健康志向の高まりや機能性食品への関心が強まる中、サプリメント市場は急速に拡大しています。特にD2Cブランドや小規模メーカー、クリニック・薬局などがオリジナル商品を展開するケースが増え、「小ロットでのOEMニーズ」が非常に高まっています。
ただし、サプリメントは健康食品であるがゆえに、表示ルール・成分設計・製造環境・許認可の対応など、一般食品と比べてOEMに求められる知識や工程も複雑です。
本記事では、これからサプリメントのOEMを検討する方に向けて、小ロットで始める際に押さえておくべき実務的なポイントを、OEMの基礎知識から費用相場、メーカーの選び方まで詳しく解説します。
サプリメントOEMとは?
サプリメントOEM(Original Equipment Manufacturing)とは、自社では製造設備を持たない企業が、製造を専門メーカーに委託し、自社ブランドの商品として販売する仕組みです。
依頼主は「目的(例:美肌・疲労回復)」「配合成分」「パッケージ」「価格帯」などの設計を行い、メーカー側は製造・充填・包装・出荷・品質検査を担います。
たとえば以下のような事例があります:
- 美容サロンが、エステ後のアフターケア向けとして、ビタミンB群とコラーゲン配合の粉末サプリメントを開発
- 鍼灸院が、顧客向けに漢方系ハーブを配合したサプリをOEMで製造し、施術後に販売
このように、ターゲットや販路が明確であれば、小ロットでも強い商品が作れるのがサプリメントOEMの魅力です。
サプリメントOEMのメリット・デメリット
小ロット対応が可能とはいえ、サプリメントOEMには食品表示や成分管理のルールもあり、安易な発注ではトラブルになるリスクも。ここでは、事前に押さえるべき長所・短所を解説します。
メリット
・設計自由度が高く、自社に合った独自処方が可能:ビタミン・ミネラル・植物エキス・乳酸菌など、多種多様な素材を組み合わせて設計できます。
・ブランディングに最適:サロンや医院などでの販売では、「自分の店舗専用サプリメント」という付加価値が与えられます。
・製造・法規制のプロに任せられる: 健康食品GMP工場、食品表示法・薬機法に詳しい体制が整っており、初心者でも安心です。
デメリット
・初回試作〜製造まで一定の時間がかかる: 小ロットとはいえ、1〜2ヶ月のリードタイムは想定しておく必要があります。
・表示や成分の法的規制が多く、訴求表現に制限がある:「◯◯に効く」といった表現は薬機法違反になるため、販促にも注意が必要です。
・原料単価が上がりやすく、原価率が高くなる場合も: 小ロットだと原料単価がスケールメリットを受けづらく、販売価格設定に工夫が求められます。
一般的なサプリメントは大手企業が広告費を使い認知度が取れている市場であり、新規参入の場合は、成分やコンセプトなどニッチに商品設計をする必要があります。
依頼の流れと費用の目安
サプリメントOEMでは、健康被害防止のために厳格な工程管理が求められます。そのため、商品企画から納品までの流れを理解しておくことが重要です。
工程 | 内容 | 所要期間(目安) |
商品企画 | 配合成分や形状(錠剤・粉末・カプセルなど)を設計 | 1〜2週間 |
試作 | 実際に成分を配合し、味や形状、安定性を確認 | 2〜4週間 |
表示チェック | 栄養成分表示、原材料表示、広告表現の確認 | 1〜2週間 |
製造 | 充填・包装・外装印刷など | 3〜4週間 |
納品 | 検査・出荷 | 1週間程度 |
費用の目安
小ロットであっても、サプリメントOEMでは「試作費」と「製造費」に分かれた費用が発生します。
- 試作費:1〜5万円程度(処方・形状により異なる)
- 製造単価(1粒あたり):2〜15円(原材料・形状により大きく変動)
- パッケージ:ラベル印刷は5,000円前後から、オリジナルパウチは初回3万円〜
- 最小ロット:100〜1,000個(形状や原料在庫により変動)
サプリメントOEMメーカーの選び方
