ネスレが4月にカカオフリーチョコを発売——ChoViva素材がOEM市場に投げかけるサステナブル素材シフト

この記事の要約
ネスレが2026年4月にドイツでカカオを使わないチョコ「Choco Crossies Snack Vibes」を発売しました。Planet A Foodsの「ChoViva」素材はヒマワリ種子を発酵・焙煎し、CO2排出80%減・水使用94%減を実現。食品OEM担当者への示唆として、発酵由来機能訴求、グリーンウォッシュ禁止指令への対応、カカオ価格リスクヘッジの3点を解説しています。

ネスレが2026年4月、ドイツ市場で「Choco Crossies Snack Vibes」を発売した。注目点は、カカオを一切使わないという点だ。原料には、ドイツのスタートアップPlanet A Foodsが開発した「ChoViva」を採用している。ヒマワリの種子を発酵・焙煎し、植物性脂肪・砂糖・粉ミルクとブレンドした素材で、従来のチョコレートと同様のコンチング工程で仕上げる。

環境負荷は圧倒的に低い。CO2排出量は従来比80%減、水使用量は最大94%減。カカオ農業が抱える森林破壊・児童労働・気候変動リスクをゼロにしながら、チョコレートのような味わいを実現している。フレーバーはクラシック・ヘーゼルナッツ・塩キャラメルポップコーンの3種だ。

目次

食品OEM担当者が知るべき3つの示唆

1. 機能性素材としての位置づけ

FoodNavigatorが2026年3月に実施した登録栄養士802名への調査では、2026年に伸びる機能性素材の1位が「発酵食品」だった。ChoVivaも発酵プロセスを使う。発酵由来の機能訴求は、OEMで差別化できるポイントになる。

2026年に注目される機能性素材は以下の通りだ。

素材 主な機能 活用製品例
発酵食品(ケフィア等) 腸内マイクロバイオーム改善 飲料・ヨーグルト代替品
コラーゲン 皮膚・関節サポート 飲料・バー・パウダー
プロバイオティック飲料 免疫機能サポート 機能性ソーダ・ドリンク
マッシュルーム(ベータグルカン) 免疫活性 サプリメント・スープ
スパイス類(ターメリック等) 抗炎症 スムージー・ドレッシング

2. 環境配慮訴求の義務化圧力

EU域内では2025年から「グリーンウォッシュ禁止指令」が段階的に適用されている。サステナブル訴求には根拠が必要になる時代だ。CO2削減率・水使用量など定量的なエビデンスを持つ素材を採用するOEMは、欧米向け輸出商品でも競争力を持つ。

3. カカオ価格リスクの現実

カカオは2022年以降の世界的な不作で原料コストが2倍以上に跳ね上がった。その中でネスレが選んだ答えが、代替素材によるリスクヘッジだった。チョコレート系OEM商品を手がけるメーカーにとって、この動きは対岸の火事ではない。

代替チョコ素材の現在地

ChoViva以外でも、代替チョコ素材の研究は各地で進んでいる。

  • テンペ由来チョコ代替:大豆を発酵させたテンペをベースにした代替素材の研究が進行中
  • キャロブ:古くからのカカオ代替素材。甘さを持ちカフェインを含まない
  • 米粉・大麦ベース:日本国内でも農研機構や大学が研究する国産代替素材

日本国内では、東京農業大学や食品総合研究所が取り組む発酵チョコ代替素材が実用化議論の段階に入っている。

OEM担当者への具体的アクション

  1. 自社ラインの試作機会をつくる:今のうちに代替チョコ素材1〜2種類をサンプル取り寄せし、試作ロットを走らせることが、3年後の受注競争力に直結する

  2. バイヤーへの情報提供:欧米バイヤーからの「サステナブル素材対応可能か?」という問い合わせへの準備として、代替素材のスペックシートを整備しておく

  3. 原料調達先の多角化:カカオ一本依存のチョコレートOEM工場は、代替素材メーカーとのパイプを今から作っておくことがリスクヘッジになる

ネスレの今回の動きは、「大手が認めた代替素材時代の幕開け」として食品OEM業界に受け取られるべきだ。

よくある質問

Q. ChoVivaはすでに日本で入手できますか?

A. 2026年4月時点では、主にヨーロッパ向けに展開されています。日本での供給については、Planet A Foodsの問い合わせ窓口へのコンタクトが第一歩です。

Q. カカオフリー素材を使ったOEM開発の設備ハードルは?

A. 一般的なチョコレートラインが流用できる場合が多く、コンチング・テンパリング工程の調整が主な変更点です。大きな設備投資なしに試作できるケースもあります。まずは原料調達先の確保から始めるのが現実的です。

Q. ネスレ以外の大手でも代替チョコ素材の採用事例はありますか?

A. 2026年3月時点で、複数の食品大手が代替チョコ素材の研究開発を進めていることが業界専門誌で報告されています。大手の動きは1〜2年のタイムラグで市場標準となる傾向があります。

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この記事を書いた人

小島怜のアバター 小島怜 株式会社Agriture

株式会社Agriture CEO/食品OEMコンシェルジュ 乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業を手がける株式会社AgritureのCEO。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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