25歳職人が日本のローカル素材で頂点に——ジェラートワールドツアー2026決勝を、地場素材アイスのPB・OEM開発から読む
ジェラートやアイスクリームの製造機械メーカー「カルピジャーニ」の日本法人カルピジャーニ・ジャパン株式会社(本社:東京都世田谷区、代表取締役:スクリミッツィ・ロレンツォ)が、2026年10月8日に「ジェラートワールドツアー2026 日本大会」の決勝を、LUMINE 0(ルミネゼロ)東京・新宿で開いた。テーマは「日本のローカル素材」。12名のファイナリストが各地の特産品や地場食材を使ったジェラートフレーバーを披露し、石川県のマルガージェラートの竹野智大(たけの ちひろ)さん(25)が、「ココナッツパインとシークワーサー」で優勝した。
コンテストの結果そのものは職人の話題だが、受託やPB開発の現場が読むべきは、地場素材をジェラートに落とし込む技術の中身だ。審査は「味覚評価」と「ビジュアル評価」の2軸で、素材の引き出し方やなめらかさ、配合や融点の作り込みが問われた。ご当地素材を使ったアイスやジェラートのPB開発を相談される側の目線で、公開された入賞作と評価軸を追う。
7年ぶりの日本大会、テーマは「日本のローカル素材」
リリースによれば、ジェラートワールドツアーの日本大会は2019年以来7年ぶりの開催となった。主催はカルピジャーニ・ジャパンで、2026年が日本とイタリアの国交樹立160周年にあたることから、記念イベントとして正式に承認を受けている。特別協賛はイタリア・リミニで毎年開かれる国際展示会SIGEP、協賛に森永乳業、日仏貿易、日仏商事が名を連ね、企画運営を株式会社おいしいJAPANが担った。後援にはイタリア大使館や日本ジェラート協会などが入っている。
70分でジェラートからパフェまで、味覚とビジュアルの2軸審査
競技は4名ずつ3つのグループに分かれ、持ち時間70分でジェラートの製造からパフェの盛り付けまでを完成させる。その後、ステージで1人10分間のプレゼンテーションを行う。審査は、ラ・ベルデュール オーナーシェフの服部明さんを審査委員長とする9名が担当した。味覚評価では、素材の引き出し方やなめらかさといったジェラート自体の技術と風味に加え、ローカル素材の魅力がどう表現されているかを見る。ビジュアル評価では、美しさ、独創性、盛り付けの精密さなど、パフェとしての造形美や構成力を評価する。審査員には食マネジメント学部の研究者や食品業界紙の役員も加わった。
優勝は25歳・竹野智大「ココナッツパインとシークワーサー」
優勝した竹野さんの「ココナッツパインとシークワーサー」は、カクテルのピニャコラーダを日本の素材とともにパフェに落とし込んだ構成だ。ジェラートの味を主役に置き、全体のバランスと味の変化、余韻の長さをコントロールしたという。準優勝は、ホテルグランヴィア大阪(大阪府)の市原健太郎さんの「浅煎り深煎り2種のほうじ茶ジェラート」。第3位は、Patisserie Ludique(新潟県)の吉澤未来さんが、小千谷産有機蕎麦を主役にした「越後おぢや有機蕎麦」で入った。いずれも地域の素材を軸に据えた作品が上位を占めた。
入賞作に共通する、地場素材と配合・融点の作り込み
上位作に共通するのは、地場素材の香りや食感を、配合と温度帯の設計で引き出している点だ。準優勝の市原さんは、食感や融点の異なるパーツを緻密に配合し、深煎りほうじ茶の香ばしさから浅煎り、スパイス、チョコバナナへと時間差で広がる口どけをつくったと説明している。審査員特別賞の作品にも、信州りんごと国産無農薬バラ、山椒と抹茶の甘酒、蜜とコーヒーとゆず吉など、和素材や地域素材を複数の層に組み立てた構成が並ぶ。素材をそのまま使うのではなく、焙煎やコンポート、ジュレ、グラニータといった加工に落として層をつくる手数が、評価の分かれ目になっていた。
入賞作一覧
| 順位 | 作品名 | 職人・所在 | 店舗 |
|---|---|---|---|
| 優勝 | ココナッツパインとシークワーサー | 竹野智大(石川県) | マルガージェラート |
| 準優勝 | 浅煎り深煎り2種のほうじ茶ジェラート | 市原健太郎(大阪府) | ホテルグランヴィア大阪 |
| 第3位 | 越後おぢや有機蕎麦 | 吉澤未来(新潟県) | Patisserie Ludique |
| 審査員特別賞 | Mela e Rosa(りんごとバラのジェラート) | 肥田野雄紀(神奈川県) | ARIETTA DEL GELATO |
| 審査員特別賞 | La mia cara citta(山椒と抹茶の甘酒フォルマッジョ) | 益村千代(鳥取県) | ジェラテリアpacherryb. |
| 審査員特別賞 | 架け橋ジェラート(蜜とコーヒーとゆず吉と) | 棟久智之(山口県) | パティスリーカフェ ロワゾブルー |
受託・PB開発が持ち帰れる論点
ここからは食品OEMの窓口編集部の見立てになる。今回のコンテストは、ご当地素材を使ったアイスやジェラートのPB・OEM開発を考える側にとって、素材の見せ方と工程設計の参考材料になる。
第一に、地場素材の「加工の一手間」だ。入賞作はいずれも、素材をそのまま混ぜるのではなく、焙煎やコンポート、ジュレ、グラニータに落として層をつくっていた。産地の果実や茶、蕎麦を預かってアイスに仕立てる受託では、どの加工を自社で巻き取れるかが差別化になる。地場素材の商品化を工場目線で追ったマーサーロックの地域素材商品化の事例も、工程の棚卸しに使える。
第二に、配合と融点の設計だ。食感や融点の異なるパーツを組み合わせる作り込みは、量産のアイス・ジェラートでも口どけや保形性を左右する。試作段階で配合と温度帯をどこまで詰められるか、小ロットで何パターン試せるかが、ご当地フレーバーの出来を決める。
第三に、素材調達と供給の安定だ。コンテストは1点物の勝負だが、PB・OEMでは同じ地場素材を一定量そろえ続けられるかが前提になる。産地や出荷量の見込みを、レシピを固める前に握っておく必要がある。カルピジャーニ・ジャパンが運営する職人向けの教育機関「カルピジャーニ・ジェラートユニバーシティ」のような技術の裏づけも、受託先を選ぶ側の判断材料になる。
まとめ
ジェラートワールドツアー2026日本大会は、日本のローカル素材をテーマに、配合と加工で地場素材を引き出す技術を競う場になった。ご当地素材のアイスやジェラートのPB・OEMを受けたい工場が次にやることは、素材の加工をどこまで自社で巻き取れるか、配合と融点を小ロットで何パターン試せるか、同じ地場素材をどれだけ安定して調達できるかを、相談の前に整理しておくことだ。
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出典
- 株式会社おいしいJAPAN(ジェラートワールドツアー2026 日本大会事務局)PR TIMESプレスリリース(2026年10月9日): https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000184314.html


