だしOEM製造ガイド|天然出汁の作り方

この記事の要約
だしOEM製造ガイドとして、枕崎・焼津産の鰹節(荒節・本枯節)、北海道利尻・羅臼の昆布、瀬戸内海煮干し、大分椎茸、九州あごの主要原料と代表産地、イノシン酸・グルタミン酸・グアニル酸の三大旨味成分相乗効果を解説しています。だしパック・粉末・液体濃縮・顆粒の製品タイプ別特徴と4フェーズの製造フロー、粉砕ブレンド技術等の工場設備の確認ポイント、乾燥野菜との組み合わせまで整理しています。
目次

だしOEM製造の市場と可能性

「だし」は日本料理の根幹を支える調味料です。化学調味料を避けて天然素材の出汁を求めるお客様が増えており、だしパックやだし調味料の市場が大きく拡大しています。特に子育て世代の「子どもに安心なものを食べさせたい」というニーズや、料理好きの「本格的な味を手軽に再現したい」というニーズが、天然だし製品の成長を力強く支えています。

テレビや雑誌で取り上げられる機会も増え、だしへの注目度はかつてないほど高まっています。この市場の追い風を受けて、地域の水産加工会社、食品メーカー、飲食店を運営する店など、さまざまな事業者が自社ブランドのだし商品を開発するケースが増加しています。だし素材の目利きや配合ノウハウを持ちながら、製造設備を持たない事業者にとって、OEM製造は最適な商品化手段です。弊社にもだしOEMに関する相談が年々増えており、市場の拡大を実感しています。

天然だし市場が伸びている背景

健康志向の高まりと「食の安全」への意識が全国的に広がったことが最大の要因です。無添加・化学調味料不使用を訴求しただし製品は、スーパーや百貨店の棚でも確実に存在感を増しています。さらに、EC販売やD2Cモデルの普及により、小規模な生産者でも自社ブランドのだし商品を全国に届けられるようになりました。地方の特産素材を活かしたご当地だしの開発も盛んで、各種メディアで特集されるなど注目度が上がっています。

だしの主要素材と特徴

だしOEM製造を始めるにあたり、主要なだし原料の特徴を理解しておくことが大切です。使用する素材の選定は、最終的な製品の風味と品質を大きく左右します。

鰹節・昆布・煮干し・椎茸の特徴

だしの味わいは素材ごとに大きく異なります。主要原料の特徴を整理します。

素材 旨味成分 特徴 代表産地
鰹節(荒節) イノシン酸 コクと力強い風味。コストパフォーマンスが高い 枕崎産・焼津産
鰹節(本枯節) イノシン酸 カビ付けで雑味が抜け、繊細で上品な香り 枕崎産・焼津産
昆布(利尻) グルタミン酸 澄んだ上品なだし。日本料理全般に合う 北海道利尻
昆布(羅臼) グルタミン酸 濃厚で香りが強い。鍋物・煮物向き 北海道羅臼
煮干し(いりこ) イノシン酸 力強い風味。味噌汁との相性が抜群 瀨戸内海産
干し椎茸 グアニル酸 三大旨味成分が揃う。ヴィーガン対応可 大分県産
あご(飛び魚) イノシン酸 あっさりした上品な風味。九州で人気 九州産

鰹節のイノシン酸と昆布のグルタミン酸を合わせると、旨味の相乗効果で味わいが何倍にも増幅されます。さらに干し椎茸のグアニル酸を加えれば三大旨味成分が揃い、奥行きのあるだしに仕上がります。

椎茸やその他の乾燥素材を活用するなら、乾燥野菜OEM完全ガイドも参考になります。乾燥野菜をだし素材と組み合わせることで、栄養価と風味の両方を強化できます。Agriture株式会社のように乾燥野菜とだしの両方を扱うメーカーに相談すると、素材の組み合わせの提案を受けられます。

配合設計と製品タイプ

だし製品にはいくつかの形態があり、ターゲットとなるお客様や使用シーンに合わせて選択します。配合設計では素材の比率を少し変えるだけで味のバランスが大きく変わるため、複数パターンの試作を行い、味噌汁・煮物・うどんつゆなど想定される用途で味を確認することが欠かせません。

