東京電機大学とUMAMI UNITED JAPANが植物性代替卵の機能再現研究を開始、食品OEM業界に代替素材活用の新潮流
2026年4月1日、東京電機大学 理工学部生命科学系の半田明弘教授研究室とUMAMI UNITED JAPAN株式会社(本社:東京都渋谷区、CEO:山﨑寛斗氏)が、植物性原料を用いた卵機能の再現技術に関する共同研究を開始したと発表した。鳥インフルエンザの流行と飼料価格高騰による鶏卵の供給不安が続くなか、製菓・製パン・加工食品に不可欠な卵の機能を植物由来で代替する技術確立を目指す取り組みとして、食品OEM業界からも高い注目が集まっている。
研究の背景:鶏卵の供給不安と食品製造の課題
鶏卵は製菓・製パン・加工食品において、起泡性・ゲル化・乳化という3つの主要機能を担う不可欠な素材だ。マヨネーズやスポンジケーキ、練り製品など、卵なしでは製品化が困難なカテゴリーは多岐にわたる。
しかし近年、鳥インフルエンザの世界的流行により鶏卵の供給が不安定化し、国内外で価格が急騰している。2023〜2024年にかけて米国や日本で深刻な鶏卵不足が発生し、食品メーカーやOEM受託工場はレシピの見直しや代替素材の検討を余儀なくされた。供給リスクの観点から、卵の機能を植物由来で再現する技術への需要は急速に高まっている。
UMAMI UNITED JAPANのCEO山﨑寛斗氏は「卵機能の植物由来での再現は、世界でもまだ十分に実用化されていない技術課題」と指摘し、日本発のフードテクノロジーとして世界に発信することを目指すとしている。
共同研究の内容:2つの主要テーマ
今回の産学連携研究では、以下の2つのテーマを中心に取り組む。
| 研究テーマ | 主な内容 |
|---|---|
| 植物由来の卵代替食品製造プロセス開発 | 植物性原料を使った実用的な卵代替食品の製造プロセスを確立する |
| 植物性タンパク質の機能特性研究 | 植物性タンパク質を基盤とした代替食品素材の起泡性・ゲル化・乳化など機能特性を明らかにする |
半田明弘教授は「鶏卵タンパク質の物性機能制御技術の知見を活かしながら、世界の人々に喜ばれる植物性タンパク質製品開発を進める」とコメント。大学側の食品タンパク質研究の蓄積と、スタートアップの機動力を組み合わせた産学連携の形が注目される。
食品OEM業界への影響:3つの観点で整理する
この研究成果が実用化された場合、食品OEMの受託製造現場に対して以下のような影響が予想される。
1. 鶏卵依存からの脱却によるコスト安定化
鶏卵価格の変動は、卵を多用するスポンジケーキや焼き菓子、マヨネーズ類のOEM受託において、見積もりや採算管理を困難にしてきた。植物性代替卵が実用化されれば、コストをより安定させることが可能になる。特に大量生産を行うOEM工場においては、原材料費の安定は競争力に直結する。
2. ヴィーガン・アレルギー対応製品の受注拡大
卵アレルギーは食物アレルギーの中でも特に件数が多く、乳幼児向け製品や学校給食向け製品において厳格な対応が求められる。また、ヴィーガン・プラントベース市場の拡大に伴い、卵を使わない製品ラインナップへの需要も増している。機能的に卵と同等の植物性素材が確立されれば、OEM受託側にとって新たな製品カテゴリーへの参入機会が生まれる。
3. 食品表示・成分管理への対応コスト
代替素材への切り替えには、原材料表示の変更・アレルギー表示の見直し・栄養成分表示の再計算など、製品表示に関わる対応が必要になる。食品表示改正(2026年施行)の動向とあわせて、早期からの対応準備が求められる。さらに今後の法規制動向として、食料システム法(2026年4月施行)も食品製造全般に影響を与えるため、代替素材の活用と合わせて確認が必要だ。
プラントベース素材トレンドの中での位置づけ
今回の研究は、代替タンパク質・プラントベース食品という大きなトレンドの一部として捉えることができる。ネスレが代替素材「CHOVI-VA」を活用した製品を市場投入するなど、グローバルな食品大手もこの分野への投資を加速している(ネスレの代替素材OEM展開参照)。
一方で国内市場での植物性代替卵はまだ黎明期にある。スーパーや業務用食品の棚に並ぶ製品は限られており、技術的な完成度と価格競争力の両立が課題だ。今回の産学連携は、こうした課題に正面から向き合う研究として意義が大きい。
OEM事業者が今すべき準備
研究段階から実用化まで一定の期間はかかるものの、食品OEM事業者にとって今から準備しておくべき点がある。
- 代替素材情報の収集:国内外の植物性代替卵素材・成分の動向を継続的にウォッチする
- 顧客へのヒアリング:取引先ブランドオーナーのヴィーガン・アレルギー対応ニーズを確認する
- 試作・評価体制の整備:代替素材を受け入れた際の品質評価基準をあらかじめ設計しておく
- 表示対応の確認:原材料変更に伴う食品表示の変更フローを整備する
植物性代替卵の実用化は、食品OEM業界にとってチャンスとリスクの両面を持つ変化だ。研究の進捗とともに、早い段階から対応の準備を進めることが、今後の競争優位につながるだろう。


