2025年の菓子市場、小売金額4兆円超で過去最高——価格改定と食事代替ニーズが市場を押し上げた

この記事の要約
全日本菓子協会が2026年4月1日発表した2025年の国内菓子市場は、小売金額4兆996億円(前年比5.7%増)で過去最高を更新しました。生産数量は微減でしたが価格改定が金額成長の主因で、グミ・チョコ・ビスケット・スナック・米菓全カテゴリーが過去最高を記録。菓子OEM受託では高付加価値商品開発の需要増加が見込まれます。

全日本菓子協会は2026年4月1日、「令和7年 菓子生産数量・生産金額及び小売金額(推定)」を発表した。2025年の国内菓子市場は、小売金額が4兆996億円(前年比5.7%増)、生産金額が2兆9,403億円(前年比5.4%増)と、ともに過去最高を更新した。一方で生産数量は196万8,100トンと前年比0.8%の微減にとどまり、金額成長の主因が価格改定にあることが浮き彫りになった。

目次

市場データ:4兆円超えの背景

小売金額4兆996億円という数字は、日本の食品産業全体の中でも際立った規模感を持つ。飴菓子(グミ・キャンディー)、チョコレート、ビスケット、米菓、スナック、その他菓子(豆菓子・玩具菓子)の各カテゴリーが軒並み過去最高を記録し、油菓子は小売金額のみ過去最高となった。

注目すべきは数量と金額の乖離だ。数量が0.8%減にもかかわらず、生産金額は5.4%増という逆張りの構造が成立している。これはメーカー側の価格改定——原材料費・エネルギーコスト上昇への対応——が消費者にしっかりと転嫁されたことを意味する。日本の食品業界全体では値上げへの消費者抵抗が根強いとされてきたが、菓子カテゴリーにおいては購買継続率が高く、値上げ後も需要が底堅く推移したことが確認される。

なぜ物価高でも菓子市場は好調なのか

1. 単価の相対的な安さが「ご褒美消費」を守る

食料品全体の物価上昇が続く中、菓子の1個当たり単価は他の食品カテゴリーと比べて依然として低い水準にある。外食費や惣菜・調理食品が値上がりする環境下において、「手頃な価格でちょっとした満足感を得られる菓子」という位置づけが消費行動を下支えした。食品新聞の報道でも、菓子の単価の安さが消費を支える構造的な要因として指摘されている。

グミ市場はその典型だ。100〜200円台の商品が中心でありながら、素材・食感・機能の多様化によって単価を徐々に引き上げることに成功している。消費者は「値上がりした」と感じる前に、新製品として受け入れているケースが多い。グミOEMメーカー一覧を見ると、こうした高付加価値グミの受託製造に対応したメーカーが増えていることがわかる。

2. 「食事代替ニーズ」の拡大

働き方の多様化、在宅勤務の定着、時短志向の高まりを背景に、菓子を軽食・間食として位置づける「食事代替ニーズ」が伸長している。プロテインバー、食物繊維配合クラッカー、機能性グミ、栄養強化チョコレートなど、「菓子でありながら食事の一部として機能する」製品が急増した。このカテゴリーは単価が高く、リピート購入率も高い。スナック菓子の過去最高更新も、こうした「食べごたえ系」スナックの台頭が一因と見られる。

3. チョコレート・ビスケットのプレミアム化

チョコレートとビスケットはともに過去最高の生産金額を記録した。これらのカテゴリーに共通するのは「プレミアム化」の進行だ。カカオ産地や製法をストーリーとして訴求するBean-to-Bar系商品、バターや国産小麦を前面に出すクラフト系ビスケットなどが好調を牽引した。ネスレが今年4月に発売予定のカカオフリーチョコ(ChoViva素材使用)のような新素材対応製品も、プレミアム化のうねりの中で注目を集めている。

ビスケット市場では、輸送・保管に強い点が評価され、防災備蓄需要との親和性も高まっている。クラッカー・ビスキュイ系の多用途化が市場拡大に貢献しているとみられる。

4. 米菓・豆菓子の再評価

米菓とその他菓子(豆菓子含む)が過去最高を記録したことは、国産素材・和の嗜好品への回帰というトレンドを反映している。訪日外国人需要に加え、国内消費者の「国産・地産」志向が追い風になった。インバウンド消費回復と連動して、土産物チャネルでの米菓・豆菓子の販売が好調を維持していることも一因だ。

OEMビジネスへの示唆:4兆円市場で何が起きているか

「価格改定対応型OEM」への需要が高まる

生産金額が数量を大きく上回って伸びているということは、OEM受託の文脈では「高単価・高付加価値な商品開発依頼」が増えることを意味する。品質の高さやブランドストーリーを武器に価格改定を正当化したいブランドオーナーが、OEMメーカーに求めるのは「製造技術」だけではない。素材調達力、パッケージデザインとの連動、機能性訴求の根拠となる配合設計力も問われる。

菓子OEMに取り組む事業者は、食品OEMの費用構造を正しく把握した上で、付加価値提案を組み込んだ企画書を作成することが競合との差別化に直結する。洋菓子OEMの徹底解説でも触れているように、小ロット対応と品質管理の両立が菓子OEMの鍵だ。

グミ・チョコ・スナックの3カテゴリーはOEM参入の好機

過去最高を記録した複数カテゴリーの中で、OEM依頼の増加が見込まれるのはグミ、チョコレート、スナックの3つだ。

グミは素材・形状・食感の自由度が高く、機能性訴求との組み合わせで高単価化しやすい。チョコレートはBean-to-Barや低糖質・カカオフリーなど差別化軸が多様化しており、特定素材に強いOEMメーカーとのマッチングがカギになる。スナックは食事代替ニーズとの接続で大容量・高タンパク系商品の開発余地が大きい。

価格転嫁に成功した市場だからこそ、素材コストの把握が重要

今回の結果は「価格改定が受け入れられた市場」として菓子業界を際立たせているが、これはメーカーが原価上昇を価格に反映できた結果でもある。OEM発注者の立場では、原材料の価格変動リスクをOEMパートナーとどう分担するかの契約設計が重要性を増している。特にカカオ、小麦、砂糖、食用油といった主要原料の国際市況は依然として不安定であり、半年〜1年スパンの調達計画を持つことが必要だ。

なお、食品2,798品目が4月に値上げしたという報告も出ており、菓子業界の値上げ圧力が継続していることは見逃せない。

まとめ

2025年の菓子市場が過去最高を記録した背景には、単純な需要増加ではなく、「価格改定の定着」「食事代替ニーズの拡大」「プレミアム化」という構造的な変化がある。生産数量がほぼ横ばいのまま金額が大きく伸びたという事実は、これが量的成長ではなく質的・価格的成長であることを示している。

菓子OEMに関わる事業者にとっては、単価引き上げを正当化できる商品設計力と、値上がり局面でも購買を維持できる訴求軸の整理が、2026年以降の競争軸になると見ている。

情報源:全日本菓子協会「令和7年 菓子生産数量・生産金額及び小売金額(推定)」(2026年4月1日発表)/食品新聞 2026年4月3日

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この記事を書いた人

小島怜のアバター 小島怜 株式会社Agriture

株式会社Agriture CEO/食品OEMコンシェルジュ 乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業を手がける株式会社AgritureのCEO。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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