健康志向の高まりを背景に、特定成分を配合したサプリメントや自然由来の栄養補助食品の需要が拡大しています。中でも「健康食品OEM」は、自社ブランドでオリジナル商品を開発・販売できる手段として注目を集めています。
商品企画を自社で行い、製造は専門メーカーに任せることで、開発コストと時間を抑えながら、高品質な製品を市場投入できます。
この記事では、健康食品OEMとは何かから、メリット・デメリット、依頼の流れ、費用、信頼できるメーカーの選び方まで、実務レベルで役立つ情報を徹底解説します。
健康食品OEMとは？
健康食品OEMとは、サプリメントや栄養補助食品などの健康食品を、自社ブランドで販売するために製造だけを外部企業に委託する方式のことです。 OEMは「Original Equipment Manufacturer」の略で、企業は製造設備を持たずとも商品を展開できます。
たとえば、ビタミンやミネラルを配合した錠剤サプリメント、機能性成分を加えたドリンクパウダー、プロテインバーやグミなどの栄養スナックといった商品を、アイデアや配合レシピを元にOEMメーカーと共同で開発できます。 近年ではD2C（ダイレクト・トゥ・コンシューマー）モデルの普及により、初期費用を抑えてスタートできるOEMのニーズが増加しています。
健康食品OEMのメリット・デメリット
健康食品OEMには多くの利点がありますが、事前に注意すべきポイントもあります。
メリット
開発・販売に集中できるという点が最大の利点です。
- 初期投資が少ない：製造設備や工場を自社で用意する必要がありません
- 専門知識・技術を活用できる：製造ノウハウや法規制への対応をOEM先が担ってくれる
- 小ロットから対応可能な場合もある：試験的に販売し、反応を見ながら改良が可能
- 短期間で市場投入できる：試作〜製造のプロセスが確立されており、スピーディーに展開可能
デメリット
外注する分、コントロールできない要素も存在します。
- 製造ロットや最低注文数に制限がある：メーカーによっては1万個以上からしか対応しない場合も
- レシピや製造ノウハウが共有されないこともある：共同開発ではあっても、完全にレシピを開示されないことが多い
- 品質管理は委託先の信頼性に依存する：不良品や異物混入が起きた場合、自社の信頼に直結するリスクも
健康食品OEMの依頼の流れ
健康食品OEMを依頼する際の基本的な流れと、費用の目安を以下にまとめます。
| ステップ | 内容 |
| 1. 問い合わせ・相談 | 商品の概要や希望する成分・形状などを相談 |
| 2. 試作・見積り | 配合案や製造方法に基づいて試作品を作成、費用見積り |
| 3. 製品仕様決定 | 原材料・パッケージ・ロット数などの詳細決定 |
| 4. 製造・納品 | 工場で製造、検品の後に納品 |
健康食品OEMの費用の目安
- 初回試作費用：3〜10万円程度
- 小ロット製造（500個〜）：20万〜50万円
- 大量ロット製造（1万個〜）：100万〜300万円以上
- パッケージ印刷費用：5万〜10万円（デザイン含まず）
健康食品OEMメーカーの選び方
OEMパートナーを選ぶ際は、以下の観点を意識すると失敗しにくくなります。
- GMPやFSSCなどの認証取得状況：製品の安全性・品質保証があるか
- 得意な剤形・製品カテゴリ：錠剤、粉末、グミなど、自社が求める形状に対応しているか
- 小ロット対応の有無：スタートアップやテスト販売を想定している場合は必須
- 開発力・提案力：成分提案や売れる配合を一緒に考えてくれるか
- 実績や事例の有無：他社製品の製造実績を確認できるか
おすすめの健康食品OEMメーカー3選
ここでは、信頼性・対応力・実績の3点で優れたOEMメーカーを厳選して紹介します。 メーカーごとの得意分野や特色を踏まえ、自社の方針や商品コンセプトに合致するパートナー選びの参考にしてください。
備前化成株式会社（岡山県）
医薬品GMP準拠の自社工場を持つ備前化成は、機能性表示食品・特定保健用食品・健康食品までフルカバーできる数少ないOEMメーカーです。原料開発から始まった同社は、独自素材とエビデンスを持つ処方設計が可能で、エントリーモデルから高付加価値商品まで対応。
- 医薬品GMP準拠の高度な品質体制
- 自社素材を活かした差別化処方
- ドリンク・ゼリー・錠剤・顆粒など多様な剤形
- エビデンスに基づいた機能性表示食品開発に強み
アピ株式会社（岐阜県）
スポーツ・美容・ウェルネス分野に強いODM/OEMメーカー。特にグミ・ゼリー・パウダー・ドリンクなど、トレンド性の高い剤形に対応しており、パッケージ設計やEC販売支援までワンストップで提供。100個から対応可能な小ロット試作や、スピード開発、D2C支援体制が整っており、新規立ち上げ企業やインフルエンサー向けブランドにも最適です。
- スポーツニュートリション・美容サプリに強み
- 小ロット・スピード重視の試作対応（最短7営業日）
- ブランド設計・パッケージデザイン・SNS活用もサポート
株式会社シンギー（東京都）
東京都千代田区に本社を構える株式会社シンギーは、健康食品および化粧品のOEM受託製造を専門とする企業です。健康食品GMP認証およびISO22000認証を取得した自社工場（茨城県笠間市）を有し、安心・安全な製品づくりを強みとしています。
- 多様な剤形（グミ・ゼリー・錠剤・カプセル・粉末など）に対応
- 機能性表示食品の届出支援・デザイン提案も対応可能
- 小ロット・短納期の試作開発に柔軟対応（要相談）
健康食品OEMで失敗しないポイント
健康食品OEMは魅力的な手段ですが、注意すべき落とし穴もあります。以下の点を意識しましょう。
- 最低ロットや納期を事前確認する
- パッケージ・表示ルールの理解不足に注意
- 試作に十分な時間と予算を確保する
健康食品OEMは“スピード×差別化”が鍵
健康食品OEMは、スピード感を持って市場に参入し、自社の独自性を活かした商品を展開できる有力な選択肢です。
ただし、成功するためには、パートナー選定・品質管理・法規制の理解が欠かせません。
しっかりと準備を整え、信頼できるOEMメーカーと連携することで、競合との差別化と継続的なブランド成長が実現できます。健康食品OEMとは？費用・流れ・メリット・信頼できるメーカーの選び方まとめ