製品を専門メーカーに製造委託するサービスです。共働き世帯の増加や高齢化を背景に、手軽に調理できる常備食品への需要が年々拡大しています。

カレー・シチュー・惣菜・スープなど、常温保存が可能なレトルト製品は、ギフト・通販・ふるさと納税など幅広い販路で展開できます。この記事では、レトルト食品OEMの費用・流れ・メーカーの選び方を解説します。

目次

OEMで作れる製品

製品カテゴリ 主な商品例 賞味期限 販路
カレー・シチュー ご当地カレー・スパイスカレー 1〜2年 EC・土産・ふるさと納税
惣菜 煮物・煮魚・肉料理 6ヶ月〜1年 スーパー・EC
スープ・ポタージュ 野菜スープ・コーンポタージュ 6ヶ月〜1年 EC・ギフト
ソース・たれ パスタソース・丼の素 6ヶ月〜1年 小売・EC
介護食・離乳食 やわらか食・ペースト食 1〜2年 介護施設・EC

レトルト加圧加熱殺菌により常温で長期保存が可能な製品を実現できます。

OEM費用の相場

費用項目 金額目安 備考
試作費用 30,000〜100,000円 レシピ開発・殺菌条件設定含む
製品単価(パウチ) 100〜400円/食 内容量・原材料による
最小ロット 500〜3,000食 会社によって異なる
パッケージデザイン 30,000〜100,000円 デザイン・版代
殺菌条件設定費 50,000〜200,000円 初回のみ・製品ごとに必要

OEM依頼の流れ

ステップ 内容 期間
1. 相談 製品コンセプト・数量・予算を共有 1〜2週間
2. レシピ開発 原材料選定・配合設計・味の方向性確定 2〜4週間
3. 殺菌条件設定 加圧加熱殺菌の温度・時間を最適化 2〜3週間
4. 試作・評価 サンプル製作・味・食感・保存性の評価 2〜4週間
5. パッケージ確定 パウチ形状・ラベルデザイン・表示内容 2〜3週間
6. 本製造・納品 製造・品質検査・出荷 2〜4週間

相談から納品まで3〜5ヶ月が目安です。殺菌条件の設定はレトルト製品特有の工程で、食品安全を確保するために不可欠です。

OEMメーカーの選び方

  • レトルト殺菌設備の種類と処理能力
  • 対応できる製品カテゴリの幅(カレー・惣菜・スープなど)
  • 小ロット対応の可否と最低ロット数
  • HACCP認証の取得状況
  • パッケージ形状の柔軟性(パウチ・スタンドパック・箱型)

レトルト製造は殺菌設備が大型で、対応できる会社が限られます。食品OEMの窓口のレトルトカテゴリから条件に合うメーカーを検索できます。

OEM成功のポイント

  • ターゲット販路を先に決める(ギフト・EC・小売で製品設計が変わる)
  • 常温保存のメリットを活かした販路戦略を立てる
  • 殺菌条件による味・食感の変化を試作段階で確認する
  • ご当地食材やシェフ監修など差別化要素を製品に組み込む
  • 表示ラベルの栄養成分・アレルゲン情報を正確に記載する

レトルト食品は常温流通が可能なため、冷蔵・冷凍製品に比べて物流コストを抑えられます。ギフト市場やふるさと納税では、ご当地の食材を使ったオリジナル製品が特に人気です。

OEM依頼時の確認事項

レトルト食品のOEMを依頼する際に確認すべき項目をまとめます。

確認項目 ポイント
最低発注ロット 500〜3,000食。初回は最小ロットで生産し、販売実績に基づいて増産
試作の回数 通常2〜3回。サンプルの味・食感・見た目を評価して改良
原料の調達 メーカーが調達するか、依頼者が持ち込むか。国産素材・有機素材など差別化できる原料を選定
パッケージ対応 デザインから印刷まで一括対応できるか。別途デザイナー手配が必要か
品質管理体制 HACCP認証の有無。レトルト殺菌条件の設定は食品安全の要
納期 通常3〜5ヶ月。繁忙期は延びる可能性あり

OEMでよくある失敗

失敗パターン 原因 回避策
サンプルが何度もやり直し コンセプトが曖昧なまま依頼 参考商品を3〜5個提示して具体的にイメージ共有
在庫を抱えて赤字 初回発注が多すぎる 最小ロットで生産し、テスト販売で需要を確認
利益率が低い 送料・手数料を含めた原価計算の不備 全コスト込みで原価率30〜40%以内に収める
品質トラブル メーカーの品質管理体制の確認不足 HACCP認証の有無と出荷前検査の内容を確認
食品表示の不備 アレルゲン・栄養成分の記載ミス メーカーと共同で表示ラベルを作成・ダブルチェック

OEM原価計算の方法

レトルト食品のOEM商品で利益を出すには、正確な原価計算が不可欠です。

原価項目 売上比率の目安
製造原価(OEM費用) 25〜35%
物流・配送費 5〜10%
販売手数料(ECモール等) 10〜15%
広告宣伝費 10〜20%
粗利 20〜40%

