「自然な色・味・機能性を持った粉末食品」を自社で展開したいなら、OEMという選択が最短ルートです。健康志向、時短ニーズ、グルテンフリー需要の高まりを背景に、野菜パウダーは食品・飲料・サプリ・ベーカリー・菓子など多様な分野で注目されています。自社で設備を持たずに商品開発を行うためには、OEMの活用が欠かせません。
この記事では、野菜パウダーのOEMに初めて取り組む方に向けて、基本知識から依頼の流れ、費用感、信頼できるOEMメーカーまで詳しく解説します。
野菜パウダーOEMとは?
「野菜をパウダーにする」と一言でいっても、その背後には乾燥・粉砕・加工技術の奥深さがあります。
野菜パウダーOEMとは、乾燥野菜や野菜チップを専門メーカーが粉砕・ふるい分け・パッケージまで製造し、クライアントブランドとして提供する委託製造方式です。冷凍乾燥、熱風乾燥、真空乾燥など多様な手法から選択可能で、味や色味、栄養価を重視した設計ができます。
用途は幅広く、以下のような業種で活用されています:
- 菓子(クッキー、ケーキ、焼き菓子など)
- 飲料(スムージー粉末、青汁、スープ)
- 麺・パン(練り込み・着色)
- ペットフード・介護食・ベビーフード
- サプリメント素材
野菜パウダーOEMのメリット・デメリット
粉末だからこそ、在庫性・汎用性・差別化の自由度が大きい。一方で、素材選びや微粉管理には繊細さも求められます。
メリット|加工食品にも“自然な野菜”をプラスできる強み
- 長期保存が可能で、仕入れや製造の安定性が高い
- 風味・色味・栄養を損なわず、機能性訴求ができる
- ミックス・味付け・粒度変更などで多品種展開がしやすい
- 製品の加工性(練り込み・ふりかけ)に優れる
- 小ロット製造が可能なメーカーも多く、D2Cにも向く
デメリット|素材特性と加工方法によって仕上がりが変わる
- 素材によっては変色や風味変化が起こる(例:ほうれん草)
- 粒子の粗さや吸湿性の設計が重要になる
- 粉砕・ふるい・パッキングの仕様次第でコストが変動
- 原料の安定調達には一定のロットが必要になることも
依頼の流れ
OEM依頼の流れを知っておくことで、スムーズな商品化が実現します。事前準備とヒアリングが成功のカギです。
- 【目的・使用方法のヒアリング】
用途(飲料用、製菓用、練り込みなど)と希望する野菜・風味・粒度を共有 - 【素材と製法の提案】
乾燥方法(熱風・フリーズ・真空)、粒度(メッシュ)、色・香りの目標などを調整 - 【試作・評価】
希望粒度や色調、吸水性、加工性などをチェックし、改良へ - 【最終仕様決定】
表示・ロット・包装資材・パッケージ形態の確定 - 【製造・納品】
製造開始から納品まで約3〜5週間程度(初回は2ヶ月目安)
費用の目安
「思ったより高い」「意外と小ロットOKだった」──OEM費用は、仕様次第で大きく変動します。
- 試作費:5,000〜30,000円(内容量・素材数による)
- 最小ロット:5kg〜50kg前後(素材・粒度によって変動)
- 製造単価:1,200円〜3,500円/kg前後(原料や製法による)
- パッケージ費用:個包装 or 業務用袋で大きく異なる
- 納期:最短3週間〜(初回開発は2ヶ月目安)
野菜パウダーOEMメーカーの選び方
「安い・早い」だけで選ぶのはNG。用途に合った提案力と柔軟性こそが成功の鍵です。
- 自社原料 or 原料持ち込み対応の可否
- 粒度・色調・風味などにこだわれるか
- 加熱・乾燥・粉砕工程の設備・実績
- 小ロット製造と試作への柔軟対応
- アレルゲン管理・有機JAS対応・トレース可能性
おすすめOEMメーカー3選
野菜パウダーOEMメーカーを、実績・提案力・対応領域の視点から厳選しました。
株式会社Agriture(京都府)
京野菜などを中心とした乾燥野菜・粉末加工に対応。風味や色を活かした「素材感重視」の商品づくりが可能。
- 京野菜や伝統野菜など希少品種にも対応
- 添加物不使用・素材の香りと色を活かす粉砕が得意
- 飲料・製菓・ペットフードなど幅広く対応
こだま食品株式会社(広島県)
業務用・家庭用の野菜加工品に長年対応してきた大手企業。契約農場での栽培から、粉砕・ミックスパウダーまで一気通貫。
- アレルギー対応工場完備で安全性が高い
- 有機野菜・国産原料でのOEM対応可能
- プレミックスパウダーの企画力に定評あり
AWファーム千歳(北海道)
北海道産の野菜を中心に、契約栽培→乾燥→粉砕までを一貫対応。100haの自社農場を持ち、トレース性・品質管理も徹底。
- 農場から加工まで自社内で完結する体制
- 粉砕・ふるい・袋詰めまでカスタマイズ可能
- 小ロット案件にも対応し、D2Cブランドにも適する
失敗しないポイント
OEMは「委託」ではなく「共創」。だからこそ、パートナーとのすり合わせが命です。
- 原料・仕上がり粒度・使用方法を事前にしっかり共有する
- 色・香り・吸水性などのこだわりを具体的に伝える
- テスト製造後の使用感(混ざりやすさ・味の邪魔にならないか)を検証する
- 包装形態・表示義務などもOEM先と初期段階で確認しておく
野菜パウダーOEMは“次の一手”になる武器
自然素材をスマートに商品に落とし込む──それが野菜パウダーOEMの最大の強みです。
OEMを活用することで、素材にこだわった高付加価値商品を、自社設備なしでスピーディに展開できます。信頼できるパートナーと組めば、「味・色・安全性・加工性」のすべてを満たした製品づくりが可能です。