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カフェオレの生菌数が35℃で約1万6600倍に——ニッセンケンの飲みかけ飲料試験を、受託製造の保存性設計から読む

一般財団法人ニッセンケン品質評価センター(本部:東京都台東区、理事長:安藤 健)は2026年8月28日、飲みかけのペットボトル飲料を保存温度別に保管し、生菌数の変化を確かめた参考試験の結果を公表した。カフェオレ・スポーツドリンク・麦茶・緑茶の4種類を4℃・20℃・35℃で24時間保管したところ、35℃のカフェオレで生菌数が約1万6600倍に増えた一方、スポーツドリンクと緑茶ではほとんど増えなかった。

発表そのものは、暑い時期に飲み残しをどう扱うべきかという消費者向けの注意喚起だ。ただ、どの飲料でどれだけ菌が増えたかという差は、配合によって菌の増え方が変わりうることを一例として生菌数で見せている。飲料の受託製造やPB開発を手がける側から読むと、レシピ設計と保存性・品質保証のつながりを確かめる材料になる。

目次

第三者試験機関が飲みかけ飲料の生菌数を温度別に測定

ニッセンケンは1948年設立の第三者試験機関で、繊維製品を中心に試験・検査を手がけ、微生物試験も業務の一つに置く。今回は「飲みかけのペットボトル飲料の持ち歩き」という日常の場面に着目し、保存温度で生菌数がどう変わるかを確かめた。

試験では4人の社員モニターがそれぞれ1種類の飲料に直接口を付け、数回に分けて半分程度まで飲用した。その後、4℃(冷蔵庫内を想定)・20℃(比較的涼しい室内を想定)・35℃(暑い時期に長時間持ち歩く状態を想定)の3条件で24時間保管し、口を付けた直後と24時間後の生菌数(CFU/mL)を測定している。

カフェオレは35℃で約1万6600倍、麦茶は約1400倍

大きく増えたのは、35℃で保管したカフェオレと麦茶だった。カフェオレは530 CFU/mLから8,800,000 CFU/mLへ、約1万6600倍に増加した。ニッセンケンは、カフェオレに含まれる糖分や乳成分が微生物の利用しやすい栄養分であり、35℃という温度と組み合わさったことで菌が増えた可能性があると説明している。

麦茶は290 CFU/mLから410,000 CFU/mLへ、約1400倍に増えた。原料である大麦由来の炭水化物が菌の栄養源になったと考えられるという。口を付けた時点では数百CFU/mLだった飲料が、温度と栄養源の条件がそろうと1日で桁違いの数字になることを示している。

スポーツドリンクと緑茶は増えなかった——酸性とカテキンの差

一方で、スポーツドリンクはすべての条件でほぼ検出されなかった。ニッセンケンは、酸性のスポーツドリンクは細菌が増殖・生存しにくい環境にあるとしている。緑茶も、いずれの保存温度でも保存前を上回る増加は確認されなかった。含まれるカテキンの抗菌作用で菌が増えなかった可能性があるという。

同じ「飲みかけを24時間置く」という条件でも、飲料によって結果が分かれた。増えた飲料と増えなかった飲料の違いは、ニッセンケンが挙げた栄養源の有無やpH・抗菌成分の説明と重なって見える。ただし各飲料1検体の参考試験であり、因果を一般化できる結果ではない。

試験結果の概要

今回の参考試験で公表された、飲料別の生菌数の動きとニッセンケンの説明を一覧にまとめる。

飲料 24時間保管後の生菌数の動き(口を付けた直後→保管後) ニッセンケンが推定する要因
カフェオレ(35℃) 530 → 8,800,000 CFU/mL(約1万6600倍) 糖分・乳成分が微生物の栄養源
麦茶(35℃) 290 → 410,000 CFU/mL(約1400倍) 大麦由来の炭水化物が栄養源
スポーツドリンク すべての条件でほぼ検出されず 酸性で細菌が増殖・生存しにくい
緑茶 いずれの温度でも保存前を上回る増加なし カテキンの抗菌作用

「参考試験」という前提——どこまで言えてどこから言えないか

ニッセンケンはこの試験を「参考試験」と位置づけ、いくつかの前提を明示している。反復試験による再現性の確認は行っておらず、結果は今回使用した検体・条件に限られる。測定したのは生菌数であり、食中毒菌など特定の微生物の有無を確認したものではない。

つまり「この配合なら安全」「この温度なら危険」と一般化できる数値ではない。飲みかけの飲料はできるだけ早く飲み切り、飲み残したら冷蔵庫で保管するという、取り扱いの注意喚起が発表の主旨だ。数値の桁は目を引くが、条件付きの一例として扱う必要がある。

受託製造・PB開発が持ち帰れる論点

ここからは食品OEMの窓口編集部の見立てになる。今回の試験は開封後の消費者の扱いを対象にしたもので、製造工程の話ではない。ただ、飲料ごとに結果が分かれた理由は、飲料の受託製造やPB開発で保存性を設計するときの勘所と重なる。

今回の試験では、糖分や乳成分を含むカフェオレや大麦由来の炭水化物を含む麦茶で、温度が上がると菌が大きく増えた。逆に酸性のスポーツドリンクやカテキンを含む緑茶では増えなかった。配合しだいで菌の増えやすさが変わりうることを示す一例だ。この違いは、殺菌条件・充填方式・pH設計・賞味期限の置き方を考えるときの手がかりになりうる。乳・糖を含む飲料の受託では、殺菌と充填後の管理をどこまで作り込むかが品質保証を左右しうる。滅菌・殺菌の工程そのものを見直す動きはオートクレーブ設備の側でも進んでいる。

受託やPBの引き合いを受けたときに、先に確かめておきたい項目を並べると次のようになる。

  • 配合に含まれる栄養源(糖・乳・炭水化物)と微生物リスクの対応
  • pHや天然抗菌成分を保存性設計にどう織り込むか
  • 想定する流通・保管温度と、それに耐える殺菌・充填条件
  • 賞味期限の設定根拠と、開封後の扱いを前提にした表示
  • 第三者試験機関による微生物試験をどの段階で挟むか

まとめ

ニッセンケンの参考試験は、飲みかけの飲料を放置した場合の生菌数の変化を温度別に示したものだ。カフェオレと麦茶は35℃で大きく増え、酸性のスポーツドリンクとカテキンを含む緑茶はほとんど増えなかった。あくまで今回の検体・条件に限られる一例だが、配合しだいで菌の増えやすさが変わりうることを数字で見せている。飲料の受託やPBを手がける工場が次にやることは、自社が扱う配合ごとに、栄養源・pH・殺菌条件・賞味期限の設定根拠がつながっているかを一度棚卸しすることだ。

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出典

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この記事を書いた人

小島怜のアバター 小島怜 株式会社Agriture

株式会社Agriture CEO/食品OEMコンシェルジュ 乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業を手がける株式会社AgritureのCEO。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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