ファントムブルワリーが自社醸造所を持った——OHLOY BREWINGが見据える、1仕込み約520Lの小ロットビールOEM
香川県高松市のオーロイブルーイング株式会社(代表取締役:渡辺仁史)が、クラフトビールブランド「OHLOY BREWING」の自社醸造所を本格稼働させた。2022年に自社設備を持たないファントムブルワリーとして出発した同社は、2026年5月に自社醸造所を完成させ、7月下旬から本格的な醸造を始めている。醸造設備は5バレル(bbl)タンク6基と10バレルタンク4基で、1回の仕込みで約520L、350ml缶に換算して約1,500本弱をつくれる。初年度は年間約40kLの製造を見込む。この稼働を機に、同社はクラウドファンディング「香川を、クラフトビールでもっと面白く!-醸造所立上げプロジェクト-」をCAMPFIREで始める。
発表の中心はクラウドファンディングだが、受託やPB開発の現場が読むべきは別のところにある。同社は自社醸造所で可能になる挑戦のひとつに、「企業や飲食店のニーズに応じた小ロットOEM」を挙げている。設備を借りて製造する側から、他社の小ロット製造を受ける側へ回る流れだ。1仕込み約520Lという単位と、タンク10基の構成を手がかりに、小ロットのビールOEMがどの規模で動くのかを受託側の目線で追う。
ファントムブルワリーから自社醸造所へ、4年の歩み
リリースによれば、OHLOY BREWINGは2022年に香川県を拠点に立ち上がったブランドだ。ブランド名の「OHLOY(おうろい)」は、香川の古い方言で「恵みの雨」を意味する。立ち上げ当初は自社の醸造設備を持たず、他社の設備を借りて製造するファントムブルワリーとして活動してきた。ビールの製造・販売に加え、直営店「OHLOY STORE」の運営、県内外のイベント出店、全国への卸販売、企業やブランドとのコラボレーションを一つずつ積み上げてきたという。香川県内最大規模とする「SANUKI BEER MEETING」も開催してきた。
5bblと10bblのタンク10基、1仕込み約520Lから
自社醸造所の設備は、5bblタンク6基と10bblタンク4基の計10基。1回の仕込みで約520L、350ml缶換算で約1,500本弱を製造できる。初年度の製造量は年間約40kLを予定している。他社の設備を借りていたこれまでは、仕込み時期や製造量、新商品の開発スピードに制約があったと同社は説明する。自社設備を持ったことで、小ロットでの柔軟な仕込みとリリース頻度の向上、継続的な品質改善と醸造技術の蓄積に動けるとしている。
自社設備で可能になった、企業・飲食店向けの小ロットOEM
同社が自社醸造所で可能になるとした挑戦は、おもに次のようなものだ。小ロットでの柔軟な仕込みとリリース頻度の向上、香川県産の食材や地域素材を使った実験的なビール開発、香川の生産者・飲食店・企業・アーティストとのコラボレーション、そして企業や飲食店のニーズに応じた小ロットOEMだ。借りた設備では仕込みの枠や時期が他社の都合に左右される。自社設備によって、こうした制約を外しながら受託や共同開発に動けるようになる、というのが同社の説明になる。
盆栽・レモネード・シャインマスカット、地域素材のビール実績
OHLOY BREWINGは、これまでも香川という土地とのつながりをビールで表現してきたという。看板シリーズの「Seki / West Coast IPA」は、高松盆栽の魅力を伝えるために始まった商品で、実際の盆栽をラベルに採用し、今年で3年目になる。このビールを目当てに県外から訪れる人も生まれていると同社は説明する。ほかにも、香川県丸亀市のレモネード専門店「TANGIERS CAFE」の自家製レモネードシロップを使ったコラボレーションビール、香川県産シャインマスカットを使った道の駅限定ビール、地域のアーティストをラベルデザインに起用した商品を展開してきた。素材と売り先を地域に寄せた商品づくりの積み重ねは、受託や共同開発を相談する側の判断材料になる。
醸造所と事業の概要
今回のクラウドファンディングは、醸造所を完成させるためではなく、完成した設備を活かすための資金集めだと同社は位置づけている。目標金額は300万円、募集期間は10月12日から11月30日まで。支援金の用途は、開業費用の上振れ分の補填に240万円、CAMPFIRE手数料・諸経費に60万円としている。設備投資そのものは済んでおり、運用の改善と商品開発の加速に充てる資金という整理だ。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | オーロイブルーイング株式会社 |
| ブランド | OHLOY BREWING |
| 所在地 | 香川県高松市(直営店 OHLOY STORE:高松市内町3-4 YAMA BLD2 1階) |
| 代表取締役 | 渡辺仁史 |
| 自社醸造所 | 2026年5月完成、7月下旬より本格醸造を開始 |
| 醸造設備 | 5bblタンク6基、10bblタンク4基(計10基) |
| 1仕込み量 | 約520L(350ml缶換算で約1,500本弱) |
| 初年度製造量 | 年間約40kLを予定 |
| クラウドファンディング | 香川を、クラフトビールでもっと面白く!-醸造所立上げプロジェクト-(CAMPFIRE) |
| 目標金額・募集期間 | 300万円/2026年10月12日〜11月30日 |
| 資金用途 | 開業費用上振れ分の補填 240万円、CAMPFIRE手数料・諸経費 60万円 |
受託・PB開発が持ち帰れる論点
ここからは食品OEMの窓口編集部の見立てになる。今回の発表は、小ロットのビールやクラフト飲料のOEMを検討する側にとって、受託規模の目安として読める。
第一に、最小ロットの示し方だ。1仕込み約520L・350ml缶で約1,500本弱という単位は、飲食店の店舗限定ビールや企業の周年記念ビールといった小さな発注を、受ける側がどの数量から引き受けられるかの具体例になる。発注側に最小ロットと缶換算の本数を一枚で示せるかどうかが、相談の入口を広げる。
第二に、地域素材を持ち込まれたときの対応力だ。OHLOYは盆栽モチーフのIPAやレモネードシロップ、シャインマスカットなど、地域素材を使った実験的な商品を重ねてきた。素材を預かって実験醸造に乗せられるか、果汁やシロップの添加をどの工程で行うかは、受託の幅を左右する。香りや品質を守る小ロットの包装をどう設計するかは、コーヒー豆袋を紙製バリアに替えたBERTH COFFEEの事例も合わせて見ておきたい。
第三に、作り手の経歴が品質の裏づけになる点だ。代表の渡辺仁史氏は、Far Yeast Brewingでの醸造経験や地元ブルワリーでの醸造長を経てブランドを立ち上げている。小ロットでも醸造技術の蓄積を担保できる体制かどうかは、受託先を選ぶ側が見るところになる。
まとめ
OHLOY BREWINGの自社醸造所稼働は、ファントムブルワリーが設備を持ち、他社の小ロット製造を受ける側に回る転換点になっている。小ロットのビールやクラフト飲料のOEMを受けたい工場が次にやることは、1仕込みあたりの最小ロットと缶換算の本数、果汁やシロップを使った実験醸造の可否を、見積もりの前に発注側へ示せる形にまとめておくことだ。
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出典
- オーロイブルーイング株式会社 PR TIMESプレスリリース(2026年10月9日): https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000192107.html


