クラフトビールOEM完全ガイド|醸造科学・酒税法・ビアスタイル設計と対応ブルワリー
全国のクラフトビール醸造所は800カ所を超え、10年前の約3倍に増加しました。2026年10月にはビール類の酒税率が一本化される予定で、クラフトビールの価格競争力がさらに高まる見通しです。しかしビールの製造には酒類製造免許が必要で、免許の取得要件(年間60kL以上の製造見込み)が参入障壁になっています。OEM(委託醸造)は、この免許のハードルを越えずに自社ブランドのクラフトビールを持てる現実的な手段です。本記事では、ビールの醸造科学からスタイル別の設計、酒税法の基礎知識、対応メーカーまで解説します。
クラフトビールの醸造科学
ビール醸造の4工程
- 仕込み(マッシング+ボイリング):粉砕した麦芽を温水に浸して糖化(マッシング)し、麦汁を煮沸してホップを加える(ボイリング)。ホップの品種と投入タイミングで苦味・香りのバランスが決まる
- 発酵:冷却した麦汁に酵母を投入。酵母が糖をアルコールと炭酸ガスに変換する。エール酵母(上面発酵・15〜25℃)とラガー酵母(下面発酵・4〜12℃)の2系統で味が根本的に異なる
- 熟成(コンディショニング):発酵後に低温で数日〜数週間貯蔵し、オフフレーバー(ダイアセチル等の不快な風味)を除去して味を安定させる
- 充填:缶・瓶・樽に充填。缶は光と酸素を完全に遮断するため鮮度保持に優れ、近年のクラフトビールでは缶が主流に
エールとラガーの科学
| 項目 | エール(上面発酵) | ラガー(下面発酵) |
|---|---|---|
| 酵母の働き方 | 発酵液の上部に浮上して活動 | 発酵液の底に沈降して活動 |
| 発酵温度 | 15〜25℃(高め) | 4〜12℃(低め) |
| 発酵期間 | 3〜7日(短め) | 1〜3週間(長め) |
| 味の特徴 | フルーティーで複雑な香り。エステル(果実香)が豊富 | すっきり爽快。雑味が少なくクリーン |
| 設備要件 | 常温に近い温度帯で管理可能 | グリコールチラー等の低温制御設備が必要 |
エール酵母は発酵中にエステル(果実のような香り成分)やフェノール(スパイシーな香り)を多く生成するため、味のバリエーションが豊かです。ラガー酵母は低温でゆっくり発酵するためこれらの副産物が少なく、麦芽とホップ本来の味がストレートに出ます。OEMでは、ターゲットとするスタイルに応じて酵母と発酵条件を選択します。
ビアスタイルとOEM設計
| スタイル | 発酵 | 味の特徴 | OEMでの差別化ポイント |
|---|---|---|---|
| IPA | エール | ホップの強い苦味と柑橘系アロマ | ホップの品種選定でシトラス・トロピカル・松脂系など風味を設計 |
| ペールエール | エール | ホップと麦芽のバランスが良い。入門向き | 地元産フルーツや副原料の追加で地域色を出す |
| スタウト | エール | ロースト麦芽のコーヒー・チョコレート風味 | コーヒー豆やカカオニブの追加で風味の深みを設計 |
| ヴァイツェン | エール | 小麦麦芽50%以上。バナナ・クローブの香り | フルーティーで女性にも人気。フルーツとの組み合わせも |
| ピルスナー | ラガー | 淡色で爽快。日本の大手ビールに近い | 「いつものビール」との差別化が課題。水の硬度で味を調整 |
| サワーエール | エール | 乳酸菌等による酸味。フルーツとの相性◎ | 地元産フルーツのサワーエールはご当地商品として訴求力大 |
2018年の酒税法改正でビールの定義が拡大され、果実・香辛料・野菜などの副原料を使用してもビールと認められるようになりました。この法改正はクラフトビールOEMの自由度を大幅に広げ、地元産の柚子、山椒、茶葉、はちみつなどを副原料にした「ご当地クラフトビール」の開発が容易になっています。
酒税法と免許の基礎知識
酒類製造免許の要件
アルコール1%以上の飲料を製造するには、品目別・製造場ごとに所轄税務署長から酒類製造免許を取得する必要があります。ビール製造免許の最低製造数量は年間60kL以上の製造見込みです。無免許でアルコール飲料を製造した場合は、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます。
OEM(委託醸造)を利用すれば、自社で製造免許を持たなくても自社ブランドのビールを持つことができます。醸造所が免許を保有し、委託者のレシピに基づいて製造・充填を行うモデルです。
2026年10月の酒税一本化
2026年10月にビール・発泡酒・新ジャンルの酒税率が一本化される予定です。これまでビールの税率が最も高かったため、クラフトビールは価格面で不利でしたが、一本化後は税率の差がなくなり、価格競争力が高まります。OEMでクラフトビールブランドを立ち上げるなら、この税制改正のタイミングは追い風です。
クラフトビールOEM依頼のポイント
- ビアスタイルの明確化:IPA、ペールエール、スタウトなど、どのスタイルを作るか。ターゲット層の嗜好に合わせる
- 副原料の使用可否:フルーツ、スパイス、コーヒー豆などの副原料対応。2018年法改正で自由度が拡大
- 容器の選択:缶(鮮度保持◎・軽量・デザイン自由度高い)、瓶(伝統的・高級感)、樽(飲食店向け)
- 最小ロット:小規模ブルワリーで200缶〜タンク1本分(約800本)程度から対応可能なケースもある
- ラベル・缶デザイン:クラフトビールは「パッケージ買い」の比率が高い。デザイン対応の有無を確認
- 品質管理:ビールは生きた食品。酵母管理、充填時の酸素混入防止、温度管理が品質を左右する
クラフトビールOEM対応メーカー一覧
クラフトビールのOEM醸造に対応できるブルワリーを紹介します。
| 会社名 | 所在地 | 対応製品 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ことことビール株式会社 | 京都府 | クラフトビール、OEM醸造 | 2022年設立の新興ブルワリー。小ロット〜タンク1本(約800本)から対応。地元素材を活かしたオリジナルビール開発に柔軟に対応 |
| ながら木こりんブルワリー | 岐阜県 | クラフトビール | 岐阜県長良川流域の水を活かした醸造。地域連携のOEM醸造に対応 |
| 道明寺麦酒株式会社 | 大阪府 | クラフトビール | OEM醸造対応の大阪のブルワリー |
※掲載情報は2026年4月時点の内容です。最新の対応状況や詳細は各社にお問い合わせください。
よくある質問
自社で醸造免許を持たなくてもオリジナルビールは作れますか?
