もうたま卵が善光寺門前の味噌と組んだ——ちさと東の常温煮卵に見る、地域素材コラボと賞味期限180日の量産
株式会社ちさと東(本社:長野県飯田市)は、常温で保存できる煮卵シリーズ「いちど食べたらもうたま卵」の新フレーバーとして、善光寺門前の老舗「すや亀」と組んだ『いちど食べたらもうたま卵 山椒みそ味』を2026年9月1日に全国発売する。すや亀の「門前みそ」を使った甘口の練り味噌に山椒の香りを合わせた、常温で流通できる惣菜型の煮卵だ。
受託・PB開発の視点で読むと、この一本には持ち帰れる要素が詰まっている。軸になるのは、冷蔵に頼らず常温で180日もたせる調理・殺菌の技術と、他社ブランドの素材や名前を掛け合わせて商品を仕立てる共創のやり方だ。ちさと東はこれまでも複数の食品ブランドと組んできた実績があり、今回のすや亀とのコラボもその延長線上にある。
善光寺門前の「門前みそ」に山椒を重ねた新フレーバー
今回の商品は、善光寺門前で長く商う老舗「すや亀」の「門前みそ」を使用している点が最大の特長だ。奥深いコクを持つ甘口の練り味噌に、山椒の爽やかな香りをブレンドし、国産卵を使った和風の煮卵に仕立てた。ご飯のおかずや弁当のおかず、酒のつまみなど、幅広い食シーンを想定している。
開発の背景には、善光寺(長野市)で数え年で7年に一度行われる「善光寺御開帳」がある。2027年は4月4日の開闢大法要から6月19日の結願大法要まで77日間にわたって御開帳が行われる。前回2022年は636万人の参拝者を集め、長野商工会議所の試算では経済効果が1,095億円超にのぼったという(数字はいずれもリリースが引く長野商工会議所の試算)。御開帳を控えたこの機会に、地元の素材を全国の棚に先んじて届ける狙いで開発された商品だ。
常温保存を可能にする独自の調理・殺菌技術
「いちど食べたらもうたま卵」は、1990年に南信州・阿智村の昼神温泉郷の土産として誕生した。口コミで評判が広がり、今では全国のスーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストアなどで展開される同社の主力商品に育っている。
「もうたま卵」が常温で流通できるのは、黄身の奥深くまで秘伝のたれを染み込ませつつ日持ちを両立させる独自の調理・殺菌技術による、とリリースは説明する。今回の山椒みそ味も賞味期限は常温で180日。長野県飯田市の自社工場では1日あたり数万個の製造能力を持ち、開封してそのまま食べられる形で全国に供給しているという。
展示会から生まれたコラボと、共創の実績
今回のコラボは「地元の魅力を全国へ」という発想から始まった。信州といえば味噌、として展示会などで顔なじみだったすや亀に声をかけたところ快諾を得て、商品化に向けた開発がスタートしたという。みそ味だけでは食シーンが伝わりにくいことから、「山椒みそ」とすることで味に奥行きを持たせ、ご飯や弁当など食べる場面を思い描きやすくした。
ちさと東はこれまでも、ピックルスコーポレーション(ご飯がススムキムチ味)、マルコメ(みそ味)、八幡屋礒五郎(七味唐辛子入り)、ナガノトマト(トマトバジル味)といったブランドと組んできた。看板となる三本柱は醤油味・旨塩味・一味唐辛子入りで、そこに企業コラボのラインを重ねて品ぞろえを広げてきた経緯がある。他社ブランドと組んだ共同開発が長く売れる商品に育った例では、生協と組んで33年続く吉野家の冷凍牛丼のような事例もあり、素材や名前を掛け合わせる座組みは受託・PBでも一つの型になっている。
商品概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商品名 | いちど食べたらもうたま卵 山椒みそ味 |
| 発売日 | 2026年9月1日(火) |
| 内容量 | 4個入・5個入 |
| 参考小売価格 | 4個入 500円/5個入 600円 |
| 賞味期限 | 常温180日 |
| 発売エリア | 全国(量販店・ECショップ) |
| 主な素材・特徴 | 国産卵を使用。すや亀の「門前みそ」を使った甘口の練り味噌に、山椒の香りを合わせた煮卵 |
| 製造 | 株式会社ちさと東(長野県飯田市の自社工場) |
受託・PB開発が持ち帰れる論点
ここからは食品OEMの窓口編集部の見立てになる。今回のリリースは、地域素材や他社ブランドと組む相談を受ける工場にとって、見積もりと商品企画の棚卸しに使える。
第一に、常温流通の技術を持てるかどうかで提案できる売場が変わる。冷蔵・冷凍の温度帯に縛られない商品は、非冷ケースの棚やECに乗せやすく、他の食品とのクロス販売もしやすい。自社で何日まで常温保存を保証できるかは、そのまま売場提案の幅になる。
第二に、地域の老舗素材を自社の看板商品に掛け合わせる共創は、原料の話題性を借りて棚での差別化を作れる。PB開発でも、地元素材を持つ相手と組む座組みは検討に値する。ただし相手ブランドの名称やロゴを使う以上、権利関係と表示の扱いを先に握っておく必要がある。
第三に、今回のコラボは展示会での顔なじみが起点になっている。受託・共創の間口を広げたい工場にとって、展示会での接点づくりは後から効いてくる。
まとめ
ちさと東の「山椒みそ味」は、常温で180日もつ煮卵の技術と、老舗味噌との共創を掛け合わせた一本だ。御開帳を控えた信州という土地の文脈を、素材のコラボで全国の棚に翻訳している。同じように地域素材や他社ブランドと組む相談を受ける工場が次にやることは、自社が常温流通で何日もたせられるかと、素材ホルダーと組むときの権利・費用の線引きを、見積もりの前に一枚にまとめておくことだ。
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