農水省、輸入小麦の政府売渡価格を4月から2.5%引き上げ——1トン62,520円に改定、パン・麺・菓子OEM全体に波及

この記事の要約
農林水産省は2026年3月30日、2026年4月期の輸入小麦政府売渡価格を1トン62,520円に改定すると発表しました。前期比2.5%の引き上げで、円安の長期化が主因です。小麦粉・パン・麺・菓子OEM商品の製造コストに直接波及するため、原価計算の即時更新、食料システム法に基づく価格改定申し入れ、国産小麦・米粉など代替原料検討が求められます。

農林水産省は2026年3月30日、2026年4月期の輸入小麦の政府売渡価格を1トンあたり62,520円に改定すると発表した。前期(2025年10月期)の61,010円から約1,510円(+2.5%)の引き上げとなり、4月1日出荷分から適用されている。半年ごとに見直される制度の中で、円安水準の長期化がコスト上昇の主因となった。

目次

政府売渡価格とは何か——OEMへの直接的な影響

日本は国内で消費される小麦の約9割を輸入に頼っている。政府(農水省)が商社を通じて一括輸入し、それを製粉会社に売り渡す価格を「政府売渡価格」という。この価格が上がると、製粉会社が小麦粉の出荷価格を引き上げ、パン・麺・菓子メーカー→OEM受託企業→消費者という川下に向けてコストが波及していく仕組みだ。

時期 政府売渡価格(1トンあたり) 前期比
2025年4月期 約57,000円台
2025年10月期 61,010円 +約7%
2026年4月期 62,520円 +2.5%

値上がりの主因——円安の長期固定化

農水省によると、今回の引き上げ幅(+2.5%)は前期と比べると小幅だが、その背景には円安水準の長期化がある。為替が小麦輸入コストに与える影響は直接的で、ドル建て価格が横ばいでも円安が続けば円換算コストは上昇し続ける。さらに同時期に、昭和産業・Jオイルミルズなど食用油各社が9〜15%超の値上げを実施。複数の原材料が同時期に値上がりするトリプルプレッシャーが、食品OEMメーカーの利益を圧迫する状況が続いている。

帝国データバンクの3月調査では、食品の値上げ品目が684品目に上り、そのうち99.2%が原材料高を主因としていた。

OEMメーカーが対応すべき3つのポイント

  1. 原価計算の即時更新:パン粉・天ぷら粉・麺類・小麦使用素材の仕入れコストが変動する。4月以降の受注分について、速やかに原価計算を見直し、採算ラインを確認する必要がある。
  2. 発注元への価格改定申し入れ:4月1日施行の食料システム法により、原材料費の上昇を根拠とした価格交渉に買い手が誠実対応することが努力義務化された。今がまさに価格改定を申し入れる好機だ。
  3. 代替原料・調達先の見直し:国産小麦・米粉・グルテンフリー素材など代替原料の活用や、調達先の多様化によるリスク分散を検討する。

今後の見通し

次回の見直しは2026年10月期となる。為替動向とウクライナ情勢・米国農業収穫量が価格を左右する主要因で、現状では円安修正が進まない限り、さらなる値上がりリスクを排除できない。農水省が推進する食農テック(植物工場・代替タンパク・陸上養殖)が本格化すれば中長期的な原料調達の安定化につながる可能性があるが、短期的なコスト負担軽減には限界がある。


引用元
輸入小麦の政府売渡価格が62,520円に改定(パコラ)
農林水産省

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この記事を書いた人

小島怜のアバター 小島怜 株式会社Agriture

株式会社Agriture CEO/食品OEMコンシェルジュ 乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業を手がける株式会社AgritureのCEO。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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