サプリメントOEMは、健康食品の中でも法規制が厳しい分野のひとつです。そのため、価格やロット数だけでなく、GMP認証取得状況・表示対応・成分の機能性に対する理解など、メーカーの「総合対応力」を重視する必要があります。特に小ロットOEMでは、試作・製造の柔軟性に加え、提案力やレスポンスの早さも大きな差別化要因になります。
選定時のチェックポイント
- GMPやISOなどの認証取得があるか
→法規制対応・品質管理の体制が整っているかの指標になります。 - 機能性素材やトレンド成分の取り扱い実績があるか
→NMN、HMB、乳酸菌、アスタキサンチンなどの実績は要チェックです。 - 剤形(錠剤・カプセル・顆粒・ドリンクなど)の対応力があるか
→自社のコンセプトに合った形状で製造できるか確認しましょう。 - 小ロットや多品種製造に柔軟に対応してくれるか
→立ち上げ初期やテストマーケティングでの小回りの利きやすさが重要です。 - 薬機法・景品表示法に詳しい担当者がいるか
→パッケージや広告で不適切表現がないかを一緒にチェックできる体制が理想です。
OEMメーカー選びは、「製造能力」だけで判断すべきではありません。開発の柔軟性・品質体制・法規対応・販促支援まで含めた総合力で選ぶことで、失敗のリスクを大きく減らせます。まずは試作・相談から始めて、信頼できるパートナーを見つけましょう。
おすすめのOEMメーカー3選
サプリメントのOEMを成功させるには、単なる製造力だけでなく、「法規制への理解」「処方提案の柔軟性」「ニッチ素材への対応」など、総合的な開発支援力が求められます。特に小ロットOEMでは、研究開発・パッケージ設計・許認可対応など多面的な支援が必要なため、パートナー企業の選定は慎重に行う必要があります。
ここでは、小ロット対応・処方開発力・専門分野での強みを備えた注目のサプリメントOEMメーカー3社をご紹介します。
王子食品株式会社(京都府)
オージーフーズは、健康食品OEMにおいて「食品安全」「機能性表示」「法規制対応」まで一貫して支援できる体制が整った企業です。GMP認定工場と連携し、粉末・錠剤・カプセルなどの幅広い剤形に対応。素材開発型企業として、トレンド原料(NMN・酵母ペプチドなど)を用いた処方提案にも強みがあります。
- 健康食品分野に特化したOEM開発実績
- GMP・HACCPなどの品質管理体制
- 小ロットから対応可能
- 商品企画~パッケージ~申請業務まで一貫支援
備前化成株式会社(岡山県)
医薬品GMP準拠の自社工場を持つ備前化成は、機能性表示食品・特定保健用食品・健康食品までフルカバーできる数少ないOEMメーカーです。原料開発から始まった同社は、独自素材とエビデンスを持つ処方設計が可能で、エントリーモデルから高付加価値商品まで対応。
- 医薬品GMP準拠の高度な品質体制
- 自社素材を活かした差別化処方
- ドリンク・ゼリー・錠剤・顆粒など多様な剤形
- エビデンスに基づいた機能性表示食品開発に強み
株式会社アンチエイジング・プロ(東京都)
ヴィーガンサプリメントにも対応した開発を行うエーツープロダクションは、動物性原料フリー・化学添加物不使用といった厳格な基準に準拠したOEMが可能。特に海外向けヴィーガン認証対応や、グルテンフリー・アレルゲン除去処方などにも柔軟に対応し、ナチュラル系ブランド立ち上げに適しています。
- ヴィーガンサプリメント専門のOEM対応
- 海外市場向け認証制度(Vegan, Non-GMO等)にも対応
- 小ロットでの立ち上げも可能
- パッケージデザインやブランディング支援も提供
失敗しないポイント
- 配合する成分の「訴求」と「法規制」の関係を理解する
- 表示ラベルと広告表現はOEM先に相談して確認する
- 初回ロットは余剰在庫リスクを最小限に抑える(販売計画とセットで)
- 比較検討を前提に、2〜3社以上へ問い合わせする
- 衛生管理やGMP対応状況を必ず確認
サプリメントOEMを小ロットで始める際は、価格やロットの柔軟さだけでなく、法規制・成分設計・販売支援まで見据えて対応できるメーカー選びが成功のカギです。
まずは資料請求や無料相談を通じて、自社の目的や販路に適した提案を受けてみることをおすすめします。小さく始めて、大きく育てる。その一歩がここから始まります。