OEM(委託醸造)を利用すれば可能です。醸造所が製造免許を保有し、あなたのレシピや商品コンセプトに基づいてビールを醸造・充填します。缶やラベルのデザインも自社オリジナルにできるため、外から見れば自社ブランドのクラフトビールとして販売できます。
クラフトビールOEMの最小ロットは?
醸造タンクのサイズによりますが、小規模ブルワリーで200缶程度〜タンク1本分(約800本)から対応可能なケースがあります。大規模ブルワリーでは数千本〜が最小ロットになることが一般的です。
地元の果物を使ったフルーツビールは作れますか?
2018年の酒税法改正で、果実・香辛料・野菜などの副原料を使用してもビールと認められるようになりました。地元産の柚子、みかん、ぶどう、いちごなどを副原料にしたご当地クラフトビールのOEM開発が可能です。副原料の使用量には規定があるため、醸造所との事前確認が必要です。
ビールの賞味期限はどのくらいですか?
クラフトビールの賞味期限は、非加熱(生ビール)で冷蔵90〜180日、加熱殺菌済みで常温6〜12ヶ月が一般的です。缶は光と酸素を完全に遮断するため、瓶より鮮度保持に優れます。充填時の溶存酸素量の管理が賞味期限に直接影響します。
OEM依頼から納品までの期間は?
レシピの設計・試醸に1〜2ヶ月、本醸造に2〜4週間、充填・ラベル貼り・出荷に1〜2週間で、合計2〜3ヶ月が目安です。季節限定ビールの場合は販売時期の3〜4ヶ月前に依頼するのが理想です。

本資料では初心者の方でも迷わず進められるように、OEMの進め方やメーカー選びのポイントを分かりやすく整理しています。
食品OEMの窓口 ― カテゴリ一覧
食品OEMの窓口では、クラフトビール以外にも幅広いカテゴリの製造委託に対応しています。
| カテゴリ | 概要 |
|---|---|
| 健康食品OEM | 機能性表示食品やスーパーフードなどの健康食品を自社ブランドで展開 |
| サプリメントOEM | 錠剤・カプセル・粉末など多様な形態のサプリメントを小ロットから製造 |
| プロテインOEM | ホエイ・ソイ・ピープロテインなど、ブランド展開に最適な製造委託 |
| 冷凍食品OEM | 急速凍結技術を活用した冷凍食品の企画・製造・販売 |
| 洋菓子OEM | 焼菓子・チョコレート・ケーキなどスイーツブランドの立ち上げ |
| 離乳食OEM | 安全基準を満たしたベビーフードの開発・製造 |
| アレルギー対応OEM | 特定原材料不使用の安心・安全な商品開発 |
| コーヒーOEM | オリジナルブレンドコーヒーのブランド開発 |
| 飲料OEM | ジュース・お茶・エナジードリンクなどの自社ブランド飲料 |
| スナック菓子OEM | ポテトチップス・せんべいなどのオリジナルスナック製造 |
| グミOEM | 機能性グミ・フルーツグミなどの企画・製造 |
まとめ
クラフトビールOEMは、醸造免許のハードルを越えずに自社ブランドビールを持てる現実的な手段です。エールとラガーの発酵科学を理解したうえで、ビアスタイルの選定、副原料による地域性の訴求、缶デザインによるブランディングを組み合わせることで、差別化された商品を開発できます。2026年10月の酒税一本化はクラフトビールの価格競争力を高める追い風であり、OEMでのブランド立ち上げには絶好のタイミングです。
食品OEMの窓口では、クラフトビールのOEM醸造に対応できるブルワリーを掲載しています。商品企画の段階からお気軽にご相談ください。