製品タイプ別の特徴と選び方

だしパックはティーバッグ状のパックに削り節や昆布の粉末を詰めた商品です。水から煮出すだけで本格的なだしが取れるため、家庭用として最も人気があります。使い勝手の良さと天然素材感を両立できる形態で、お客様にとって安心して使える製品です。

粉末だしは素材を細かく粉砕した粉末タイプです。お湯に溶くだけで使えるほか、料理に直接ふりかけて使うこともでき、溶けやすさや粒度の均一性が品質のポイントになります。飲食店向けの業務用製品としても需要が高く、各種料理に幅広く対応できます。

液体だし(濃縮タイプ)はだしを煮出して濃縮した液体タイプです。希釈して使用するため味の安定性が高く、飲食店の業務用としても需要があります。ペットボトルや紙パックでの販売が一般的で、店舗への納品にも適した形態です。

顆粒だしは粉末を顆粒状に加工したタイプで、溶けやすく計量しやすいのが特徴です。業務用と家庭用の両方に対応でき、生産効率も良好です。

製造の流れと配合のポイント

だしOEM製造は大きく4つのフェーズで進みます。まずコンセプト設計と素材選定(2〜4週間)で、どんなだし商品を作りたいのか、使用する素材、商品形態、ターゲットのお客様を決めます。鰹と昆布の合わせだしにするのか、あごだしや野菜だしにするのか、素材の産地指定がある場合は調達可能性もこの段階で確認します。

次に配合設計と試作(3〜6週間)で各素材の配合比率を決めて試作を行います。続いてパッケージ・表示作成(3〜5週間)でデザインと食品表示を進め、だし商品は使い方の説明をパッケージに記載することが多いため、デザインスペースの配分を考慮して設計します。最後に量産・出荷(2〜4週間)で量産体制に入り、品質検査(風味検査、異物混入検査、水分活性測定など)を経て出荷となります。

OEMメーカーの選び方

だしOEMを成功させるには、信頼できるメーカー選びが不可欠です。以下のポイントを確認して、安心して任せられるパートナーを見つけましょう。

技術力・設備・認証の確認ポイント

素材の粉砕・ブレンド技術はだしパックや粉末だしの品質を左右する最も重要な技術です。粉砕が粗すぎるとだしの出が悪く、細かすぎると粉っぽくなります。用途に合わせた最適な粒度に仕上げる技術と、均一にブレンドする技術を持った工場を選びましょう。

充填・包装設備も確認が必要です。だしパックの場合はティーバッグ状への充填設備が必要で、不織布やナイロンメッシュなどの素材を選べるか、三角パックや四角パックなど形状の選択肢があるかもチェックしてください。

鮮度管理・酸化防止への対応力も大切です。だし素材は空気に触れると酸化が進み風味が落ちます。窒素ガス充填や脱酸素剤の封入に対応している工場であれば、保存料不使用でも賞味期限を長く設定でき、お客様に安心してお届けできる製品になります。

食品安全認証としてHACCPやISO22000、FSSC22000などを取得している工場を選ぶことを推奨します。だし素材は水産物や乾物を扱うため、衛生管理が特に重要です。認証を持つ工場であれば、生産体制の信頼性が高く、取引先への案内もスムーズに行えます。

費用相場とロットの目安

だしOEMの費用は商品形態と使用する原料によって大きく変わります。だしパック(8g×10袋入り)は1セットあたり200円〜500円程度で、本枯節や利尻昆布などの高級素材を使うと上限側に寄ります。粉末だし(100g入り)は1袋あたり150円〜400円程度、液体だし(500ml)は1本あたり200円〜600円程度が相場です。

最小ロットはだしパックで500〜1,000セット、粉末だしで300〜500袋程度から対応可能な工場があります。まずは希望するロット数と予算を整理したうえで、複数のメーカーに相談することをおすすめします。

