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名店の高火力が生む香ばしさを冷凍で——三ツ星ファーム×矢場味仙が明かす、香り移りを防ぐ夜間限定製造と30回超の試作

株式会社イングリウッド(東京都渋谷区)は2026年9月8日、冷凍宅配食ブランド「三ツ星ファーム」で、名古屋の台湾料理店「矢場味仙」との初コラボ商品「矢場味仙 汁なし台湾ラーメン」「矢場味仙 ニンニクチャーハン」の販売を始めたと発表した。いずれも電子レンジで仕上げる冷凍食品で、定期プランの選択メニューとして提供する。

外食コラボの新商品だが、受託・冷凍食品の視点で読むと持ち帰れる要素が多い。名店の高火力調理を冷凍で再現するための試作の重ね方から、香りの強い商品を量産するときの製造ライン管理まで、リリースは製造の内側にかなり踏み込んで書いている。

目次

名店の台湾料理を冷凍宅配食で再現

三ツ星ファームは「毎日のごはんに感動を。」を掲げる冷凍宅配食ブランドで、管理栄養士が監修した独自の「三ツ星基準」(原則としてカロリー350kcal以下、糖質25g以下、タンパク質15g以上)の冷凍弁当を中心に、和・洋・中・エスニックなど125種類以上を展開する。累計販売食数は4,500万食を突破したという。ボリューム重視のメガ盛りシリーズやミールキット、ホットスナックなど、弁当の枠を超えた商品も広げている。

一方の矢場味仙は名古屋の台湾料理店。1981年に下坪店として開業し、1999年に矢場味仙を開いた。高火力で仕上げる香ばしさと、辛さの中にコクのある味わいが看板だ。今回はこの2品——汁なし台湾ラーメンとニンニクチャーハン——を家庭の電子レンジで再現する形に仕立てた。

肉味噌は何パターンも試作——汁なし台湾ラーメン

汁なし台湾ラーメンは、店で食べたときの濃厚な旨辛さを冷凍で再現した一品だ。リリースによれば、味の肝である肉味噌は、唐辛子の辛さの中に旨みを引き出すために何パターンもの試作品を作り、改良を重ねたという。内容量は1注文あたり2食分で、袋に切り込みを入れ、袋のまま電子レンジで加熱して食べる。

外食の味を冷凍に落とすとき、調味の要になる部材(この場合は肉味噌)をどこまで作り込むかが仕上がりを左右する。試作を重ねるほど手間はかかるが、そこが商品の差になる。

通常の10倍の火力を冷凍で——ニンニクチャーハン

ニンニクチャーハンは、矢場味仙が通常の10倍の火力を扱う特注のガスコンロでスピーディに仕上げる香ばしさが持ち味だ。ゴロッとしたニンニク感を忠実に再現するため、工場の歴史の中でも扱ったことのないほどの量の刻みニンニクを使い、試作は30回以上に及んだとリリースは説明する。電子レンジ調理は1袋220gで500W約4分、600W約3分30秒。フライパン調理にも対応する。

店の強い火力は、量産設備でそのまま再現しにくい代表例だ。属人的な調理をどう標準化するかという論点は、シェフの火力や水分蒸発量まで記録する「録食」のような取り組みにも通じる。冷凍で香ばしさを出すには、製造時の加熱と家庭でのレンジ再加熱の条件を、あわせて考えることになる。

香り移りを防ぐ「夜間限定製造」

このリリースで受託目線から最も目を引くのが、製造ラインの管理だ。ニンニクチャーハンは香りが強いため、製造ラインへの香り移りを防ぐ異例の措置として、その日の製造ラインの最終段階にあたる夜間のみに製造時間を限定したとされる。

多品種を同じラインで作る受託工場にとって、においの強い品目の香り移りは避けて通れない課題だ。製造の順番を組み替える、一日の最後にまとめる、専用ラインを立てるなどの選択肢があり、どれを採るかで段取り替えの手間が変わる。夜間の最終ロットに寄せる判断は、製造の時間帯をずらして香り移りを抑える現実的な打ち手だ。

商品の概要

項目 内容
商品名 矢場味仙 汁なし台湾ラーメン/矢場味仙 ニンニクチャーハン
展開ブランド 三ツ星ファーム(冷凍宅配食)
コラボ先 台湾料理 矢場味仙(名古屋市中区)
内容量 各1注文あたり2食分
調理方法 電子レンジ加熱(チャーハンはフライパン調理も可)
レンジ加熱の目安 ニンニクチャーハン 1袋220g=500W約4分/600W約3分30秒
販売方法 三ツ星ファームの定期プラン加入者向け(単品販売なし)
発表日 2026年9月8日

受託・冷凍食品開発が持ち帰れる論点

ここからは食品OEMの窓口編集部の見立てになる。外食ブランドの味を冷凍食品に落とすコラボで、このリリースは開発の現場で何が起きるかを具体的に見せている。

第一に、外食の味の再現は「どの部材を作り込むか」で決まる。肉味噌のような調味の核を何パターンも試すか、火入れの香ばしさをどう出すかが仕上がりを分ける。試作回数は費用に跳ね返るため、見積もりの段階で再現目標のすり合わせが要る。

第二に、香りの強い品目は製造ラインの段取りまで含めて設計する必要がある。夜間限定製造のように、香り移りを抑える運用は製造の段取りだけでも組めるが、そのぶん製造計画や人員配置に制約が出やすい。受託の見積もりでは、この段取りコストを最初から織り込んでおきたい。

第三に、供給の出口がサブスク(定期プラン)である点だ。単品販売をせず定期便に寄せる設計は、需要が読みやすく生産計画を立てやすい一方、欠品が解約に直結しやすい。受託側は安定供給の体制を約束できるかが問われる。

まとめ

三ツ星ファームと矢場味仙のコラボは、名店の高火力と強い香りを冷凍でどこまで再現するかに挑んだ商品だ。肉味噌の作り込みと夜間限定製造という二つの工夫は、外食コラボ冷凍食品を受ける工場がそのまま参考にできる。同じような相談を受けたとき次にやることは、再現の目標水準と試作回数、そして香りの強い品目の製造段取りを、見積もりの前に一枚に落としておくことだ。

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出典

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この記事を書いた人

小島怜のアバター 小島怜 株式会社Agriture

株式会社Agriture CEO/食品OEMコンシェルジュ 乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業を手がける株式会社AgritureのCEO。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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