米ぬかは「捨てる部分」ではなく機能性素材になる——築野グループがシンポジウムで示す、副産物起点の商品開発
築野グループ株式会社(和歌山県伊都郡かつらぎ町、代表取締役社長:築野富美)は、11月5日(木)にあべのハルカスで開かれる「お米の新たな価値を学ぶシンポジウム」(一般社団法人機能性健康米協会主催、幸南食糧株式会社共催)に登壇すると発表した。第一部講演では、研究開発本部 企画開発部3部部長の中村紀夫氏が「機能性米ぬか素材から新たな価値創造へ」をテーマに話す。
発表そのものは講演の告知だが、受託製造やPB開発の側から読むと、論点は「米ぬか」という素材の位置づけにある。精米の工程で必ず出る米ぬかを廃棄物ではなく機能性素材として扱う座組みは、原料の仕入れ先を探す工場や、健康訴求の商品を企画するPB開発者にとって、調達の選択肢を一つ増やす話だ。ここでは発表内容を整理したうえで、仕入れ側が確認しておきたい点を切り分けて読む。
こめ油・ファインケミカル・オレオケミカル——米ぬかを使い切る3事業
築野グループは、こめ油の原料である米ぬかの成分に長く着目してきた企業だ。精米時に発生する米ぬかを出発点に、こめ油事業、ファインケミカル事業、オレオケミカル事業の3つを手がけている。こめ油をしぼるだけでなく、非可食部や副産物も100%活用し、食品・化学・医療・化粧品といった幅広い分野への利用につなげているという。
オレオケミカルの技術を使って廃食用油のリサイクルにも取り組んでおり、原料の入口から出口までを一社で回す構えを取る。設立は昭和22年2月1日。米ぬかという一つの副産物を、複数の事業で使い切る形を長年続けてきた会社だという位置づけになる。
未利用の素材を加工品の原料に変える動きは業界全体で広がっており、行き場の限られた素材を粉末化して商品に落とし込む共同開発の事例も出ている。米ぬかはそのなかでも、精米がある限り安定して出続ける素材という点が他と異なる。
中村紀夫氏が統括してきた米ぬか由来ファインケミカル
第一部で登壇する中村紀夫氏は、東京農工大学連合農学研究科を修了した農学博士だ。2008年に公益財団法人の研究所へ入り、2012年に機能性食品メーカー、2020年には築野ライスファインケミカルズ株式会社に入社している。企画開発部で、米ぬか由来のファインケミカル製品を化粧品や食品の機能性へ生かす研究を統括してきた人物だ。
講演タイトルの「機能性米ぬか素材から新たな価値創造へ」は、こうした経歴の延長線上にある。米ぬかから取り出した成分を、こめ油とは別の機能性素材として商品に組み込む道筋が主題になるとみられる。具体的な成分名や配合データは当日の講演で示される見込みで、発表時点のリリースには含まれていない。
「精米技術で健康米の価値は深化する」——第二部の顔ぶれ
シンポジウムの第二部は「おいしさ、栄養、新たな可能性。精米技術で金賞健康米の価値は深化する」と題して行われる。登壇するのは、一般社団法人機能性健康米協会 理事で近畿大学農学部 教授の財満信弘氏、徳島大学大学院社会産業理工学研究部 教授の榎元廣文氏、ドネードゥガトーお菓子研究室 代表の神谷優希氏、幸南食糧株式会社 品質保証部の俣野凜氏だ。
大学の研究者、菓子開発の実務家、米卸の品質保証担当が同じ場に並ぶ構成になっている。米という原料を、栄養の軸と精米という加工技術の軸の両方から扱う顔ぶれだ。築野グループの米ぬか素材の話と合わせると、精米で分かれる白米と米ぬかの双方に価値を持たせるという、一粒を使い切る方向でシンポジウム全体が組まれていることがうかがえる。
シンポジウム概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | お米の新たな価値を学ぶシンポジウム |
| 主催・共催 | 一般社団法人機能性健康米協会(主催)/幸南食糧株式会社(共催) |
| 日時 | 2026年11月5日(木)開演13時30分~(受付13時~) |
| 会場 | あべのハルカス25階 会議室E(大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43) |
| 参加 | 参加費無料・先着100名 |
| 第一部 | 機能性米ぬか素材から新たな価値創造へ(築野グループ 中村紀夫氏) |
| 第二部 | おいしさ、栄養、新たな可能性。精米技術で金賞健康米の価値は深化する |
受託・PB開発から見た米ぬか素材の持ち帰りどころ
ここからは食品OEMの窓口編集部の見立てになる。今回の発表は講演の告知であり、素材の規格や価格が公開されたわけではない。そのうえで、米ぬか由来の機能性素材を商品に取り込む可能性を検討する立場からは、確かめておきたい点がいくつかある。
第一に、供給の安定性だ。米ぬかは精米の副産物のため、こめ油など既存事業との取り合いになる。機能性素材として一定量を継続調達できるのか、ロットと納期の見通しを早い段階で握っておく必要がある。
第二に、表示と訴求の線引きだ。機能性を打ち出すほど、食品表示や健康訴求の扱いが重くなる。原料メーカーが機能性表示食品の届出まで整えて渡す動きは他の原料でも進んでおり、米ぬか素材でもどこまでを原料側が担保し、どこからを商品側で立証するのかを分けて確認したい。
検討の入口で潰しておきたい項目を並べると、次のようになる。
- 機能性素材としての最小ロットと継続供給の可否
- こめ油など既存用途との供給の優先順位
- 風味・色・溶解性など加工適性のデータ提供範囲
- 機能性表示に使えるエビデンスの有無と届出支援の範囲
- アップサイクル素材として訴求する場合の表現の裏付け
素材の珍しさよりも、量産ラインに乗せたときの扱いやすさと表示の担保で差が出る。シンポジウムは、その見極めに必要な一次情報を直接聞ける場になる。
まとめ
築野グループの登壇は、米ぬかという副産物を機能性素材として扱う研究が、商品開発の文脈で語られる機会だ。精米で分かれる白米と米ぬかの双方に価値を持たせる方向は、一粒の米を使い切る発想に重なる。同種の原料を検討する工場やPB開発者が次にやることは、講演を聞いたうえで、自社の仕様書に「供給の継続性」と「機能性表示の担保範囲」の2行を書き込めるかを確かめることだ。シンポジウムは参加費無料・先着100名で、申込は募集フォームから受け付けている。
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