だしOEMの掲載企業

だしOEM製造に対応可能なメーカーをご案内します。各社の得意分野や対応範囲を比較して、自社に合ったパートナーを見つけてください。

企業名 対応分野 特徴
株式会社遠藤商会 だし・調味料・乾物 各種だし素材の調達から充填まで一貫対応。小ロット相談可
株式会社和味大輔 だし・和風調味料 和食素材に特化。だしの配合設計に実績あり
株式会社原田食品 だし・調味料・スープ 粉末・液体の両タイプに対応。店舗向け業務用だしも製造
AL-FOODS株式会社 だし・食品全般 多品種小ロット対応。充填・個包装まで一括製造

掲載をご希望の企業様はこちらからお問い合わせください。

だしOEMで成功するために

だしOEMで自社ブランドを成功させるためには、商品の差別化戦略と法規制への対応が欠かせません。ここでは天然だし製品で他社と差をつけるポイントと、知っておくべきルールを整理します。

差別化と法規制のポイント

素材の産地と生産者を見せることは強力な差別化要素です。「枕崎産本枯節」「利尻昆布」「長崎県産あご」など、原料の産地を明示することでお客様に品質へのこだわりを伝えられます。さらに生産者の顔や想いをパッケージやWebサイトで紹介すれば、商品への信頼感と愛着が生まれます。

「味噌汁専用だし」「鍋つゆ用だし」「離乳食だし」など、用途を特化させた商品設計も有効です。汎用的なだしよりも特定のシーンにフォーカスした製品の方が、店の棚で目立ち、お客様にとっても選びやすく使いやすい商品になります。また、無添加・化学調味料不使用の訴求は健康志向の消費者に支持されますが、「無添加」の表記は景品表示法の観点から正確さが求められるため、表示内容は専門家に確認してもらいましょう。

法規制の面では、だし商品の食品表示において使用するすべての原材料を正確に記載する必要があります。特に食塩やアミノ酸調味料を配合する場合は「調味料(アミノ酸等)」などの表示が必要です。アレルギー表示についても、えび・かになどの甲殻類を使用する場合や、小麦を含む醤油で味付けする場合は明確な表示が義務付けられています。だし原料は多品目を使うことが多いため、アレルゲンの確認は特に入念に行ってください。

Q. だしパックOEMの最小ロットはどのくらいですか?
500〜1,000セット程度から対応可能な工場が多いです。素材の粉砕・ブレンドからパック充填までを一貫して行える工場であれば、比較的小ロットから始められます。

Q. 自社で仕入れた鰹節を持ち込んで使えますか?
持ち込み素材に対応している工場であれば可能です。ただし品質基準や衛生検査の条件がある場合がありますので、事前に工場と条件を確認してください。

Q. 化学調味料不使用のだしパックは作れますか?
はい、天然素材のみで作るだしパックの生産実績を持つ工場は多くあります。食塩や砂糖も不使用にしたい場合は、素材の配合で十分な旨味が出るようにレシピを工夫する必要があります。

Q. だし商品の賞味期限はどのくらいですか?
だしパックの場合、窒素ガス充填や脱酸素剤の使用で常温保存で6ヶ月〜1年程度の設定が一般的です。液体だしの場合は殺菌条件によりますが、常温で6ヶ月〜1年程度が目安です。

Q. だしOEMの相談は無料ですか?
多くのメーカーでは初回の相談や見積もりは無料で対応しています。まずは希望する商品の概要をまとめたうえで、気になるメーカーに問い合わせてみてください。弊社でもだしOEMに関する案内を行っておりますので、お気軽にご相談ください。

だしOEM製造は、天然素材への注目が高まる今だからこそ大きな可能性を持つ分野です。素材選び、配合設計、メーカー選定を丁寧に進めることで、お客様に愛される安心品質のだし製品を生み出すことができます。関連する記事もあわせてご覧ください。

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この記事を書いた人

小島怜のアバター 小島怜 株式会社Agriture

株式会社Agriture CEO/食品OEMコンシェルジュ 乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業を手がける株式会社AgritureのCEO。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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