アジア太平洋の消費者82%が「ヘリテージ×革新」を求める——ofi「TrendBites」が示す2026年フード開発の6大トレンドと食品OEMへの影響

この記事の要約
ofi(Olam Food Ingredients)が2026年4月7日公開したTrendBitesレポートでは、アジア太平洋消費者の82%が「ヘリテージ×革新」製品を求めると分析。モダン・オーセンティシティ、センサリー・セダクション、フレッシュ・インダルジェンスなど6大トレンドを提示し、日本の食品OEM向けに機能性×嗜好品、和食素材の現代化、小ロット多品種対応の3方向性を示唆しています。

2026年4月7日、食品素材大手ofi(Olam Food Ingredients)は、アジア太平洋地域の消費者インサイトをまとめた「TrendBites 2026年版」レポートを公開した。「フィールグッドインダルジェンス(Feel-Good Indulgence)」をキーワードに、食品・飲料製品開発を牽引する6つのメガトレンドを提示している。食品OEM開発者が次の製品コンセプトを設計する上で、押さえるべき重要な指針だ。

目次

なぜ今、「フィールグッドインダルジェンス」なのか

アジア太平洋地域の消費者は、単なる「美味しさ」を超えた体験を食品に求め始めている。ofiの分析によれば、健康志向と嗜好品的な満足感を同時に追求する消費行動——これが「フィールグッドインダルジェンス」の本質だ。

既存の「ヘルシー食品」や「インダルジェンス(贅沢品)」という二項対立は崩れつつあり、両者を融合させた製品コンセプトこそが2026年の主流になると予測されている。

6大トレンドの詳細と日本のOEM開発への示唆

1. モダン・オーセンティシティ(現代的な本物感)

調査では、アジアの消費者の82%が「ヘリテージ(伝統・由来)フレーバーを現代的なひねりで再解釈した製品」を求めている。また、70%が懐かしさと新鮮さを融合させた「ニュースタルジック(Newstalgia)」な食品に前向きだ。

OEM開発への示唆:和食素材(だし、味噌、醤油など)を現代的な製品形態に応用するという戦略が、国内・輸出双方で有効性を持つ。既存の「和風フレーバー」に現代的なフォームや食感を組み合わせることで差別化が可能だ。

2. センサリー・セダクション(感覚への誘惑)

消費者の70%が食感を「味」と同等以上に重視し、40%が「豊かな多感覚体験」をインダルジェンスと定義している。食感技術(クリスピー、クリーミー、チューイーの融合など)への投資は2026年の開発競争の核心だ。

3. フレッシュ・インダルジェンス(軽やかな贅沢)

消費者の3人に1人が「ハーブやシトラスを使用した軽やかなトリート」を好む傾向があり、アジア消費者の42%が「ヘルシーな楽しみ方」こそがインダルジェンスだと回答。柑橘系・バジル・シソ・フローラルティーノートの需要が増加している。

4. リトル・ラクジャリーズ(プチ贅沢)

物価上昇と生活コスト増加の中、消費者は旅行やスパなどの体験的消費から、黒トリュフスナックやシングルオリジンコーヒーなど「手が届く高級品」にシフトしている。食品・飲料はエコノミープレッシャーの受け皿として機能する。

5. ホールサム・ニュートリション(全人的な栄養)

消費者の58%が「身体的・精神的ウェルビーイング双方に効果のある製品」を求めている。最も成長著しい機能性訴求は次の3つだ:

  • コラーゲン配合(スキンビューティ効果)
  • ストレス・気分・集中力・エネルギー改善(アダプトゲン、GABA等)
  • タンパク質強化(肉・乳製品・植物性を問わず)

6. フレキシ・フューリング(柔軟な栄養補給)

従来の「朝食・昼食・夕食」という食事パターンが崩れ、スナッキングと食事の境界線が曖昧になっている。持ち運び可能でどんなシーンにも対応できる製品への需要が急速に拡大中だ。

日本の食品OEM業界へのインパクト

このトレンドレポートが示す方向性を、日本の食品OEM受託企業の視点から解釈すると、大きく3つの製品開発機会が見えてくる。

①機能性×嗜好品の掛け合わせ品

コラーゲン入りグミ・チョコ、GABA配合のチョコレート、タンパク質強化のスナックバーなど——「美味しさ」と「機能性」を同時に訴求する製品カテゴリは拡大の余地が大きい。コラーゲン市場は国内で年率10%超の成長が見込まれており、OEM受託案件の増加も予測される。

②和食素材の現代的リパッケージ

「モダン・オーセンティシティ」トレンドは、日本固有の食材——抹茶、ゆず、醤油麹、黒糖、蕎麦——を現代的なOEM商品として展開する大きなチャンスだ。特に海外向けPB商品開発では、「日本の伝統素材×革新的フォーム」という価値提案が差別化要素になりうる。

③小ロット・フレキシブル対応の強化

「フレキシ・フューリング」のトレンドは、多様なシーン・サイズへの対応を必要とする。単品SKUの大量生産ではなく、複数バリエーションを小ロットで受託できる柔軟な生産体制が競争優位につながる。

まとめ

ofiのTrendBitesレポートが明確に示しているのは、「健康かインダルジェンスか」という二択の時代が終わったということだ。2026年以降の食品OEM開発には、両者を融合させた「フィールグッドインダルジェンス」の視点が不可欠になる。

特に機能性訴求×美味しさの融合、和食素材の現代的活用、小ロット多品種対応という3つの方向性は、日本の受託製造企業が強みを発揮できる分野でもある。市場の変化をいち早く製品コンセプトに落とし込む企業が、次の成長サイクルを掴むだろう。

参照:BakeryAndSnacks.com「6 key food innovation trends driven by feel good indulgence」(2026年4月7日)

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この記事を書いた人

小島怜のアバター 小島怜 株式会社Agriture

株式会社Agriture CEO/食品OEMコンシェルジュ 乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業を手がける株式会社AgritureのCEO。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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