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韓国食品大手ハリムが日本初上陸——浅井乳業が総代理店、日本向けPBを独自開発する「垂直統合」を受託視点で読む

韓国の食品大手ハリム(Harim Co., Ltd.、本社:韓国・全羅北道益山市)が、株式会社浅井乳業(大阪府堺市堺区、代表取締役 西村元晴)を日本国内の正規代理店として、日本市場に本格参入する。両社は2026年8月21日に韓国・ソウルで調印式を挙行し、日本国内における正規代理店契約を締結した。Harim製品の日本国内での流通・販売は、NB商品・PB商品ともに一部商品を除き、浅井乳業を通じて行われる。

この発表は小売の棚に韓国ブランドが1つ増えるという話にとどまらない。受託製造やPB開発に関わる読者にとっての読みどころは、日本展開の方針に「日本市場向けに独自開発したオリジナル商品を順次投入」というPB戦略が明記されている点にある。農場・工場・市場を一体運営する海外の大手メーカーが、日本市場向けに独自開発したPBを投入すると明言している。国内の食品OEM工場や受託開発の現場は、この動きをどの位置から見ておくべきか。発表内容を事実ベースで整理したうえで、編集部の見立てを切り分けて示す。

目次

韓国の食品大手が日本唯一の代理店を通じて参入する

今回の契約で、Harimは日本ブランド名を「Harim」として国内展開する。ブランドサイト(https://harimjapan.com)は公開準備中とされ、第1弾商品の発売時期は現時点で未定と発表されている。日本総代理店は浅井乳業が担い、NB商品・PB商品ともに一部商品を除き同社を通じて流通する体制になる。

Harimはアメリカや中国をはじめとするグローバル市場にすでに進出しており、今回の契約締結が日本初上陸にあたる。発表では浅井乳業を「日本唯一の正規代理店」「日本総代理店」と位置づけており、海外での実績を持つメーカーが単一の代理店を窓口に日本へ入る構図になっている。

農場・工場・市場を一体運営する「垂直統合」モデル

発表によれば、Harimは1978年の創業以来、農場・工場・市場を一体運営する垂直統合モデルを韓国で初めて確立したメーカーである。鶏肉をはじめとする食肉加工品に加え、冷凍食品や惣菜など幅広い食品カテゴリを展開する韓国最大級の総合食品メーカーと位置づけられている。

垂直統合は一般に、原料の生産から加工、販売までを自社グループの管理下に置く方式を指す。生産計画や品質基準を上流から通しやすい方式とされるが、Harimが実際にどこまで内製で調達しているかは今回の発表では公表されていない。原料調達の難しさや価格変動が受託製造のコストを直接揺らす日本の現場からすると、上流を統合したメーカーがどのカテゴリで入ってくるかは、編集部としても続報で確認したい点になる。

NBのリデザインとPBの独自開発、二段構えの日本戦略

日本展開の方針として、発表では2つの軸が示されている。1つはNB商品で、Harimの既存商品を日本市場向けパッケージにリデザインして展開する。もう1つはPB商品で、日本市場向けに独自開発したオリジナル商品を順次投入するとしている。

ここからは編集部の見方になる。NBは既存商品の輸入とパッケージ調整が中心になるとみられる一方、PBの独自開発は日本の食習慣や味覚、容量、価格帯に合わせた商品設計を伴う。ただし発表では、その開発や製造をどこが担うか、日本国内なのか韓国側なのかは示されていない。冷凍食品や惣菜という主力カテゴリの動きは、吉野家の冷凍牛丼が示した冷凍食品OEM市場の広がりと併せて追いたい。

契約と今後のスケジュール

発表された契約概要とスケジュールを整理する。以下は浅井乳業のプレスリリースに記載された事実のみをまとめたものである。NBが「既存商品のリデザイン」で固まる一方、PBは「独自開発」とだけ示され、発売も時期未定という段階にある点が、受託・開発側の現在地になる。

項目 内容
契約内容 日本国内における正規代理店契約
日本総代理店 株式会社浅井乳業
調印式 2026年8月21日(韓国・ソウルにて挙行)
日本ブランド名 Harim
NB商品の方針 既存商品を日本市場向けパッケージにリデザインして展開
PB商品の方針 日本市場向けに独自開発したオリジナル商品を順次投入
ブランドサイト公開 時期未定(公開準備中)
第1弾商品の発売 時期未定

浅井乳業とHarim、それぞれの立ち位置

浅井乳業は1990年3月設立、資本金3,000万円、従業員20名の企業で、事業内容は乳製品流通卸売事業、乳製品生産事業、デイリープロダクツ製造事業とされている。乳製品を軸とした流通と製造の両面を持つ企業が、韓国の総合食品メーカーの総代理店を引き受けた形になる。

Harim側は創業1978年、事業内容は食肉加工品・冷凍食品・惣菜等の製造・販売である。調印式には両社代表に加え村上真之助氏も出席し、西村元晴代表は「日本唯一の正規代理店として、日本市場に根ざしたブランドをともに育てていくパートナーとして契約を締結できたことを大変光栄に思う」とコメントしている。

受託・PB開発の現場が持ち帰れる論点

ここからは食品OEMの窓口編集部の見立てになる。発表に書かれていない製造委託先や生産地については、現時点で公表されていないため断定を避ける。そのうえで、受託・PB開発の現場が押さえておきたい論点を3つ挙げる。

  • PBが「日本市場向けに独自開発」と明言された以上、味・容量・価格帯を日本仕様に合わせる工程が伴う。その開発・製造を日本国内が担うか韓国側が担うかは発表で示されておらず、国内の受託・開発が関わる余地があるかは今後の商品情報で確認したい
  • 垂直統合で上流を統合したメーカーは、供給計画や品質基準を通しやすい方式とされる。外部委託を前提とする国内の受託モデルは、価格の単純比較ではなく小ロット対応や日本の嗜好への合わせ込みで差を出す設計が問われる
  • 食肉加工品・冷凍食品・惣菜という主力カテゴリは、日本の冷凍・チルド受託と競合・補完の両面で重なりうる。どの品目が輸入NBで、どの品目が独自開発のPBになるかで、受託側の関わり方は変わる

まとめ

浅井乳業を総代理店とするHarimの日本参入は、既存NBのリデザインと日本市場向けPBの独自開発という二段構えで進む。垂直統合で上流を統合した海外メーカーが開発起点で日本のPB市場に入る動きは、国内の受託製造・PB開発の現場にとって、供給計画の通しやすさと日本仕様への合わせ込みという2つの軸で自社の立ち位置を測る材料になる。第1弾商品の内容と発売時期、そして開発・製造の担い手が明らかになった段階で、国内の受託が関わる余地を改めて確認したい。

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出典

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この記事を書いた人

小島怜のアバター 小島怜 株式会社Agriture

株式会社Agriture CEO/食品OEMコンシェルジュ 乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業を手がける株式会社AgritureのCEO。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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