OEM契約のポイント

  • レシピ・配合の知的財産権の帰属を明確にする
  • 不良品発生時の対応(交換・返金・再製造)を契約書に記載
  • 価格改定の条件(原材料高騰時の単価見直し基準)
  • 最低契約期間と中途解約のペナルティを確認
  • 機密保持条項(商品情報の第三者開示禁止)

レトルト食品は殺菌条件の設定費用が初回のみ発生します。2回目以降の発注では不要なため、長期的なコストメリットを考慮して契約してください。

OEM商品の食品表示

OEMで生産したレトルト食品を販売する際は、食品表示法に基づく適切な表示が必要です。

  • 名称(商品の一般的な名前)
  • 原材料名(重量順に記載、アレルゲン表示含む)
  • 内容量
  • 賞味期限または消費期限
  • 保存方法
  • 製造者または販売者の名称・住所
  • 栄養成分表示(熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量)

特定原材料8品目(えび・かに・くるみ・小麦・そば・卵・乳・落花生)は表示が義務付けられています。カレーや惣菜は小麦・乳・卵など複数のアレルゲンを含むケースが多いため、製造ラインの共用状況も確認が必要です。

OEM製品の差別化戦略

レトルト食品OEM市場で差別化するためのアプローチです。

差別化の軸 具体的なアプローチ
ご当地食材の活用 地元の肉・野菜・魚介を使った限定カレーや惣菜
シェフ・料理家監修 プロの味を家庭で再現できる付加価値
健康志向 無添加・減塩・低カロリー・高タンパク設計
パッケージの高級感 ギフト箱入り・のし対応・化粧箱付き
ストーリー性 生産者の顔が見える原料、開発背景の訴求

OEM殺菌条件の設計

レトルト食品の安全性は加圧加熱殺菌の条件設計で決まります。

殺菌パラメータ 内容
殺菌温度 通常120℃前後。pH値や水分活性によって調整
殺菌時間 内容物の粘度・固形物のサイズによって変動
F値 殺菌の指標値。目標F値を満たすことで安全性を担保
保存試験 常温保存で賞味期限の1.3倍以上の期間テスト

殺菌条件は製品ごとに異なるため、新しいレシピでOEMを依頼するたびに条件設定が必要です。この工程がレトルト食品OEM特有のコスト要因になります。

OEM開発の失敗事例

事例1:殺菌条件で味が変わった

あるレストランが自慢のビーフシチューをレトルト化しようとしたところ、加圧加熱殺菌後に肉が硬くなり、野菜が煮崩れしてしまいました。殺菌工程では120℃の高温がかかるため、通常の調理とは異なる食感変化が生じます。

対策として、殺菌後の仕上がりを想定したレシピ設計が必要です。肉は大きめにカットし、野菜は煮崩れしにくい品種を選定。調味料の配合も殺菌後の味の変化を織り込んで調整します。レトルト経験の豊富なメーカーなら、この「殺菌後の味設計」のノウハウを持っています。

事例2:ふるさと納税で大量受注→製造が追いつかない

ご当地カレーをふるさと納税の返礼品に登録したところ、年末に想定の5倍の受注が入りました。しかしOEMメーカーの製造キャパシティが追いつかず、納品が2ヶ月遅延。自治体から「次回は登録を見送る」と通告されました。

ふるさと納税は年末(11〜12月)に受注が集中するため、メーカーと事前に繁忙期の製造キャパシティを確認し、受注上限を設定しておくことが重要です。在庫を持つか、受注後製造にするかの判断もメーカーと協議してください。

よくある質問

Q. レトルト食品OEMの最小ロットは?

500〜3,000食が一般的です。殺菌設備の釜のサイズによって最小ロットが決まるため、メーカーの設備によって異なります。小ロット対応のメーカーは限られますが、500食から対応可能な会社もあります。

Q. 自分のレシピをレトルト化できる?

可能です。ただし通常の調理レシピをそのままレトルト化すると、殺菌工程で味や食感が変わります。メーカーのレトルト開発担当者と一緒に、殺菌後の仕上がりを想定したレシピに調整する作業が必要です。この工程に2〜4週間かかるのが一般的です。

Q. 常温保存は本当に安全?

加圧加熱殺菌(レトルト殺菌)は、食品衛生法に基づく殺菌基準(F値)を満たすように設計されています。適切に殺菌された製品は、未開封の状態で常温保存が可能です。ただし直射日光や高温多湿を避ける保存条件は必須です。

Q. パウチのサイズは選べる?

200g・300g・500gなど、内容量に合わせたパウチサイズを選択できます。1人前(200〜300g)が最も一般的で、業務用は500g〜1kgのパウチも対応可能です。スタンドパウチ(自立型)は店頭陳列で視認性が高く、ギフト向けにも適しています。

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この記事を書いた人

小島怜のアバター 小島怜 株式会社Agriture

株式会社Agriture 代表取締役/食品OEMコンシェルジュ 乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業を手がける株式会社AgritureのCEO。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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